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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 アレフガルド編1

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嫌なんです……、あなた方には分らないでしょうが、一家の主としての
プライドを……」
 
「はあ……」
 
「私……、お母さんに何もお父さんの事言わないよ……、だから……」
 
「駄目だ……」
 
「ですが……、小さいお子さんがこんな所にずっと住むなんて
可哀想じゃないですか……」
 
アルベルトも呆れて掛ける言葉も少なくなり、段々苛々してきた。
 
「でも……、この一年、何とか生活出来ましたし、家から持ってきた
非常食も有りますし……」
 
「……それは我慢してんだよっ!!」
 
「それに、もしも食べ物が底ついたらどうするのさあ……」
 
「それはそれで、その時になったら考えればいいかなと……」
 
「帰りたいよー!!お父さんの馬鹿ー!!」
 
娘がアイシャに泣きつく。アイシャも困って嗚咽する娘の背中を
只管撫でてやる事しか出来なかった。
 
「……うわああ~ん!!」
 
どれだけ皆で説得しても、父親は娘が帰る事を断固として許さず。
……ジャミル達も娘も結局根負けし……、結局はジャミル達だけで
出発する事になった。
 
「しつこい様だけど……、本当にいいんだな……?」
 
「いいんです」
 
「マジ頑固親父……」
 
「……」
 
娘はこれからラダトームへ向かおうとするジャミル達を羨ましそうな
目で見ていた。
 
「……とにかく、あんた達がいつでも安心して家に帰れる様に
俺達も頑張ってみるよ……」
 
「ハイ……」
 
父親はそれでもどうしても家に戻りたくなさそうな顔をした。
 
「さようなら、お姉さん、お兄さん達……、色々ありがとう……」
 
娘が淋しそうに4人に挨拶した……。
 
「元気出してくれよ……、力になれなくてごめんな、じゃあな……」
 
「いいえ、お兄さん達に会えて嬉しかったです、皆さんもどうか
お気をつけて……」
 
複雑な面持ちでジャミルも娘に手を振った。しかし、まだ小さな歳の割には
我慢強く、しっかりしている娘さんだなあと、ジャミルは心底思うのであった。
道中は幸い大したモンスターにも遭遇せずラダトームらしき場所に無事
辿り着く。
 
 
ラダトーム
 
 
「……うは、でっけー町だなあ……」
 
「迷子になっちゃいそうだわ……」
 
4人は暫く町の中をプラプラと歩いて見て回る。
 
「武器はいかがですかー!ちゃんと装備して歩かないとモンスターに
襲われるぞー!!」
 
「薬草いらんかねー!!」
 
「秘境の地からの不思議な食べ物、焼きまんじゅう如何ー!!」
 
「ね、ここら辺で宿屋を借りて暫くLV上げしておかないかい?」
 
アルベルトが提案する。
 
「そうだな……、動く石像に手こずってるようじゃこの先進めないしなあ……」
 
「それ以上のモンスターってやっぱりいるのかなあ……」
 
「当たり前でしょ……、大魔王ゾーマが支配している所なのよ……」
 
「あ~う~……」
 
ダウドがコテンと首を90度ひん曲げた。
 
「ちょっと聞きたいんだけどさ……」
 
ジャミルが通りすがりの女性を呼びとめた。
 
「今、何時だい……?」
 
「はい?午後3時半ですが……」
 
「何で昼間なのにこんなに暗いんだ?」
 
「もしやあなた方は上の世界の方達ですね……?」
 
「あ、ああ……」
 
「この世界アレフガルドは大魔王ゾーマによって光を奪われて
しまったのです……」
 
「なっ!?」
 
「そんな……!!」
 
「酷い……!!」
 
「冗談じゃないよお!ひ~……、暗闇の世界……」
 
「大丈夫だ、ゾーマは俺達が倒す!!」
 
「倒すって……、そんな無理でしょう……」
 
「平気さ!バラモスだって倒したんだ!!」
 
「バラモス……?まさか!あなた達が……!!」
 
女性はジャミル達の話を聞いて驚き、不思議そうな顔をした。
 
「任せとけって!」
 
「でも、バラモスなんて……、ゾーマの手下の一人に過ぎませんわ……、
偶々、上の世界の支配者にと選別され送り込まれただけの事ですよ…」
 
「そりゃそうかも知んねーけど……」
 
「はあ、こんな時にラダトームの国王様は一体何をされているのかしら……」
 
「ん?国王がどうかしたのかい?」
 
「行方不明なんですよ、噂によればゾーマが怖くて何処かへ逃げたとか……」
 
「ヘタレ国王かよ……」
 
「何だよお?」
 
「別にオメーの事なんか言ってねえよ!」
 
「ねえ、ジャミル……」
 
アイシャがジャミルの方を見た。
 
「行ってみよう、お城へ……」

道沿いに歩き、ジャミル達は国王の行方を確かめる為、まずは
ラダトーム城へと向かう。
 
「ようこそ……、ラダトームのお城へ……、ハア」
 
あまり元気の無い兵士二人がジャミル達を出迎えた。果たして
こんなんで城をちゃんと護衛する気が有るのやら。
 
「どうしたんだよ……」
 
「……元気も何も……、フー……、ゾーマは恐ろしいし……」
 
「この国もお終いです……、国王様に逃げられてしまったのでは……」
 
「大丈夫ですよ」
 
「何がです……?」
 
「……え?」
 
「ゾーマは俺達が倒すんだ!!」
 
「ちょ、ちょっと待て……!」
 
城の衛兵達は顔を見合わせ頷く。
 
「はあ?」
 
「もしかして、あなた達がバラモスを倒したという……、上の世界からの……」
 
「そ」
 
「……勇者様ーっ!!」
 
「わあっ!?」
 
突然兵士達の態度が変わりジャミルに飛びつく。……飛び付かれた
ジャミルは困惑。
 
「お願いです……!どうかどうか、この国に平和を取り戻して下さい……!
王にも逃げられた以上、どうしたらいいか判らないのです……!!」
 
(国王だけじゃなくってこの国は兵もヘタレなのか……)
 
「……何だよお……」
 
「だから何も言ってねえっての、ま、大丈夫だ、俺達に任せとけ!」
 
「勇者様……、ううう……、有難うございますう……」
 
「……」
 
ジャミル達は城を出ようとした。其処に城の女中さんらしき女性が走ってくる。
 
「勇者様ー!」
 
「ん?」
 
「私は昔、勇者オルテガ様のお世話をさせて頂いた者でございます……」
 
「……」
 
(どうもこの話になると嫌な顔するんだよね……、ジャミルは……)
 
アルベルトがちらちら、ジャミルの表情を覗う。
 
「それは酷い火傷でした……、城の外に倒れていたのです……」
 
「オルテガさんはその後、どうなされたんですか?」
 
「……火傷が完全に治るといずこともなく何処かへ向われました……」
 
「そうなんですか……、心配だね、ジャミル……、オルテガさんは今、
何処にいるのかな……」
 
「だってさ、さ、行こうぜ皆」
 
「あ、ジャミル……」
 
アルベルトがそう気遣うも、ジャミルは一人で先に歩き出そうとした。
 
       が。
 
 
「勇者さまーーーっ!!」
 
 
「……ゲッ……!!」
 
町中の者がジャミル目掛けて走って来たのである。
 
「聞きましたよ、勇者様!上の世界からいらっしゃったとか……」
 
「お願いします!ゾーマを倒して下さい!これ、差し入れの
フウキのお焼きです!!」