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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 悪徳商人の町編

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ダウドも只管アイシャを心配していた。3人は
何処にも行かず、ずっと部屋でアイシャを見守っていた。
 
「……本当に許せないよ……、アイシャにこんな酷い事して……」
 
アルベルトも強く唇を噛む……。
 
「♪おれーのいかりわばくはつすんぜーん♪
ふんふふふふふーん!」
 
「ジャミル……、何やってんの……」
 
「歌うたってんだよ!上手いだろ俺の美声!」
 
「はあっ……」
 
いつも通り溜息しか出ないアルベルト達。……ヤケクソ気味の
ジャミルの気持ちは理解しているとは言え。やはりジャミルは
筋金入りのアホであった。
 
「ん……、此処……、ホテルのお部屋……?」
 
「ピキー!おねえちゃん!」
 
「アイシャっ!!」
 
……其処へ漸くアイシャが目を開ける。ジャミルとアルベルトは
急いでアイシャのベッドの側へと駆け寄った。アイシャをずっと
見守っていたスラリンも枕元でぴょんぴょん飛び跳ねる。
 
「アイシャ!気が付いたよ……、よかったあ~……、
ぐしゅ、……ジャミルのダミ歌がきいたのかなあ~……」
 
ダウドが歓喜し、目頭を擦るが、その後、直ぐにジャミルに
頭を殴られる。
 
「ふぁ~っ!おはよー!!わあ、いいお天気ね!」
 
「はあ???」
 
「……」
 
アイシャのあまりの単純な元に戻りっぷりに目が点になる男衆。
元気になったのは良かったが、唐突過ぎである。ジャミルに助けられ、
安心し、幸せな夢でも見ていたのであろうか。
 
「……おはよーじゃねえだろ!このボケ!!どれだけ人が
心配したと……」
 
「何よ~っ!!」
 
「ま、まあ……、とにかく無事で良かった……」
 
「……だよお……」
 
「みんな……、本当にごめんなさい……、心配掛けて……」
 
「とりあえず、一安心て処だね……」
 
心では困惑気味ではあった物の、アルベルトが笑う。
 
「ねえ、もうプールへは行かないの?」
 
「はああ???」
 
そして、いきなりのこの心の持ち直し様。
 
「おめーな……、昨日はあんなに……」
 
「いいじゃない!私、まだ泳いでないもん!」
 
「あのな……」
 
「いいじゃん、ジャミル、付き合ってやんなよお」
 
「そうだよ、どっちみちまだこの街から出られないんだから」
 
「おーい……」
 
「ピキー!おねえちゃんおきたー!よかったー!わーい!」
 
「うふふ、心配掛けてごめんね、スラリンもありがとうねー!」
 
「あ……、頭の精神レベルが……、同じ……」
 
「何よ?ジャミル」
 
「い、いや……、何も……」
 
「じゃあ、行ってきまーす!」
 
「ごゆっくりー」
 
「お前らは行かないの?」
 
「嫌だよお、オイラ泳ぎたくなーい!」
 
「同じく、部屋でゆっくり読書して休んでいた方がいい」
 
「俺だって……、昨日の騒動で今日は疲れてんのになあ……、
とほほ……」
 
昨日とうって変わってすっかり元気になったアイシャに
引っ張られ、ジャミルは再びホテル内のプールへと足を運んだ。
 
「二人っきりだとすごく広く感じるね、このプール」
 
「ああ……、ん?」
 
「ふふっ!」
 
アイシャがジャミルの顔を見てくすりと微笑んだ。
 
「えへへ、また……、ジャミルに助けて貰っちゃった!」
 
「毎度恒例のいつもの事だしな……、別に気にしてませーん!
つーか、もう諦めたわ、嫌、諦めちゃ駄目なんだけどな……」
 
「……もうっ!ぶうーだ!」
 
半目になりアイシャが口を尖らせる。
 
「あ……きゃっ!?」
 
床のタイルでつるりと滑ってアイシャがプールに
落ちそうになる。
 
「……アイシャ!何やってんだっ!」
 
ジャミルがアイシャの手を掴んだが二人ともバランスを崩し
見事にプールに落下した。
 
「……や~ん!きゃー!冷たーいっ!いきなりの水は
危ないのよう~っ!」
 
「気を付けろよ、バーカ!」
 
「もうー!すーぐバカバカ言うんだからーっ!」
 
バカバカ言うのはあんたもです。
 
「?ジャミル、どうしたの?」
 
「うん……」
 
ジャミルはプールから上がると椅子に腰掛ける。そして、
何かを決めた様に大きく息を吐いた。
 
「アイシャ……、俺、珍の所に行ってみるよ……」
 
「え……」
 
「爺さんにも頼まれたしな、何とか話……、してみるよ……」
 
ジャミルの脳裏には爺さんの悲しそうな顔が焼き付いて
離れなかったのである。
 
「じゃあ、私も一緒に行く!」
 
「いや、お前は部屋で皆と待ってろよ……、あんな目に
遭ったばっかりなんだしさ」
 
「ジャミルと行くの!」
 
「わかったよ……、たく、しょうがねえな……」
 
「えへへー!一緒にいこーね!」
 
アイシャがジャミルに甘える。呆れつつも、ジャミルも
何となく嬉しそうであった。
 
 
……
 
 
そして、その頃。野郎二人は部屋で淋しくトランプをしていた。
ねえ、トランプしようよお、はダウドの提案。本ばかり読んでいる
アルベルトにダウドが歯止めを掛けたのである。
 
「ねえ、アルベルトとダウドってさみしいせいしゅん?」
 
「……」
 
「……」
 
スラリンが無邪気に質問。……スラリンに全く悪気はない。
しかも、質問の意味も全く分かっていないのである。
 
「……スラリン……、何処でそうゆう言葉覚えてくるの……、
駄目だよ、変な言葉覚えちゃ……」
 
「ジャミルがいってたのー!わかった、さみしいせいしゅんは
いけないことばなんだね!」
 
アルベルトがスラリンを注意するが、……二人は
何となく複雑であった。
 
「ジャミルの奴……、碌な事教えないんだから……」
 
「オイラ達ってかなりむなしいよね……」
 
「ダウド……、お互い頑張ろう……」
 
「うん……」
 
 
……ジャミルとアイシャはホテルの外に出て暫く
街の中を歩いてみる。
 
「珍さんの家ってどこかなあ……?」
 
「……多分あそこじゃね?、んだよ、あの糞……、
ソフトクリームみたいな屋根は……」
 
街の中央に一際目立つ悪趣味で派手な屋敷が建っていた。
有名な何処かの国の建築物、タージマハルを荒くした様な
感じの屋敷である。
 
「……」
 
「いこ、ジャミル……」
 
アイシャがジャミルの手をぎゅっと強く握りしめた。
 
「ああ……」
 
……果たして自分達に極悪商人を説得し、改心させる事が
出来るのか。不安に駆られながら二人は珍の屋敷まで歩いて行く。
屋敷に近づくにつれ、段々アイシャは不安になって来たのか又
俯きがちになる。屋敷の周辺にも相変わらず、がっちりと数人の
嫌らしい警備兵。
 
「よう、珍さんいるかい?」
 
ジャミルが屋敷の門にいた兵達に声を掛ける。気分を抑え、
最初は控えめに、落ち着いて話をと、接しようとした
ジャミルであったが。
 
「……何だお前達はっ!?」
 
「私達、珍さんの知り合いなんです……」
 
「嘘をつくな!お前達の様な小汚い者共が珍様の
知り合いの筈がなかろう!」
 
「しょうがねえじゃん……、顔見知りなんだし……、
それに汚ねーのはお前らのツラだろ、鏡見ろ、顔洗え、
ケツも拭けよ」