地下の宇宙
下の階にあたる2-Cの教室には、麻希が話していた通り、エリーとここにも生徒達が集まっていた。近くにラスト・バタリオンが何体も倒れている。
そして感じる、ペルソナの共鳴。
ふと周りを軽く見回すと、黒須淳も共鳴を感じているようで、
「ゆきのさんのペルソナが反応している…
ゆきのさんと知り合いだったのかな。」
と穏やかな表情で話していた。
エリーこと桐島英理子はペルソナの共鳴がきっかけかはわからないが、こちらに気がついた。
「皆さんもご無事でしたか。この学園にラスト・バタリオンが押し入ったと聞いて、駆けつけたんです。」
それぞれの階を見て回ったが、セブンスにいる生徒達はそれぞれペルソナ使いのいる教室に集まっているようだった。
「わざわざ来てもらってしまって、すまない。」
エリーは軽く首を横に振った。
「大体の事情はわかってますわ。街も、前からcrazyな感じになっていましたし…。」
エリーは、そう話すと、ふと何かを思いついたかのように目を少し瞬かせた。
「そうだ、皆さん。お見せしたいpersonaがいますの。今ここで喚んでもよろしくて?」
「俺は構わないぞ。」
「私も、見てみたいかな〜。」
舞耶姉も乗り気だ。
「ふふっでは…
ニケー,come here.」
そうすると、エリーの真上の空間に、人の形に近い姿をしていながら、両腕の部分に大きな白い一対の翼を有した、胴から下の部分がピンのように細長く尖った形をしている天使のようなペルソナが現れた。
頭部の上には黄色く光る輪も見受けられる。
神々しく幻想的な輝きを放つ翼を持ったニケーと言うペルソナは、やがてその翼を天に向かって掲げるように、さあっと開いた。
ニケーの神々しい光が、その場に居合わせた人々の肌を、優しく明るく白く照らす。
達哉達だけではなく、教室にいるクラスメイト達の視線も、そのペルソナに注がれていた。
「ニケーは勝利の女神。こんな世界だからこそ、勝利とか希望とか、そういったものは必要だと思いましたの。」
「エリーさんすごーい!!なんか元気づけられちゃった!」
ギンコが嬉しそうにしていた。
「それはよかったですわ。さぁ、学校のことは私達に任せて、あなた方は拐われた先生を助けに行ってあげてください。」
「ありがとう。」
「達哉、行こう。シバルバーへは、セブンスにある天国の門、鳴羅門石から行けるはずだ。」