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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 ジパング編・後日談

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「変な子だよ……」
 
しかし、弥生の前でちょっとえーかっこしーしたジャミルではあったが、
速攻でいつものアホにと、元に戻るのであった。
 
「おい、ダウド、ちょっと来てみ」
 
「ん?何だい」
 
「見ろよ、アルの奴、本読んだまま居眠りこいてるぞ……」
 
「ほんとだ……、こうして見ると何か間抜けだね……」
 
「zzzz……ぷう……」
 
「うわ!おい、ちょっと今鼻ちょうちん出したぞ!」
 
「意外な一面だよねー!普段正統派タイプ気取って真面目ぶってるけどー!」
 
「……」
 
突然、アルベルトがぱっと目を覚ました……。
 
「お、アル……、起きたのか……?」
 
「ア、アルー?」
 
「……バシルーラ……」

               んきゃーっ!!

 
「zzzz……ぷう……」
 
ジャミルとダウドの二人は揃って弥生の家の屋根を突き抜け
何処かへ飛んで行った……。
 
「もうっ!寝起きのアルを突っつくからでしょ!怖いんだからね!
アルを起こしたら!!屋根まで壊しちゃって!……どうするのよ!!これ!」
 
「ふふ、本当に賑やかな楽しい子たちだねえ、ずっと見てて飽きないよ」
 
「そうね……」
 
(このまま……、ずっと一緒にいられたらいいのに……、いつまでも……)

「ねーねー、ジャミル、明日の夜にね、村でお祭りやるんだって!」
 
夜、部屋にてアイシャが嬉しそうに燥いでいる。
 
「へー、祭りね……、何か面白そうだな」
 
「おろちがいなくなったから……、喜びの祝いの宴って言ってたかな?」
 
唇に人差し指を当ててダウドが考え込む。
 
「でも……、いつまでもこの村にお世話になるわけにいかないね……」
 
「そうだな、俺の火傷も大分良くなったしな……」
 
「お祭り見てから!ねっ?ねっ?ねっ?」
 
ダウドがジャミルにすりすりすり寄って来た。
 
「わかったよ……」
 
「でも……、折角皆と仲良くなれたのに……、もうさよならなのね、
ちょっと淋しいな……」
 
「仕方ないよ……、出会いがあれば別れもある、バラモス倒したら
きっとまたいつか皆で遊びに来よう、ね?」
 
「うん……、そうだね……」
 
アルベルトがアイシャを慰める。おろちを倒し、ジャミルの火傷の
療養の為、弥生家にお世話になり、村にそのまま滞在して早一ヶ月が
経過しようとしていた。
 
 
……次の日の夜、ジパングの村では盛大な宴が行われた。
男達は酒を飲み、女達はお喋りをし、語り合い、民にとって
久々の明るい笑顔が交わされた。村が平和になった事への
大きな喜びだった。
 
「わしらにとって、こんな幸せな明るい日々が戻ってきたのも全て
勇者様達のおかげですじゃ!本当に有難うございますです!!」
 
長老が心からジャミル達にお礼の挨拶を述べる。
 
「だから……、そんな、いいって!へへ、どうもこうゆうの苦手だなあ……」
 
困った様にジャミルが顔を赤くする。……実は意外とシャイなのかも
知れなかった。
 
「プ……、そんな柄じゃないでしょ……」
 
「何だ?アル……」
 
「何でもないです」
 
「お、そろそろ弥生ちゃんの踊りが始まるぞ!」
 
「踊り?」
 
「弥生ちゃんはこの村一番の踊り手なんだ」
 
「へー、知らなかったな……」
 
「わあ、見たーい!」
 
「弥生さん、すごいんだねえー!」
 
アイシャ達が燥ぐ。やがて踊り子衣装の着物にお召し替えした弥生が登場。
中央の踊り場まで静かに歩いて行く。
 
「うわあ!弥生さんきれーい!お姫様みたい!」
 
「……本当だね……、普段も綺麗だけど……」
 
「きれいだなあ~……」
 
アルベルト達もうっとり見惚れ、弥生の美しい姿にほれぼれ、感動している。
 
「なあ、勇者のあんちゃん、あんた弥生さんと一緒に踊ってやって
くんねえか?」
 
「なっ!?俺がか!?」
 
……突然の村民のリクエストに慌てるジャミル。
 
「でも、弥生さんがお姫様なら……、君は王子様になっちゃうじゃない、
何だかなあ……、プ……」
 
「……最近何かオメーもいちいちうるさくなったなあ!アルよう!」
 
「でも、ジャミルすごいよお!!踊ってよお!」
 
ダウドも茶かし、僕は知りませーんと言う様にアルベルトが吹いた。
 
「……お前ら無理言うなよ!だって俺……、ソーラン節しか知らな……」
 
「いいんだよ!ほら、行って来なよ!覚悟する!」
 
アルベルトがジャミルの背中を押した。
 
「お、おいい……」
 
「ジャミルー!頑張ってー!」
 
アイシャまで手を振り、ジャミルを応援。ジャミルはますます顔を赤らめる。
 
「まいったな……、たく……」
 
照れつつもジャミルも弥生がいる中央の踊り場まで歩いて行く。
 
「あはは……、マジでまいっちまうなあ~……」
 
「おー!お似合いだぞ、二人とも!!」
 
「ガハハハハハ!」
 
「素敵よー!」
 
「ジャミルさん、私と一緒に踊って下さい……」
 
弥生がジャミルの手を取った。
 
「あ、うん……、へへ……」
 
月明かりの下、ジャミルと弥生は共に手を取り、幸せな時を
踊るのであった……。
 
 
……
 
 
「ふうっ、ハチャメチャだったけど、やれば結構出来るモンなんだな!
うん、俺も踊りの才能あるかも!何か自信出て来た!」
 
「ごめん、オイラ、新手のスーダラ節かと……、プ……、ププ……」
 
「……うるさいっ!」
 
ダウドの頬を横に引っ張るジャミル。アルベルトが横を向いて
プッと笑った。アイシャは常に色んな人と話をし、彼方此方
動き回っている為、一定の場所にはなかなか戻って来ない。皆に
お酒を注いだりもしている。
 
「んっとに、そわそわ落ち着かねーな、あいつも……、ちったあ
じっとしてろっての!」
 
「……くしゅんっ!」
 
離れた席の方で、アイシャが可愛いクシャミを一発噛ました。
 
「ジャミルさんや!なんだ、ここにいたのかい!へへへ、
やれ、どっこいしょっと!」
 
「はいはい、お邪魔しますよーっ!どうもねーっ!」
 
弥生の両親が割り込んで来、ジャミルを間に挟み、それぞれ、
横にどかっと座った。
 
「あ、ども……」
 
「どうした皆!酒が減ってねーぞ!今日はジャンジャン飲みまくれ!
金髪の兄ちゃんもタレ目の兄ちゃんももっともっと飲みまくれーっ!
今日は無礼講だーっ!!遠慮するなーっ!がーははは!」
 
……おじさんの方はすでに酔っぱらい始めていた。
 
「全く、酒が入ると嬉しくてああなるんだから、困った父さんだよ……」
 
「……タレ目ぇー?こうやったらもっと下がっちゃうのかなあ~……、
でも、オイラそんなに目が下がってんのかなあ~?」
 
ダウドが困った顔をし、……指で更に自分の目を下げてみる。
 
「そうだ、ジャミルさん、これ食べてみてな、よーく煮込んだから
味がしみてておいしいよ、あたしの自慢料理の一品さ!最近は中々
鹿のお肉も手に入り難くてねえ……」
 
おばさんが鹿の肉の煮物をジャミルに差し出した。
 
「おー、うまそ~っ!いっただっきまーす!」
 
「……ね、ジャミルさん、弥生の事……、どう思うかい……?」