二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 アープの塔編

INDEX|3ページ/5ページ|

次のページ前のページ
 

……術を掛けられたってのか?おいおい……」
 
「多分……」
 
「だけど、成り切ってるだけで、本質はスラリンに
変わりないじゃないのよ……」
 
アイシャがそう言うとアルベルトは黙って首を横に振る。
 
「それが……、凶悪な魔術催眠術を使い熟す者も
この世の中には存在するんだよ、術を掛ける時に
思い浮かべイメージした本当のその者に生り変って
しまう……、恐ろしい術を……、スラリンのあの目つき、
身体全体から放出しているオーラ……、間違いないかも……」
 
 
「……えええーーーっ!?」
 
 
「……ガルルルル~……」

「スラリン……、お願い!元に戻ってっ!私よ、
アイシャよ!皆もちゃんといるのよ!」
 
「ピキガル……」
 
「アイシャ、よせっ!下手に刺激したら駄目だっ!」
 
「だって、だって……」
 
アイシャは目の前のスラリンにどうしたらいいのか
オロオロ。又泣きベソを掻きだしたアイシャに
ジャミルも困り果てる……。
 
「アル、取りあえずこっちもラリホーを掛けて
眠らせてみたら駄目か?」
 
「……う~ん、難しい処だね……、スラリンは
モンスターだから効き難い場合もあるし……、
でも、何とかやってみるよ……、だから、アイシャも
泣かないで……、ね?」
 
「うん……、アル、お願い……」
 
アルベルトに励まされアイシャも漸く落ち着きを
取り戻した。ジャミルもダウドも……アルベルトの
魔法が効いてくれる様、ただその場で見守るしかなかった。
 
「頼む……、どうか、効いてくれ魔法よ!……ラリホー!」
 
「ガルーー!……ピ……、キー……」
 
「おおおっ!」
 
「アル、凄いよおー!」
 
どうにかアルベルトのラリホーは成功した様で、
スラリンはその場即座に眠る。しかし、先程の娘が
ラリホーを掛けた時にはスラリンだけは眠らせる事が
出来なかった。けれど今度は成功した様子。
 
「ふう~、な、何とか……、大丈夫だったみたいだ……」
 
「アル、有難う!……スラリンっ!……良かった……」
 
アイシャは急いで眠ってしまったスラリンに駆け寄り、
そっとハグする。
 
「だけど……、今はスラリン眠ってるけど、これって
根本的に何も解決してないんじゃ……」
 
ダウドが不安そうに状況を察する。確かに一時的に
スラリンは眠っているが、掛けられた催眠術はまだ
解けたわけではないのだから。
 
「だからこそ、さっきの変なお嬢さんを取っちめなきゃ、
術は掛けた本人なら解ける筈だからね……」
 
「んじゃ、尚更糞女を追掛けねえとな、……スラリンが
目を覚まさねえ内にな!」
 
「急ぎましょ!スラリンにこんな酷い事して絶対に
許さないわ……!」
 
アイシャは爆弾と化したスラリンを再びぎゅっと
抱きしめるのであった。
 
……そして、塔の最上階……。
 
「あうち……」
 
最上階では、その場に呆然と佇む娘がいた。
 
「……誰かが私の事を糞女と申した、……許せナス……、
糞女と申したのは誰だこの野郎」
 
娘は顔中に血管を浮かせその場に立ち往生していた。
先に進むかどうか考えているのである。最上階の場は、
ガルナの塔の時と同じ様に、綱渡り地獄であった。
周囲に張り巡らされた綱。其処を渡るらしい。しかも
ガルナの塔の時の倍の広さである。
 
「あのモンスターを使ってあの人達を足止めしようと
しましたが……、早くしないと此処まで来てしまい
ますわね、何せあの方達、異常な感じでしたし、
ただの変態さん達ではなさそうでしたし、仕方ないです、
此処で立っていてもしょうがないですし……」
 
娘はブツブツ言いながらも器用に綱を渡って行く。
……そして、綱を渡っている途中である閃きを思いつく。
 
「……とにかく、先に私が渡ってしまわねば……、
一番厄介そうなのはやっぱりあの元気なお兄さん
デスかしら~?」
 
それから暫く立って、お騒がせ4人組もどうにか
塔の最上階まで辿り着く……。
 
「……ハア、アイシャ、スラリンの様子はどうだ?
まだ眠ってるか?」
 
「大丈夫よ、まだ魔法は切れないわ……」
 
「そうか、でも早く何とかしてあの糞女をとっちめねえ……」
 
「……ああああーーっ!?」
 
「おい、ダウド、今度は何だよ!?」
 
早速聞こえてきたダウドの悲鳴。頼むから勘弁してくれやと
ジャミルは思うのだが……。
 
「ガルナと同じ様に綱渡りコースだね……」
 
「……うそ……」
 
アイシャもアルベルトも張ってあるアミダくじの様な
綱を見て騒然。ジャミル一人なら何とか余裕であろうが……。
 
「よし、今回は俺が一人で行って宝を取ってくる、
アイシャはスラリンを頼むな……」
 
「ジャミル……」
 
アイシャは心配するが、ジャミルはこんなの屁でも
ねえよと言う様に笑う。綱の向こう側に岸場は
幾つか有り、宝箱もうっすらと見えている……。
ダウドは今回は自分は渡らなくていいのかと思い、
ほっとするが……。
 
「気を付けてよ、ジャミル、ドジなんだからさあ~……」
 
「うるせー馬鹿ダウドっ!オメーに言われたくねえっての!」
 
内心ではジャミルを心配している。……こんな時、
どうして自分は意気地のないヘタレなんだと……。
その間にもジャミルはどんどん綱を渡りはじめる。
ジャミルが綱の中央まで辿り着いたその時……。
 
「……シャキーン……」
 
「っ!お、お前はっ!」
 
「!!」
 
先に南西の向こう側の岸まで辿り着き、隠れて様子を
覗っていた娘。……4人の前に姿を現す。
 
「これ以上来ちゃ駄目、……この塔のお宝は
私が頂くの……、ちなみにこれは笛ではなかった……、
博愛リング、チョーいらね」
 
「何だよ……、何考えてやがる……、まさか!」
 
娘はくすりと笑うと呪文の詠唱を始める……。
アルベルトも感づく。あれは炎系の呪文の詠唱だと……。
 
「ジャミル!急いでこっちへ戻って来るんだっ!
彼女はメラミで綱を燃やす気だよっ!」
 
「ご名答ス、あんた、頭いい……、でも、もう遅いです」
 
「……わわわっ!」
 
娘の放ったメラミは既にジャミルの足元まで到達し、
ジャミルがいる足場の綱を燃やしてしまう。
 
 
「……うわあああーーっ!!」
 
 
「ジャミルーーーっ!!」
 
アイシャが叫ぶ。その時にはもう、綱が無くなり足場を
燃やされたジャミルは下の階へと落下していた……。
 
「これで邪魔者消えた、後は残りのお宝を徴収するだけ……」
 
「なんて事をっ……」
 
「……許さないよおおお!」
 
アルベルトもダウドも向こう岸にいる娘を強く睨んだ……。
アイシャは放心状態であったが、やがて決意した様に
立ち上がる……。
 
「アル、ダウド、私、この下に飛び降りる、ジャミルを
助けに行ってくるわ、大丈夫、きっとジャミルは無事よ……」
 
「……アイシャっ!?」
 
「また駄目だよお!無茶したらっ!!」
 
アルベルトとダウドもアイシャを止めようとするが、
アイシャは眠っているスラリンを抱いたまま
黙って首を横に振った。
 
「ううん、いざないの洞窟でも、皆、私が亀裂に