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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 決戦!バラモス編

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「……」
 
「わ、分ってるよ……、早くカルロスんとこ行って報告と剣を届けねーと……」
 
「少し休憩しようか、折角のお祭りムードだし皆で何か食べて行こう」
 
「あう!?」
 
「私もいいよ、休憩したいしね!」
 
「オイラもーっ!!」
 
「……」
 
「ジャミルー!早くー!!」
 
「あ、ああ……」
 
(先に寄り道なんかするといつもは怒る癖に……、珍しいな……、
ま、いいか……)
 
困惑しながらも食べ物の誘惑には勝てずジャミルも皆の後を追った。
4人は港近くのクレープワゴン屋で甘いクレープを頬張る。
 
「おっさん、チョコレートのやつもう一枚焼いて!!」
 
「お、兄ちゃん食いっぷりがいいねえ!気に入ったよ!!」
 
「ふう~……、ごちそう様……」
 
「アルもおかわりすれば?」
 
「いや、一枚で沢山だよ……、そんなに食べたら体中が甘ったるくなるよ……」
 
「ほどほどが美味しいのね!」
 
「ピキー!!」
 
「生クリームもいっぱい付けてくれよ!」
 
「はいよー、サービスするよー!!待っててねー!」
 
「……」
 
「な、何だよ……」
 
「ジャミル……」
 
「ん?」
 
「……太るよ……」
 
「豚になっても知らないからね……」
 
呆れ顔でアルベルトとダウドがジャミルを見た。
 
「だーかーらー!!俺太んねー体質だって何回も言ってんじゃん!!」
 
「いや……、幾ら細いって言っても限度があるでしょ……」
 
「私も太ったジャミルはイヤかも……」
 
 
「……ガーーンッ!!」
 
 
「ほれ見ろ……」
 
「いこ、スラリン」
 
「ピキ」
 
「おい待てよ!!……アイシャあ~!!」
 
「きゃっ!?」
 
「……おっと!」
 
店に来た客とアイシャの肩がすれ違いざまにぶつかったらしい。
 
「いたた……、あ、ごめんなさい!」
 
「こちらこそすみません、大丈夫ですか?」
 
「おい!何やってんだよ!アイシャ!」
 
「あれ?あなたは……」
 
「アイシャさん!」
 
「わぁー!カルロスさんだー!私達あなたを探してたのー!」
 
「カルロス?カルロスか!?」
 
意外な所で再会でビックリ。ジャミル達はカルロスとばったり鉢合わせする。
 
「ジャミルさんも……、ああ!お久しぶりです……!!」
 
「タイミング良すぎ……」
 
ジャミルはカルロスにアルベルトとダウドを紹介する。
 
「あんたら、んな処で立ち往生して何やってんの!?他の客の邪魔だよ!」
 
クレープ屋の親父が拳振上げわーわー捲くし立てる。
 
「おっと、やべえ!」
 
「丁度今、甘い物を食べたいなと思いまして……、散歩に出て来たんです、
良かったら私の家に来ませんか?積もる話もありますし……」
 
クレープ屋から離れ、少し歩くと美しい女性が此方に歩いて来る。
 
「ジャミルさん、アイシャさん……」
 
「ん?どっかで会ったっけ……?」
 
「サブリナです……、猫だった……、お久しぶりです……」
 
「えーーっ!?」
 
「良かったじゃん!元に戻って!おめでとさん!!」
 
「皆さん……、有難うございます……、本当にバラモスを倒して
くれたんですね……」
 
カルロスが涙を流し、サブリナも寄り添う。その心からの二人の
幸せそうな姿にアイシャもほっとし思わず涙を溢した。
 
「良かった……、本当に……」
 
「けけ、泣き虫アイシャ!」
 
「……何よーっ!いいじゃない!ジャミルのバカ!!」
 
「ふふふっ」
 
此方のお騒がせな二人の様子を見てサブリナがくすっと笑みを漏らす。
そして、4人はカルロスの自宅へと招待された。
 
「何もない所ですけど……、どうぞゆっくりなさっていって下さいね」
 
「大っきいお家だねえー!」
 
ソファーに腰掛けてダウドが足をプラプラさせる。スラリンは皆を
待っている間の疲れが出たのか、アイシャに抱かれてお昼寝中。
ジャミル達はリビングで寛ぎながら、旅の色々な話などをカルロスに
話したりと、会話が弾んでいる処に、台所へ姿を消していたサブリナが
焼きたてのケーキと紅茶を運んでくる。
 
「どうぞ、召し上がれ」
 
「うわっ!すげー、うまそっ!!」
 
「久しぶりだから……、あまり美味しくないかもしれないのだけれど……」
 
「これってサブリナさんの手作り!?うわー♡」
 
アイシャが目をキラキラさせる。
 
「パウンドケーキなの、彼の家の台所を借りて、ちょちょいっと
簡単に作ってみたんだけど、お味はどうかしら?」
 
「すんげーうめえ!」
 
「本当に美味しいですよ!」
 
「幸せー!サブリナさん、お料理上手ねえー!」
 
「おいしいよお、すっごく!」
 
ジャミル達には大好評だった。最もジャミルはさっきクレープを
ドカ食いしたのだが、それでもまだまだお腹は受け付けている模様。
 
「良かったわ……、美味く作れて……」
 
サブリナが安心した様に大きく息を吐く。

「あ、ジャミル、食べてばっかりいないでさ、大事な剣を渡さないと…」
 
「ああ、そうだったな……」
 
アルベルトに言われ、ジャミルは急いで口の中のケーキを
喉に押し込み、誘惑の剣をカルロスに見せた。
 
「これ……」
 
「それは……、誘惑の……!サブリナ!」
 
「ええ、間違いないわ!」
 
カルロスが身を乗り出し、サブリナが剣を手にする。
 
「やっぱりバラモスの野郎が隠してたらしい……」
 
「サブリナ……、良かったね……!」
 
「……この剣は特殊な剣で、女性しか扱う事が出来ないの」
 
サブリナはそう言ってアイシャを見た。
 
「あなたが貰ってくれないかしら……」
 
「えっ!?わ、私が……?」
 
「この先、もしも何かあった時、きっとあなたの身を守ってくれる筈よ……」
 
「でも……、こんな大事な物を……、受け取れないわ」
 
「どうか貰ってあげて下さい、アイシャさん……」
 
「カルロスさん……、うん……、分りました……」
 
アイシャが誘惑の剣をサブリナから受け取った。
 
「何かかっこいーよ!アイシャ!」
 
「も、もう、ダウドったら……、でも、似合うかな……、えへへ……」
 
ダウドが茶化し、アイシャが顔を赤くした。
 
 
……
 
 
バラモス討伐も無事幕を閉じ、4人は一路アリアハンへと帰国する事になった。
カルロスとサブリナも4人を見送りに、町の外まで付いてきてくれる。
 
「ジャミルさん達……、本当に有難う……」
 
「またいつでも遊びに来て下さいね、僕達、いつでも皆さんを歓迎しますよ!」
 
「ああ、またな!」
 
「さようなら、どうかいつまでもお元気で……」
 
「大切にするわ、この剣……」
 
 
ポルトガを出発し、4人はラーミアに乗り一路アリアハンを目指す。
 
「スラリン……、寝てばっかりでおきないねえ……」
 
「いいよ、うるせーから」
 
「色々あったけどこの旅も終わりだね……、長かった……」
 
「ちょっと淋しいな……、怖くて泣いちゃったし、色々大変な事もあったけど、
振り返れば辛い事も、みんな、その一つ一つが思い出に変るのね……」