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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 オリビア&エリック編

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「うーっ、寒くなって来たなあ……」
 
「本当ね……、又風邪ひかない様にしようね……」
 
「ん?」
 
「どうしたの?」
 
「さっきの……」
 
ジャミルが猫を抱いた青年が道端に座っているのを
見つけたらしい。
 
「おーい!」
 
「もう!ジャミルったら……」
 
「あ、先程の……、お店にいた方達ですよね?どうも……」
 
「こんなとこで何してんだ?」
 
「サブリナが寒がっているので温めてあげているんです」
 
「ニャー」
 
「わー、かわいい♡」
 
アイシャがサブリナに触ると喉をゴロゴロさせ
サブリナがすり寄ってきた。
 
「おかしいですか……、僕……」
 
「え!え、え、え……、いや、そんな……」
 
ストレートに言われた為、流石のジャミルも対応に
困ってしまうのであった。
 
「おかしいですよね……、いいんですよ……、
笑ってもらっても……」
 
青年はそう言って俯き、……やがて言葉を漏らす。
 
「サブリナは……、僕の彼女は本当は人間だったんです……」
 
「なっ!?」
 
「……えええ~っ!?」
 
「彼女は……、バラモスの呪いによって……、
猫にされてしまったのです……」
 
「な、何で……」
 
「……」
 
青年は俯いたままでそれ以上何も喋りたく
なさそうだった。
 
「……すまねえ……、事情を知らなかったとは言え……、
俺……、酷え事言っちゃって……」
 
「いいんですよ……、少なくともあなた達には
僕達の事を理解して貰えた……、
それだけで充分です……、嬉しいです」
 
青年がジャミル達の方を見て漸く笑った。
 
「ニャー」
 
サブリナも一声嬉しそうに鳴いた。
 
「……もしかしたら……、バラモスの野郎を倒せば
呪いが解けるかも……」
 
「そんな……、無理ですよ……、誰がそんな危険な事を
してくれると言うんですか……!?」
 
「俺達さ!」
 
「……えっ……?」
 
「私達がバラモスをやっつけるの!」
 
「あなた達は……、一体……」
 
ジャミルは青年に自分たちの素性を話すと、青年は暫く
呆然としている様子であった。
 
「まあ、とりあえずは任せとけっちゅーこった」
 
「うふふっ」
 
「な、何かおかしいか?」
 
「だって……、最初ジャミルってば勇者なんかやだやだ
言ってたのに今やる気満々なんだもん」
 
「しょうがねえじゃん……、頑張んねえとこの話は
終わんねえからよ」
 
「でも……、今のジャミル凄くかっこいいよ……」
 
ジャミルの方を見てアイシャが顔を赤くする……。
 
「そ、そう……?いやーまいったなあ!はっはっはっは!」
 
「もー!すぐ調子に乗るんだから!」
 
「……神様って……、本当にいるんだね、ねえ、サブリナ……」
 
青年がサブリナを抱きしめ涙を流す。
 
「ニャアー……」
 
「……サブリナの家は先祖代々、誘惑の剣という
不思議な力を持つ剣を守ってきました……、ところが
その剣の力を悪用しようとバラモスが剣を奪い
サブリナも猫にされてしまったのです……」
 
青年は漸く思い口を開き、サブリナの身に起きた悲劇を
ジャミル達に話し始めてくれたのだった。……段々心を
開いてきてくれた証拠だった。
 
「……たく!あっちでこっちで迷惑掛けやがって!
とんでもねえ野郎だな!バラモスは!!」
 
魔王の事言えない。あんたもそうです。
 
「ごめんね、サブリナ……、僕がもっと強かったら
君を守ってあげられたのに……」
 
「そう自分を責めるなよ……、世の中にはどうしようも
出来ねえ事もあるのさ……」
 
「……」
 
「私達に任せて、今はサブリナさんの傍にいてあげる事が大事よ」
 
「ニャー」
 
愛おしそうにサブリナが青年の顔を舐めた。
 
「そうですね……、あなた達を信じます!どうか
サブリナを助けて下さい……!!」
 
青年の名はカルロスと言い、カルロスはジャミル達と
別れるまで何度も何度も頭を下げた。

「ねえ……、ジャミルは……」
 
歩いていたアイシャが急に立ち止まると
ジャミルの手をそっと握った。
 
「ん?」
 
「もしも私が……、猫にされたらそれでも
好きでいてくれる……?」
 
「たりめーだろっ!バカ!……デ、デコピンするぞ!?」
 
「ジャミル……」
 
アイシャは嬉しそうな顔をするが、慌ててすぐに額を押えた。
 
「どんな姿になったってアイシャはアイシャじゃねえか、
イノシシになろうがマントヒヒになろうがゴリラになろうが……、
イ、イテテテテ!」
 
「嬉しいんだけど……、どうしてそう言う例え方しか
出来ない訳!?」
 
「あ、雪だ雪!遂に降って来たなあ!これ積もるぞー!」
 
「もう!すぐ誤魔化すんだから!」
 
「しかし、何か本格的に寒くなってきたな……」
 
「もう寄り道しないでそろそろ宿屋に戻ろ、アル達が待ってる」
 
2人は宿屋目指して歩き出す。辺りも真っ暗に
なってきて静かである。
 
「ふう、本当に寒いね……」
 
「アイシャ、ちょっとこっち来いよ」
 
「……なあに?」
 
「いいから!」
 
「きゃっ!?」
 
ジャミルがアイシャを胸元に抱き寄せた。
 
「あったかい……」
 
「寒くねえだろ?」
 
「うん……」
 
二人は寄り添って、ゆっくりと宿屋まで歩いていく。
到着する頃にはもうすっかり雪景色。宿屋に行くと
テーブルで寛いでいたダウドがスラリンと真っ先に
飛び出して来た。
 
「おっひゃえりなひゃーい!!」
 
「ピキー!おねえちゃん!おさかなおいしかったよー!」
 
スラリンがアイシャにジャンプして飛びつき
アイシャもスラリンをハグ。
 
「ただいま!よかったわねえ、スラリン!」
 
「お、おい……、ダウドの奴……、何かすげー
酒臭いんだけど……」
 
「少し酔ってるんだ……」
 
「にへらあ~……」
 
アルベルトも二人を迎えるが、笑っているものの、
顔が困っている。このダウドの赤い暴けた表情を見ると、
どうやら又何かあったのは分るが。
 
「ええ?何でまた……」
 
「他のお客さんが面白がってウォッカを飲ませちゃったのさ」
 
「今度はこっちが悪酔いしてんのか……」
 
「すけふぇえ、こんふぁおひょくまふぇはひひてたほかな?」
 
「……何言ってるかわかんねーよ!」
 
一発ポカリとダウドの頭を殴るジャミル。
 
「ふふ、随分賑やかですねー、羨ましい」
 
カウンター越しに宿屋のおかみさんが笑った。
 
「こんばんは……、一曲いかがですか?」
 
「あ、あんたは確か……、ノアニールの村で……」
 
竪琴を抱えた詩人がやって来る。……そう、ノアニールの村で
出会ったあの詩人である。
 
「お久しぶりですね、旅の方は順調ですか?私もあちこちの
町から町へと渡り歩きここ、ポルトガへと辿り着きました」
 
「それがさあ……」
 
 
……
 
 
「そうですか、あなた達もあの岬へ……」
 
「そこ通らなきゃ先進めねえしよ……、無理に通ろうと
すれば船は戻されちまうしで困ってんだ……」
 
「……あの岬にはとても悲しい伝説があるのですよ……」