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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 サマンオサ編

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「そうですか……、では、どうかお気をつけて……」
 
ジャミル達は最後の鍵を使い、旅の扉がある部屋へと入った。
 
「……なんか嫌だよお……」
 
「しょうがねえじゃん、俺ら何かしら騒動に巻き込まれんだよ」
 
「……うう~」
 
悲観するダウド。そして旅の扉を通り一行は漸く
サマンオサへと辿り着く。
 
 
サマンオサ
 
 
城下町へと入った途端、4人はしょっぱなから嫌な光景に
出くわす。……重い棺を担いだ数人の男達がのろのろと
無表情で歩いてくる……。
 
「……葬式……か……」
 
「お父さん……、……お父さあああん!!」
 
側にいるのはどうやら娘らしく半狂乱で
泣きわめいている。
 
「もう諦めな……、死んだんだよ……、お前の父親は……」
 
「……いやあーっ!お父さんを……、お父さんを……、
連れていかないでーーっ!」
 
「……」
 
事情は判らないがジャミル達には掛ける言葉が見つからなかった。
 
「……お父さ……、ん……、う……」
 
「……おい!大丈夫か!?」
 
ジャミルが咄嗟に倒れそうになった娘に駆け寄り助け起こす。
……棺を担いだ男達は構わずのろのろと歩いていく……。
 
「……何なんだよ、一体何があったってんだ!?」
 
ボーっとただ突っ立って、一部始終を見ていた男が漸く
4人の方を見て口を開く。
 
「ひでえもんさ……、王様の悪口を言っただけで死刑なんて……、
いい奴だったのによ……」
 
「一体どうしちまったんだろうね……、この国の王様は……、
本当に昔は優しい王様だったのにさ……」
 
主婦らしきおばさんも呟く。色々と話を聞いてみると王が
豹変したのは数年前の事で人々は重い税金の取り立て、
民への暴行で皆苦しんでいるとの事だった。
 
「ああ、嫌だよ!もう……、逆らえば殺されるし……、
国王なんか早く死んじまえばいいのさ……!」
 
「……お前やめろ!今の話が兵の耳に入れば
どうなると思っとる!密告されればわしらも生きては
おられんぞ……!」
 
「うう……、もう死んだっていいよ……、生きていたくない……」
 
「……ハア、今回も大変そうだな……」
 
……老夫婦の会話を聞いていたジャミルがボリボリ頭を掻いた。
4人は心変わりしたという、サマンオサの国王に謁見を求め
王宮の城門前へと行ってみた。……処が……。
 
「む!怪しい奴め!」
 
城門前の衛兵達が物凄い勢いで4人につめ寄り激しく捲くし立てる。
 
「王様に会いたいんだけど……」
 
「曲者だあーーっ!」
 
「お……?」
 
「皆の者ーっ!こいつらをひっ捕らえよ!」
 
「……おい、ちょっと待てや!」
 
……一人の兵の掛け声で、衛兵は更にわっと増え、4人は
あっという間に取り囲まれる。兵士達がジャミル達の話を
真面に聞こうとする筈がなく……。
 
「やだよおーーっ!」
 
「何するのよっ!」
 
「……くっ!」
 
ジャミル達はあっさり捕まり、地下牢へとポイされたのであった。
 
 
「其処で大人しくしていろ、すぐに死刑だ、ハハっ!」
 
「酷いわ……、私達、何もしてないのに……、いきなりこんな……」
 
「zzzz……、ピキ~……」
 
強引な酷い仕打ちに涙ぐむアイシャと呑気なスラリン。
門前の兵士は牢屋の見張りの兵の方にバトンタッチし自分は
口笛を吹きながら上へと戻って行った。
 
「アイシャ、大丈夫だ、ホラ……」
 
「あっ……、忘れてたわ!」
 
ジャミルは見張りの兵に見つからない様にしてポケットから
最後の鍵をちらつかせる。
 
「うひひひ……、もっとよく見りゃいいのに……、バカだねえ~、
くくくく……、バーカ……」
 
「でも問題はあの見張りだよね……、あの人をどうにかしないと
此処から逃げられないよ」
 
アルベルトが困った顔をする。
 
「……よし、作戦会議だっ!」
 
 
10分後……。
 
 
「よし……、これで行くぞ!」

 
「……うん!」
 
 
「……ん?」
 
 
……お前がやれよ!ダウド!
 
なんでぇー?こう言う役はジャミルでなきゃ!
 
じゃあアルう!お前やれ!
 
え!?僕じゃ出来ないよ……、無理だよ……
 
私は絶対嫌だからね!
 
 
「……お前らあ!何をこそこそと!」
 
見張り兵が騒ぎ出した4人に近寄ってくる……。
 
「!やべ……」
 
「ほらあ、早く……、ジャミルぅ!」
 
「わ、分かったよ……!たく……」
 
「何だ……?」
 
「……あの~、看守さん……」
 
ジャミルは薄ら笑いを浮かべながらいそいそと鉄格子に近づく。
 
「今更命乞いか、聞かんぞ」
 
「……俺……、トイレ行きたい……、ここの牢屋便所が
無くてさあ……」
 
「其処で適当に様を足すんだ、贅沢者めが」
 
「ひっでー!俺、今、腹壊してんだぞ!ウンコだよ!
ウ・ン・コ!」
 
「お、おい……」
 
「あそこに女の子がいるのに此処でケツ出せっつーの!?
あんまりだ……」
 
「……あっちの方出しても困るけどね……」
 
嘘泣きを始めるジャミルと苦笑いするダウド。
 
「わ、判った……、仕方がない、鍵は上にある、取って来て
やるから待ってろ……」
 
「……もう……、やだあ……、ジャミルのバカ……」
 
「我慢しようね……、アイシャ……」
 
アイシャを宥めるアルベルト。見張りの兵は鍵を取りに上へと
戻って行った。
 
「チャーンス!」
 
ここぞとばかりにと最後の鍵で鍵をささっと開ける。
 
「どうにか出られたな……、はあ、ホント重宝するよ、この鍵」
 
「でも、武器没収されたまんまだよお……」
 
「仕方ねえよ、後で何とかして取り返せばいい!取りあえず
逃げる方が先だぞ!ダウド!」
 
「……う~ん……」
 
「早く逃げよう!モタモタしてると間に合わなくなるよ!」
 
4人は急いで出口に向かって走り出そうとする。しかし……。
 
「……う、うう……、そこの方……」
 
別の牢屋の中から呻き声が聞こえ、4人は思わず足を止める……。
 
「だ、誰だ!?」
 
牢屋を覗くと、頭部を覆う鉄仮面を被せられ、冷たい牢獄の床に
倒れている男性らしき人物の姿が……。
 
「わ、儂は……、この国の……、本物のサマンオサの国王だ……」
 
「!?」
 
「あらゆる物に姿を変えられる杖、変化の杖を何者かが儂から奪い……、
儂に化け……、この国を乗っ取り儂も此処へと閉じ込められた……」
 
「では、今の国王様は間違いなく偽物なんですね……!?」
 
「それじゃあ……、王様はもう何十年も誰にも分からず此処に
ずっと閉じ込められてたって事!?」
 
「……酷い事するのね……、身体中傷だらけよ……」
 
「お前ら……」
 
「……あっ!」
 
いつの間にか見張りが戻って来ていた……。4人は身構え後ずさる。
 
「騒ぐな……、こっちに来い……」
 
「?」
 
兵はジャミル達をある場所へと静かに誘導する。別の牢屋の中であった。
 
「……此処の牢部屋から城下町の墓地へと通じる隠し脱出口が
ある筈だ……、直に逃げるより其処から逃げた方が騒がれずに
済む可能性が高い……」
 
「な、何で……?」