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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 サマンオサ編

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見張りの兵はジャミル達の方を見ず、静かに喋り出した。
 
「此処から南の方にある洞窟の中に真実を映し出すラーの鏡と
云う宝が眠っているという……」
 
「おっさん……」
 
「早く行け、俺は何も見ていない……」
 
「行こう、皆……、中に入ってみようぜ」
 
ジャミル達は牢部屋へと再び入り隠し通路を探した。
 
「あった、ここだな!行こう!」
 
「……最近の王はおかしい……、まるで魔物が取りついて
いるかの様だ……」
 
見張りがまたぽつりと呟いた。相変わらずジャミル達の方は
見ないままで。見えない相手と話しているか、あるいは独り言を
言っているかの様に。
 
「……」
 
「早く行け、俺は何も見ていないのだから……」
 
「わ、わりィな……、おっさん、手助けしてくれて……」
 
「……忘れていた……、お前達から取り上げた武器だ……」
 
「忘れんなよ!」
 
「……いいから!早く……!」
 
アルベルトがジャミルを引っ張る。
 
武器も取り戻し、一行はどうにか城から無事、外へと
脱出する事が出来た……。武器屋に立ち寄り、ジャミル用の
新武器、ドラゴンキラーを購入して。いい加減に俺のこの鉄の
斧どうにかしろとジャミルが騒ぎ出した所為もあったが。
 
 
……
 
 
「何だかあの兵士さん、心配だわ……、もしも私達を逃がした事が
ばれたら……」
 
「ああ、あのおっさんの為にも急がねえとな!一刻も早く
偽糞国王の正体を暴いてやらねえと!」
 
「……ピキ?」
 
アイシャに抱かれて眠っていたスラリンが目を覚ました。
 
「いい気なモンだね……」
 
「あ、あそこじゃない……?」
 
やがて、橋の向こうに毒の沼地に囲まれた洞窟が見えてきた……。
 
「ここを通るのか……」
 
「毒の沼地だ……」
 
「通るの……?」
 
「ここ超えなきゃ中に入れないしな……、仕方ねえ……」
 
ジャミルが足を一歩、沼の中に踏み入れる……。
 
「……く……、きくうー!」
 
「ジャミル、大丈夫……?」
 
アイシャが心配する。
 
「…大丈夫だ、沼もそんなに深くない、ちょっと我慢して……、
一気に通っちまえば平気だ……」
 
「……ちょっとおー?」
 
いつもの通りアルベルトとアイシャが先に渡り終え、
ダウドがオロオロしていた。
 
「大丈夫だよ、僕がホイミ掛けてあげるから~」
 
「……う~、べホイミにしてよお~……」
 
アルベルトが呼んでもまだうじうじと、沼をじーっと見つめ
ぐずっている。
 
「早くしないと先に行くからなー!」
 
「!ま、待ってよおー!!」
 
置いて行かれるのも困るダウドは慌てて皆の後を追った。
 
 
サマンオサ南の洞窟
 
 
一行は地下2階までは順調に進んだが……。
 
「うは、宝箱だっ!」
 
「すごーい!」
 
これでもかと言う程、……ずら~っと沢山の宝箱が
並んでいる場所に出た。
 
「あっちにもあるわー!」
 
「こっちにもー!もっと有るかもー!」
 
「……」
 
「どうした?」
 
いつも通り慎重派のアルベルトが宝箱を見つめ、じっと考えている。
 
「おかしいよ……」
 
「まーた始まった!何でもかんでも考えんな!」
 
「……だって……」
 
「ジャミルー!こっちにもあったよおー!」
 
ダウドがジャミルに手招きする。
 
「おー、どこだ!」
 
「……」
 
「とりあえず、これから開けてみっか!」
 
「どきどきするね!」
 
「ワクワクもんだよお!」
 
「よし、俺が開けるっ、……せーのっ!」
 
「……」
 
 
……あ……、ぁぁぁーーーーーッ!!
 
 
「ど、どうし……」
 
悲鳴に駆けつけ、アルベルトが見るとジャミルがミミックに
ケツを噛みつかれていた。
 
「……だから言ったでしょ……?君は本当に学習しないと……」
 
「見てねえで早く取ってくれーっ!!」
 
「……」

「なんかもう……、これ以上先に進む道が見当たらないんだけど……」
 
「……敵も強いし……、MPもあんまり無くなってきたし……、
疲れちゃった……」
 
「ピキキー!おなかすいた!」
 
「……あのなあ~……」
 
いつものダウドに加え、今日はアイシャ達もぐずりだし、
ジャミルは頭を抱えた。
 
「……オイラもお腹すいたよう……、何故かふと、意味もなく、
食べたくなるよお、からあげクン……、ぐすん……」
 
「何言ってんだよ、お前……」
 
「いいんだよお~……」
 
「頑張ろう、アイシャ、ダウドも……」
 
「アル、……分ってるけど……、ふう~……、少し休みたいわ……」
 
ダウドならこんな場面は別に珍しくないが、頑張り屋のアイシャまで
愚痴を言い出すとは相当である。……彼女も一度、ガルナで愚痴を
溢し、ジャミルが切れて顔を大きくした事が有ったものの。普段は
本当に弱音を吐かない頑張り屋さんなのだが。……いきなり牢屋に
ぶち込まれた所為もあって、疲労困憊なのかも知れなかった。
 
「俺だって疲れてんだよ……、たく……、あー、腹減っ……」
 
 
ズルッ……
 
 
「た……?」
 
「ジャミル!」
 
 
「……おわあーっ!!」
 
 
どうやら落とし穴があったらしくジャミルが落ちた。
ジャミルが落ちた穴の側に慌てて駆け寄る仲間達。
 
「ど、どうしよう……?ジャミルー、おーい、生きてるー?
……へ、返事が出来ないならおならで返事の代りしてー……」
 
「……」
 
無茶苦茶を言うヘタレである。ダウドが穴をそーっと覗き込み、
ごくっと唾を飲み込む。……かなり深そうである。
 
「僕らも行かなきゃ!けど、よく落とし穴に落ちるなあ……」
 
「い、行くわよっ、スラリンっ!私にしっかり掴まっていてね!」
 
「ピキー!」
 
アルベルトとアイシャが飛び込み、その後ダウドも何故か
鼻を摘まんで嫌々飛び込んだ。
 
 
「……痛っ!」
 
「やんっ!いったーい……」
 
「ピキー!からだがなんだかふわってなったよ!おもしろーい!」
 
「……イテッ!」
 
ジャミルの上にアルベルト、スラリンを抱いたアイシャが落ちてくる。
 
「……でも、確か、女の子が不思議なふかーい穴に落ちて
冒険するお話があったかしら?そうね、ふしぎの国の
アリスだったわね……、ふふ、私、アリスになっちゃった!」
 
「ピキー!アリスー!」
 
先程の疲れと愚痴は何処へやら。一人メルヘンの世界に
入ってしまったらしく、アイシャはすっかりお元気お嬢ちゃんに戻った。
 
「……うわぁぁああーーっ!」
 
最後に。ついでにダウドも落ちてきた。ジャミルは3人に
一辺に潰され下敷きに……。
 
「……お前ら重いよー!!この重量オーバー関取共めえーー!」
 
「……失礼だなあ!」
 
「どすこいだよお!」
 
「そうよっ、失礼ねっ!ぶー!私重くないもん!」
 
アイシャがぷうっと膨れた。
 
「イテテテテ……、に、しても此処何処だ?」
 
ジャミルが腰を摩りながら辺りを見回した。周囲には
地底湖がある。……その湖の側に何故かぽつんと一つ、宝箱が。
 
「あっ、宝箱かな……」