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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 オリビア&エリック編

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「信じなきゃね……、僕の大切な人が待つ場所にきっと……、
きっと戻るんだって!」
 
「何か臭くなってきたな……」
 
聞こえない様にしてジャミルが呟いた。
 
「ジャミル……」
 
「ん?どうしたよ、アル?」
 
「空が……、雲行きが怪しいんだよ……、それに風も
何だか強くなってきたみたいだ……」
 
ジャミルもアイシャも空を見上げる。……それはあの日、
4人が岬を通ろうした日と全く同じ様な真っ黒で
不安定な空であった……。
 
「……船長!!大変です!!」
 
「何だあ!?」
 
 
「……嵐が来るーーっ!!」
 
 
「……ジャミル……、アル……!!」
 
アイシャが二人の手を強く、……ぎゅっと握りしめた。
 
「大丈夫さ……、平気だよ……」
 
アルベルトもアイシャを安心させようとするが……。
 
しかし……、次の瞬間、流刑船は瞬く間に竜巻と
大波に飲み込まれ船もバラバラになり、乗っていた
船員達も全員海に投げ出される……。そして、
ジャミル達3人もあっと言う間に冷たい黒い海へと
飲みこまれた……。
 
 
(アル……、アイシャ……、う、うっ……)
 
 
ジャミルは必死で二人を探そうとするが……、水が
あまりにも冷たく力が入らない。
 
(……苦しい……、息が……くそっ……!)
 
気を失い掛けたジャミルの耳に死に際の船員達の悲鳴と絶叫、
……断末魔が聞こえてくる……。
 
 
……死ぬのは嫌だよー!!助けてくれー!!
 
怖いよー、こんな所で死にたくないよーー!!
 
 
……オリビア……、約束……、守れなくて……、ごめんね……、
でも……、最後に……、もう一度だけ……、君に……
 
 
(……エリック!?……それにオリビアって……、まさか……、
その名前があんたの大切な人の……)
 
 

姿はみえど、暗い海の中から微かにエリックの声も
聞こえてくる……。
 
 
……僕はやっぱり……、君の元にはもう……、
帰れないみたいだ……
 
 
(……駄目だ!諦めんな!!あんたは生きて恋人の所に
帰るんだろう……!?)
 
 
……ジャミルは必死で心の中でエリックの声に呼びかける。
 
 
……オリビア……、せめて……、君だけは……、どうか
幸せになっておくれ……

 
         ……さよう……なら……
 
 
……其処でエリックの声と言葉は途切れジャミルの意識も
遠くなっていった……。


「……」
 
「ジャミル!」
 
「……は、はっ!?」
 
「良かったー!目を覚ましたわ!!」
 
「此処は……、俺達の船!?」
 
やっと目を覚ましたジャミル。……回りを見るとアルベルトも
アイシャもちゃんといた。勿論、ダウドとスラリンの姿も。
皆、ちゃんといる。3人は幽霊船の中で冒険していた筈で
あるが、元通りの自分達の船の中にしっかり戻って来ていた。
 
「アル……、アイシャ……」
 
「……ジャミル!」
 
アイシャがジャミルに泣きながら飛びついた。
 
「怖かったー……!もう二人に会えないかと……、
ぐすっ……」
 
「オーバーだなあ!ったく……」
 
「でも本当に怖かったんだから!お水沢山
飲んじゃったし、……船員さん達が苦しんで……、
叫んでいる声が海の中でいっぱい聞こえたの……」
 
そこまで言ってアイシャはジャミルから手を放した。
 
「……助けてくれーって……」
 
「……」
 
「で、でもびっくりしたよおー!オイラちょっと
昼寝してて目覚まして、そのあと、休憩室で
カップめん食べて、んで、甲板に行ってみたら
3人共倒れてたんだよ!本当、びっくりしたよー」
 
「……そうかいそうかい、俺らが海で溺れ掛って
大変な目に遭ってる時に……、オメーはよっ!」
 
「!?アタタタ!何だよおっ!」
 
……ジャミル、ダウドを羽交締めに掛かる。
 
「ねえ、ジャミルぅ、それ、なあに?」
 
スラリンが床に転がった小さなペンダントを見つける。
……写真もしっかりと中に入っていた。
 
「これは……、エリックさんのロケットペンダントだ……」
 
アルベルトが俯いた。
 
「何でまた……、此処に?」
 
ジャミルがペンダントをそっと拾い上げた。
 
「やっぱりあの幽霊船は……、俺達に沈没する直前の
船の記憶を見せてくれてたんだな……」
 
「ねーねー、本当に何があったのさあ?」
 
……ジャミルはダウドに幽霊船での出来事を話し、説明する。
 
「そうだったんだ、そんな不思議な事が……、や、
やっぱりオイラは行かなくて良かった……、ほっ……」
 
「何だ……?」
 
「い、いや、何でもないよお……」
 
「これでやっとはっきりしたな、多分……、あの岬の声の主が
エリックの恋人のオリビアなんだろうな……」
 
「そ、それじゃあ……、オリビアさんも、もうこの世に
いないって事……?どうして……」
 
そこまで言ってアイシャが口をつぐんだ……。
 
「とりあえず今日はもう船留めて休むか、
暗くなってきたしな……、アイシャもアルも
疲れたろ?」
 
「あ、あのね……、私また……、ポルトガに行きたいなー、
なーんて…」
 
「は?何でまた……」
 
「そろそろ新しい水着が……、欲しいなあー、
なーんて……」
 
「お前な……」
 
暗かったムードを急に天ボケアイシャが
一転させる……。
 
「……いいんじゃないの?ここん処せっぱつまってたし、
玉には息抜きしないとストレス溜っちゃうよ?」
 
「アルぅ♡」
 
やはりアイシャには甘いんだか何だか、アルベルトが
フォローを入れた。しかし、内心はポルトガにいる殿下に
会いに行きたかったのである。
 
「オイラも行きたーい!あそこには美味しい魚料理の
お店があるんだよおー!ガイドブックで再確認して調べたーっ!」
 
「ピキー!ボクもポルトガってみてみたーい!」
 
「ホラ、スラリンも行ってみたいって!いこいこだよお!」
 
「……判ったよ……」
 
「ジャミル……?元気ない?」
 
ダウドがジャミルの顔を覗き込んだ。
 
「もう色々あり過ぎで混乱して疲れてんだよ……」
 
「ジャミルっ!元気出して!らしくないわよっ!?」
 
「イテテテ!」
 
「ジャミルが元気ないの嫌だよお!」
 
「私も!」
 
「ピキー!」
 
アイシャ、ダウド、スラリンまでジャミルに
纏わりつき始めた。
 
「分ったから……、おぶさらないでくれ……、お前ら
子泣きじじいか……」
 
「オイラじいさんじゃないよお!」
 
「ひどーい!」
 
「あ、アイシャは子泣きばばあか……、イ、イテテテテ!
何だよ!!」
 
(良かった……、元気になってくれて……)
 
アルベルトがくすっと笑った。
 
「アイシャ!頭叩くな!コラやめろ!!」
 
「これ以上頭悪くなったら大変だからその辺にして
おいてあげなよお、アイシャ」
 
「……おめーもうるせんだよ!馬鹿ダウド!!」
 
 
そして、手っ取り早くアルベルトのルーラで一行は
再びポルトガへと訪れる。


ポルトガ
 
 
「何か久しぶりだね……」
 
(はああ……、殿下殿下……、ああ、ナイトハルト様……)