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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 ジパング編・後日談

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普段真面目なだけあって酔った勢いで日頃のストレスが
出てしまったのかタチが悪い。
 
「俺のぉ……、酒がぁ……、ヒック、う~い……、飲めねえってのかあ!?
……ああん!ぶるぁぁぁぁぁ!!!」
 
「うわ~ん!!こわいよおー!!何か声もおかしくなってるし!」
 
「歌でも歌うかな……、ヒック、♪ふざけたツラしてふんばばーん、
ふんばん・ふばばば・ふばば・ばーん♪」
 
「……いつものアルじゃなーい!絶対何か降臨してるよおー!」
 
 
そして次の日……、今日はいよいよ4人がジパングを離れる日である……。
 
「ねえダウド、ちょっと用が……、あれ?」
 
「ヒィーッ!!」
 
「……おかしいな……、僕、なんか今日ダウドに避けられてる気が……、
なんでだろう?」
 
大体の事情はダウドから聞いているのでジャミルも知っているのだが。
 
「それよりも早く出発しねーと、お前ら、もう出発の準備は出来たか?」
 
アイシャ達にも声を掛け確認を取る。
 
「ばっちりよ!」
 
「いつでもOK!だけど……、何かいよいよお別れ、淋しいよお~……」
 
「そうだね、お別れは本当に辛い物だよ……」
 
そして4人は……、船を岸に着けてある海岸まで移動する。
 
 
「……もう行っちまうのかい……」
 
「いつでも遊びに来いな、皆で待ってるぞ!」
 
お別れには沢山の村人達がジャミル達を見送りに来た。
 
「……ジャミルさん達、色々ありがとうな……、本当に
お世話になったな……」
 
弥生の両親が涙まじりに喋り、4人にお礼を言う。
 
「いや……、こちらこそ……、色々有難う……、随分長居しちゃったけど
俺達も楽しかったよ」
 
ジャミルも礼を言う。……其処に弥生が近寄ってきた。二人の目と目が合う……。
 
「ジャミルさん……」
 
「弥生さん……」
 
「ジャミルさん……、私、頑張って生きていこうと思います、友達の分まで!」
 
「ああ!」
 
「それから……」
 
「?」
 
弥生がアイシャの耳元に近づいてこっそり話をする。
 
「アイシャちゃん……、ジャミルさんと仲良くね、あんまり
ケンカしちゃ駄目よ」
 
「え……、えーっ!?」
 
「ふふっ」
 
アイシャが驚いて顔を真っ赤にする……。
 
「何だ!?何だ!?」
 
「……何でもないわよ……」
 
ジャミル達は村の人達に一通り挨拶し、お礼を言い終わると
自分達の船に乗った。
 
「みんなーっ!またなー!!」
 
「さようならー!」
 
4人が船から手を振りもう一度挨拶すると村人達も最後の挨拶を交わす。
 
「勇者様達ー!!お元気でー!!」
 
……やがて船も遠くに行ってしまい見えなくなり、その場には静寂が訪れた……。
 
「行っちまったね……」
 
「火が消えたようになっちまうなァ、この村も……」
 
「……寂しくなるねえ……」
 
「……お母さん!!」
 
弥生は今まで我慢していた涙を一気に流し……、母の胸に飛び込む。
 
「弥生……、人を好きになるっていう事は……、とても素敵な事なんだよ……、
例え望みが叶わなくても……、一緒になれなくても……、恋……、
お前の心に芽生えた気持ちをいつまでも大切にしなさい……」
 
「はい……、お母さん……、弥生は幸せでした……、ジャミルさんとの
出会いと思い出……、いつまでもずっと……、大切にします……」
 
弥生は温かい母の胸に顔を埋め、いつまでもいつまでも泣き続けた……。

「……みんな、優しくて本当にいい人達ばっかりだったよね……」
 
船に戻った後、思い出す様にダウドがしみじみと呟く。おろち戦、
ジャミル大火傷など、大変な事もあったが、振り返ればこの一ヶ月、
4人にとっては貴重で本当に楽しい毎日だった様である。
 
「……元気出せよ、オーブだって1個見つかったんだしさ!」
 
「そ、そうね、ジパングの皆とも、きっと又会えるわよね!」
 
「残りのオーブ探しだってきっと楽勝だよね!皆でおろちだって
やっつけたんだもんね!」
 
元気を出そうと、ジャミル、アイシャ、いつもよりも前向きな
ダウドがそれぞれが言葉を出した。しかし、……アルベルトだけは……。
 
「みんな……、まさか忘れてる訳じゃあないよね……?」
 
ジト目になるアルベルト。折角元気が出そうだったのに、
急に話を現実に戻し、又何か雰囲気を壊しそうである。
 
「な、何をだよ……?何かオメー怖えーなあ……」
 
悪寒を感じ、ジャミルがアルベルトから後ずさる。
 
「浅瀬探し……」
 
 
……全員の顔が顔面蒼白……、真っ白になった……。
 
 
そして、数日後、ジパング。
 
 
「弥生ちゃん……、おはよう」
 
「はい?あっ、おはようございます……」
 
外で洗濯をしていた弥生の所へ村の若い青年が訪ねて来た。
彼は最近、この村に移住して来たばかりの新人だった。
なので、おろちの件は村人達に少し聞いている知識で、
あまり詳しい事はまだ良く知らない様子であった。
……容姿はきりっとした顔立ちの凛々しいイケメン青年である。
 
「いろいろ大変だったみたいだね……、身体の方はもう大丈夫なのかい?」
 
「え、ええ……、でも、もう平気ですから……」
 
「弥生ちゃん、あのさ……」
 
「はい……」
 
青年は顔を赤くし、最初、弥生から目を逸らし、暫く困った様にして
突っ立っていたが、やがて何かを決意した様に頷き、真剣に弥生の瞳を見つめた。
 
「困った事があったら言ってくれよ、俺……、力になるから……」
 
「あ、ありがとうございます……」
 
「俺……、この村に来た時から、弥生ちゃんを一目見て、
弥生ちゃんの事、いいなって思っててさ……」
 
「……えっ!?」
 
「……俺なんかじゃ……、その、頼りなくて駄目かな……、はは……」
 
「そんな……、でも……、私……」
 
青年が弥生を見つめた。弥生を見つめるその眼差しはとても温かく
優しかった。弥生の脳裏に今はもう此処にいない彼の姿が浮かぶ。
 
(歩き出さなければ……、もう……、新しい未来へ……、前へ進むこと、
あの方が教えてくれた……)
 
……弥生も何かを決意した様に、青年の瞳を見つめ返す。
 
「まだきちんとお返事は出来ませんけど……、あの、もう少しお時間を
頂けますか?」
 
「もちろんだよ!俺、いつまでも待ってるよ!」
 
青年は顔を赤くしたまま、自宅まで走って戻って行く。弥生は
そんな青年の姿を……、只管ぼーっと見つめていた……。
 
「弥生ー!良かったなー!!」
 
「弥生!おめでとう!!」
 
弥生の両親が揃って家から飛び出して来た。
 
「もう……、お父さんも……、お母さんまで……、隠れて話聞いてたのね……」
 
「ああ、こんなにめでたい事はないよっ!母さんは全力で弥生を応援するよ!」
 
「うう、孫の顔が見られるかも知れねーと思うとさ、おらあうれしいよ、
生きててよかったぞおーーっ!……と、い、今から名前考えねえと……!
男の子でも女の子でもどっちでも、あ、うれしいなーっと!へっへ!」
 
……気の早い弥生父はいそいそと家に引っ込んで行く。それを見た
弥生母は呆れて苦笑。