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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 新たなる厄災編

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スラリンは暫くしょげていたが、やがて何かを決意した様に頷き、
4人の顔を見上げた。
 
「うん、わかった……」
 
「スラリン……?」
 
「ボクももう、いちにんまえのスライムにならなきゃね……、だから……、
おとうさんとおかあさんはあきらめるよ……」
 
「ほ、ほんとにいいの……!?」
 
「ボクもみんなみたいにつよいおとなのスライムになりたい……、
だからじりつする……」
 
「そうね……、随分大きくなったものね……、初めて会った時は
あんなにちっちゃかったのにね、ふふ……」
 
アイシャがスラリンをぎゅっと抱きしめた。
 
「みんながゾーマをやっつけるころにはボク、もっとおおきくなってるよ!」
 
「うん……、そうね……」
 
「ボクもがんばるから……、だから……、みんなもがんばってね……、
ゾーマぜったいやっつけてね……!!」
 
「ああ、頑張るよ……」
 
 
次の日、ジャミル達は朝早く起きて出発する事となった。
ジャミル達を見送る為、ポポタ家大集合でポポタの両親も
仕事に行く前に4人の見送りに来てくれた。
 
「皆さま……、頑張って下さい……、わしらには此処でご無事を
祈るしかありませぬが……、どうかご無理をなさらぬ様にのう……」
 
「どうかご無事で……」
 
「お腹が空いたら食べて下さいね」
 
ポポタの母親が早朝早くに拵えた手作り巨大弁当をジャミル達に手渡す。
 
「うは、すんげえ……」
 
「わあ、おばさま、有難うございます!!」
 
「美味しく食べて貰えたら嬉しいわ」
 
「おにいちゃん……」
 
「ポポタ、朝早くからありがとな、まだ眠いだろ?」
 
「ううん、だいじょうぶ、ぼく……、おうえんしてるよ、だからがんばってね」
 
「うん、ありがとな!」
 
「……スラリンともお別れかあ……、何かさみしいよお~……、ぐす……」
 
出会った時と同じ様にダウドが名残惜しそうにスラリンをぷにぷに突っついた。
 
「ピキ、みんな……、いままでたくさんおせわになりました、ありがとう!!」
 
スラリンが深々と頭のトンガリを下げた。
 
「名残惜しいけど、そろそろ行かなくちゃ、ジャミル……」
 
「ああ、そうだな……」
 
アルベルトの言葉に頷き、ジャミルがもう一度ポポタの方を見る。
 
「やくそくっ!またあそびにきてね!!」
 
ポポタが小指を差し出し、ジャミルもその小指をそっと握った。
 
「二度目の約束……、だな!!」
 
「スラリン、元気でね、……またいつか会いましょう……」
 
「ピキー、おねえちゃんもね、げんきでね!」
 
最後にもう一度アイシャがスラリンをハグする。ポポタとも2度目の
約束を交わし、ムオルの村とも別れを告げ、4人はラーミアの元へと戻り、
再び大空へ。
 
「……よし、次はテドンに寄るか……」
 
「うん、そうだね……」
 
「ねえ、ジャミルう……」
 
ダウドがジャミルを突っついた。
 
「何だよ?」
 
「アイシャ……、元気がないよ……」
 
「あ……」
 
「……」
 
スラリンと別れたのが原因らしく、妙に落ち込んでいる。
 
「よく遊んでたからな……、あいつと……」
 
「こういう時は……、ジャミル……、君が励ましてやらなきゃ……」
 
アルベルトがぽつりと呟く。
 
「え……、ええ!?」
 
「何言ってんのさあ……、好きな子が落ち込んでたら
励ましてあげるのが普通でしょ……」
 
と、ダウドにまで言われる始末。ジャミルは焦り出す。
 
「うーん……、弱ったなあ……」
 
ジャミルはこういうシチュエーションが苦手である。
 
「でも……、もう……、テドンに着いちゃったみたい……」
 
「は、はええ……」
 
ルーラでもテドンには行く事が出来ず、船では時間が掛るが、
流石ラーミアにお世話になればひとっ飛び。あっという間である。
 
「テドンに着いたの?」
 
「……アイシャ……?」
 
「行こうよ、テドンへ!!」
 
ラーミアが地上へ着地し、アイシャもラーミアからぴょんと降りた。
 
「何してるのよ!みんな!」
 
「アイシャ……」
 
「私、先に行くよ!!」
 
アイシャは先に村の中へとスタスタ歩いて行った。
 
「……無理してる……、絶対……」
 
「しっかりしなよお!ジャミル……」
 
ここぞとばかりにダウドがジャミルの背中をばしばし叩く。
 
「……何でダウドに言われなきゃならんのよ……」
 
アイシャを追い、ジャミルも急いで村へと入って行く。
 
「フィラちゃん、こんにちは……、又会えたね……」
 
アイシャはフィラの墓前に座っていた。
 
「アイシャ」
 
「あ、ジャミル……」
 
ジャミルもアイシャの隣に座る。
 
「何だか……、色々思い出しちゃうね、ここに座ると……」
 
「うん……、そうだな」
 
やがてアルベルトとダウドもやって来て、4人は村人の墓前で手を合わせた。
 
「もしも……、いつか誰かが……、この村を立て直してくれるかな……?」
 
アイシャが静かに口を開いた。
 
「うん?」
 
「きっといつか……、テドンの村が……、元の様になってくれたら
なあって……」
 
「そうだね……、いつまでも死の村なんて言われてほしくはないよね……」
 
「死の村から再生の村へ……、か……」
 
「大丈夫だよお!」
 
「……おめーは何でも、だよお!だな……」
 
「な、何さ…!悪い!?」
 
逆切れ状態でダウドが怒る。
 
「うふふふっ!」
 
ジャミダウコンビのやり取りを見ていたアイシャがくすっと笑顔を見せる。
 
「アイシャ……」
 
「さ、戻ろ、ラーミアの所へ!」
 
(……やっぱりアイシャは笑った方が可愛いな……)
 
「ん?なあに?」
 
「い、いや……、何でも……」
 
 
その夜、4人は近くの島で休む事に。
もう船ではないので基本は焚火を焚いて野宿である。
 
皆が寝静まった頃、ジャミルは……。
 
「……痛っ!!……はあ~……、これで何度目かな……、指いてえ~……」
 
ジャミルが針で刺してしまった指の個所をペロッと舐めた。
 
「裁縫なんて慣れない事するモンじゃねえぜ……、はあ……」
 
ジャミルはそう呟くと隣で寝ているアイシャをちらっと見た。
 
「……でも頑張んなきゃな……、徹夜でコレ仕上げねえと……」

やがて夜が明けてしまい……。
 
「ジャミル……、起きなよお……、起きろったら、おーい!」
 
「うー……、座布団……、座布団が足りない……」
 
「また起きないし……、しかも……、また意味の分からない夢を見てるみたいな……」
 
一度、ジャミルの夢の中を覗いて見たいと思うアルベルト。
 
「困ったわねえ、起こすのも何だか可哀想だわ……」
 
ダウドが耳元でメガホンで呼んでもアルベルトが声を掛けても、
アイシャが揺さぶってもジャミルは目を覚ます気配がない。焚火番と
昨夜のなんちゃらで相当疲れている様子。
 
「そうだね、焚火番……、交代でやろうって言ったんだけど……、
今夜は俺一人で見てるからいいって……、やっぱり無理させちゃったかな……」
 
「うんふふ~、アイシャがチュ♡してあげれば……」