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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 ジパング編

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「!全然平気じゃないよぉ~っ!どこが軽いのさーっ!」
 
「……バカダウド……、うるさい……」
 
「駄目だよ!火ぶくれしてるじゃないか!今、べホイミかけるよ!」
 
「いや……、本当に平気だから……、おろちの所までもう少しなんだ、
余計なMP使うな……」
 
「ジャミル……」
 
「うわあ……、今日のジャミルってば何かかっこいい……、オイラ惚れちゃいそう……」
 
しかしジャミルの腹の中では……。
 
(なんか近頃妙に話が真面目だな……、俺には合わねえや、あーあ、
火傷はいてーし、腹は減るわ、最悪だな、帰ったらソースべちゃべちゃ
付いたたこ焼きでも食うかな…………あ、マヨネーズも付いてねーと……、
食いてーなあ、畜生……)
 
と、ジャミルが考えているのも知る由もないアルベルトとダウドであった。
 
「あ、あれっ!」
 
「ダウド、どうしたんだ……?」
 
「誰か倒れてる……」
 
……人骨の上に女の子が倒れていた。
 
「弥生さんだよっ!!」
 
ジャミル達は急いで弥生の元へと走る。
 
「……弥生さんっ!おいっ、しっかりしろっ!」
 
ジャミルが弥生を助け起こすと、弥生がうっすらと目を開けた……。
 
「……ジャミル……さん……?アルベルトさん、ダウドさんも……、
来てくれたんですね……」
 
「よかったあああ……」
 
ダウドがそっと胸をなで下ろすが。
 
「私……、アイシャちゃんと……、夜中に突然黒い影に飲み込まれて……、
それから先は覚えていないの、今、気が付いたら此処の場所に……」
 
「怪我とかしてないですか?」
 
アルベルトが聞くと弥生は笑みを浮かべ、静かに返事を返す。
 
「ええ、私は大丈夫です……、それよりアイシャちゃんを……、
多分この先に連れて行かれたと思うの……」
 
「よしっ!行くぜっ!」
 
「……どうか……、お願い……」
 
弥生は安心したのか静かに目を閉じ、再び気を失ってしまう。
 
「……ダウド、お前此処で弥生さん頼むわ、守ってやってくれ……、
何かこの辺りは……、モンスターの気配がしねえみてえだ……」
 
「ええーっ!オイラ一人でえ……」
 
「僕達はアイシャを助けに行ってくる!」
 
「うん……、わかった……、気を付けて……」

ジャミルとアルベルト、二人は手前の橋を渡り、更に奥へと進む。
其処で見た光景は……。祭壇に寝かされたまま動かないアイシャの
姿であった……。
 
「……アイシャっ!」
 
ジャミルは急いでアイシャに駆け寄り、アイシャに呼びかける。
しかし、アイシャは眠ったまま、返事を返さず……。
 
「息はしてるみてえなんだけど……」
 
「何か強力な魔法で眠らされているのかも……」
 
「取りあえずこっから逃げるぞっ!とっとと脱出だっ!……よっ!」
 
ジャミルがアイシャを急いで負ぶおうとするが。……ふらふらと
身体がよろけてしまう。
 
「……あれ?」
 
「ジャミル……」
 
「くっそーっ!重ーいっ!少しダイエットしろーーっ!」
 
(全く、このバカップルは……、ジャミルだって人の事
言えない気がする……)
 
「何だ?アルっ!」
 
「何でもないよー」
 
実はこの時、ジャミルがよろけたのは、別にアイシャの体重が
重いのでも何でもなく、火傷で負傷し、無理をしたジャミル自身に
疲れが出始めていたからであった。アイシャを助けようと無我夢中で
あったジャミル本人はその事に気づかず……。
 
 
「……ワラワノエモノニ……ナニヲシテオル……」
 
 
ジャミルと、アルベルト、二人の前に8つ頭の怪物、やまたのおろちが
遂にその巨大な姿を現す……。
 
「……うわ!おろちキター!?」
 
「……側で見ると一段と大きいね……」
 
 
「ソヤツハワラワノエモノジャ……、ワタサヌ、ワタサヌゾ……」
 
 
「こいつ人語喋ってるし……、しかも何でカタカナなんだよ……」
 
「いよいよ戦闘開始だね……」
 
ジャミルが鉄の斧を構え、アルベルトも警戒する。が……、こっちは
意識の無いアイシャを庇って戦わなくてはならない為、若干不利である。
 
「アル、アイシャを連れて先に逃げてくれ!こいつは俺が引き留めとく!」
 
「駄目だよっ、一人じゃ無理だっ!」
 
 
「おーい、ジャミルー!アルーっ!」
 
 
「……ダウド……?」
 
ダウドがバタバタとこちらに向かって走って来る。後ろには弥生もいる。
 
「何してんだよっ!危ねえじゃねえか!」
 
「お、お、お……、オイラもジャミル達と戦うっ!」
 
「私も何かお手伝いしたいんです!」
 
ダウドがどもって震えながら喋る。更にその後ろから弥生も顔を出した。
 
「うーしっ、偉いぞっ、ダウドっ!」
 
ジャミルが笑いながらダウドの肩をバシバシ叩く。
 
「痛いよ、ジャミル……、そんなに力入れて叩かないでよお~……」
 
「あ、わりィ……」
 
「弥生さん、お身体の方はもう大丈夫なのですか?」
 
「はい、アルベルトさん、平気です、ジャミルさん、私に何か
出来る事はありますか?」
 
「んじゃ、アイシャの事頼むよ!すぐにこいつを倒すから!」
 
「分りました!」
 
アイシャを弥生に預け、男衆は再び巨大なおろちと向き合う……。
 
「オイラ、二人をさっきの安全圏の場所までもう一度連れて行くよお!」
 
「そうだな、その方がいいな、ダウド、頼む!けど、そのまま
トンズラすんなよ……?」
 
「逃げないよおーっ!さ、弥生さん、オイラとさっきの場所まで行こう!」
 
「はい!……どうか皆さん、お気を付けて!アイシャちゃんの事は
任せて下さい!」
 
「頼むな、弥生さん!」
 
ダウドは弥生を先程のモンスターが出現しない安全圏の場所まで
誘導しに行った。
 
(けど、攻撃魔法が使えるアイシャが抜けてる以上、何処までやれるかな……、
でもやるっきゃねえな!)
 
やがて安全圏に弥生を送って来た後、すぐにダウドもバトルに復帰する。
……が、やはり彼はいつも通り、キャーキャー言いながらおろちの攻撃から
逃げ回っているだけである。アルベルトは、ほぼ回復の方に魔法を使わなければ
ならない為、攻撃魔法の方に回れないので、アイシャが抜けた穴は大きく、
やはり大変な状況になっていた。
 
「ふう、流石にきついな、こりゃ大変だ……」
 
「ジャミル、やっぱり僕も攻撃の方に回ろうか……?」
 
「駄目だ!今んとこ真面な回復魔法が使えんのはアルだけなんだぞ!
俺じゃMPが少ねえし、間に合わねえんだから!」
 
「……あっ!」
 
ダウドが思い切り石につまずいてこけた。……その隙を逃さずおろちは
ダウド目掛け8つの首を伸ばしダウドに鋭い牙で噛み付こうとする……。
 
「ダウドっ!!」
 
ジャミルが咄嗟におろちからダウドを庇い、二人は地面に転がってしまう。
 
「いたた、ジャミルう~、ごめんよお~……」
 
「あぶねえな、気を付けろよっ!バカ!」
 
「大丈夫かい、二人共!」
 
アルベルトがすぐにべホイミを二人に掛ける。
しかし、やはりべホイミを掛けて貰っても、ジャミルの火傷の方の