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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 夢の町・再出発編

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「うふふ、あったかーい……」
 
それから何日かして、どうにかジャミルはベッドから
起き上がれる様になったのだが……。
 
「……まだ駄目っ!調子に乗るとぶり返すよ!?」
 
と、アルベルトに怒られるのでまだ暫くは仕方なくベッドで
ごろごろしている事にした。
 
「あー……、身体が鈍る……、暇だあ……」
 
「駄目よ、静かにしてないと、私達、病人なんだからね……」
 
「……大人しくしてろっつーのも中々辛いなあ……」
 
「もう……」
 
 
夕食時、アルベルトが作ってきてくれた食事を船室で二人で食べる。
 
「……また塩辛い野草野菜スープか……、アルの奴……」
 
「ごめんね、まだ私があんまり食べられないから……」
 
「いや……、別にいいんだけどさ……」
 
ジャミルは落ち着きがなくそわそわしていた。
落ち着きがないのはいつもの事だがこの頃は更に
おかしかった
 
「……」
 
ジャミルは隣のベッドに座っているアイシャの顔を
じっと見つめた。
 
(……熱があった時は何も考えてなかったけど、俺、今、
二人きりなんだよな……、アイシャと……)
 
いつもは男3人部屋、女の子のアイシャ1人部屋で寝ているが、
アルベルトとダウドにも風邪がうつるので治るまでの間だけ、
このコンビは今は二人一緒の船室で今は寝ている。
 
「……さっきから何?私の顔に何かついてる……?」
 
「い、いや……」
 
「なあに?」
 
幾らアホでもジャミルもやっぱり男だった。特にアイシャも
年頃である。……男女二人がずっと同じ部屋で何も起きない
筈がなかった。
 
「俺達、その……」
 
「……」
 
「キ、キス……、まではしたんだよ……な……」
 
「う、うん……」
 
思い出したのかアイシャが顔を赤くする。
 
「……つ、つまり……、俺としてはだな、もう一ランク、
その……、ステップアップしてだな、えーと、えーと……」
 
「はっきり言ってよ!聞こえないよ!」
 
「だから!次の段階へ進んで……、エロとかエロとか……、
えーと、えーと……」
 
「元気い!?二人ともー!あ、元気じゃないよねー!」
 
「……ひえええええっ!?」
 
いきなりドアを開けてぬっとダウドが中に入って来た。
 
「脅かすな!」
 
「……何そのオーバーリアクション……、オイラの顔が
怖いってゆーの!?」
 
「別になんでもねえよ……」
 
(たく……、邪魔しやがって……)
 
「何?」
 
「だから、何でもねえよ……」
 
「これアルが持ってけって、二人が退屈だろうからって、
これ聞いて暇つぶししてろってさ」
 
「……ラジオかよ……」
 
「早く風邪治せって!」
 
ダウドは船室を出て行った。
 
「折角だから聞いてみるか……、気晴らしになるかもな」
 
「ねえ、ジャミル……、さっき言い掛けた事って……、なあに?」
 
「ん?ああ……、これからも一緒に頑張ろうぜって言う事さ!」
 
「……」
 
しかしアイシャにはジャミルが何を言い掛けたのかちゃんと
分かっていた。
 
(嘘……、何よ、意気地なし……、ジャミルのバカ……)
 
(やっぱり俺にはまだ早すぎるのかもな……、でも、何時かはな……)

ジャミルがチャンネル探しでラジオをガチャガチャ弄繰り回す。
 
 
『はい、今週のおうたのリクエストはロマリア在住の
国王様って外道!さんから……、かぶれたイボおしりのうた……』
 
 
「……碌な放送ねえなあ……、マトモなのねえかな?」
 
「……ちょっと!チャンネルDBSにしておいてよ!
ラジオドラマの春が来た・春だっぺ?があるんだから!」
 
「何それ……」
 
「イイのっ!私が聴きたいのよう!」
 
アイシャが膨れた。本当に時々ワケ判らんジャジャ馬だなあと
ジャミルは思う。この4人組はアルベルトもダウドも、
勿論一番人の事言えないジャミルもそうなのであるが。
 
「へいへい……、お嬢様、セット致しましたようー!」
 
「さあ、もうすぐ時間だわ、ワクワク!」
 
「……面白い……のか?」
 
 
『……えー、この時間はラジオドラマを放送予定でしたが、
緊急ニュースの為番組をお休み致します、御了承下さい……』
 
 
「えー!何よそれ!!ひどーい!!」
 
「静かにしろよ!うるせえな!」
 
「ぶうーっ!」
 
 
『……本日、午後16時、移民街ドリーム・バーグにおいて、
街民達が暴動を起こした様子……』
 
 
「な……!?」
 
「えーーっ!?」
 
 
『……尚、街民達は街の独裁者、珍を捕獲し捕えた模様です……』
 
 
「そんな……、珍さん……」
 
アイシャがショックでラジオの前で固まる。……遂に
独裁者珍に対して来るべき時、……裁きの時が訪れたのである。
 
「……等々やられちまったね……、ま、いずれこうなるとは
思ってたけどな……」
 
「ジャミル……、行こうよ……」
 
「ど、何処へ……」
 
「決まってるじゃない!珍さんの所よ!」
 
「あんな奴ほっとけよ!あいつをどうするかは俺達が
決める事じゃない」
 
「……でも……、でも……」
 
「げ……」
 
あれだけ酷い目に遭ったにも拘らず優しいアイシャは
珍の身を案じており、今にも泣きそうであった……。
 
「わかったよ……、分ったから……、んな顔すんなよ……
ドリームバーグへ直ぐに行こう、アル達にも言わないとな……」
 
「ひっく……、うん……」
 
(……う~、立場弱いなあ、俺……、とほほ……、アイシャめ、
何でこんなにお節介で優しいんだか、全く……)
 
アルベルト達にも事情を話して一行は再び移民街へと
足を運ぶ事となった。
 
「一つ聞きたいんだけど、君達、何時風邪治ったの?」
 
「いいんだよ、細かい事をいちいち突っ込むな!」
 
「……ふうーん……」
 
顔を赤くしているジャミルの方を見ながらアルベルトが
ニヤニヤ笑った。
 
再びドリーム・バーグ。
 
街の中は以前と様子が全く違っており、彼方此方うろつく
警備兵もいなくなっていた。
 
「ママー、よかったねえ、こわーいおじさんがいなくなって!」
 
「そうねえ、ふふふ」
 
手を繋いだ親子連れが歩いてくる。
 
「な、なんか……、みんな凄く楽しそう……、雰囲気
随分変わったねえ……」
 
街のあまりの変わりっぷりにダウドも首を傾げる。
 
「ねえねえ、お兄ちゃん達!」
 
「な、何だ?」
 
子供がジャミルに声を掛けてきた。
 
「これから広場で子供のど自慢大会があるんだよー!」
 
「あなた方もご旅行か何かで此処に立ち寄られたのですか?
ふふ、素敵な街ですわよ、此処は」
 
母親が笑う。ジャミル達は以前此処に来た事が有るのに
街の者は誰一人として4人の事を全く覚えていなかったのである。
 
「……ジャミルさん……」
 
聞き覚えのある声が後ろから聞こえてきた。。振り向くと、
其処にいたのは……。
 
「その声は……、爺さんかい!?」
 
「ジャミルさん……、おおお……、おひさしぶり……」
 
「……うわ!」
 
爺さんがよろよろと駆け寄って来てジャミルの方へ斜めに
倒れてきそうになる。