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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 アレフガルド編1

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「……またこのパターンかよっ!」
 
「勇者様!リンゴ食べて下さい!」
 
「みかんの方がいいですよね!?」
 
「焼きまんじゅうどうぞ!!」
 
「おお……、勇者様……、ありがたやありがたや……」
 
何を勘違いしているのか、感激して涙を流している老婆の姿も……。
 
「拝むなーっ!!俺は仏様じゃねえっ!!」
 
「あの……、握手して下さい……、やっぱり駄目ですよね……?」
 
「……だからさあ……、俺は……」
 
「ジャミル、困ってるわ……」
 
「勇者は嫌だって言ってたのが……、今なら僕も分る気がするよ……」
 
「うん……、そうだねえ……」
 
「……退場致すっ!!」
 
「あっ!勇者様が……!!」
 
「みんな、後を追うんだ!!」
 
「ジャミル!」
 
アルベルト達も慌ててジャミルを追おうとするが町人が邪魔をして
一向に追いつけない。ジャミルは仲間達から引き離されてしまい、
無我夢中で町中を走り回っている間に気が付くと……、迷子になって
しまっていた。
 
「何処だ此処、……連中を巻いたのはいいけど、大分大通りから
離れちまった……」
 
「……こっちですよ……」
 
「誰だっ!?」
 
見ると、路地裏から誰かジャミルに向かって手招きしている。
エプロンを着けている青年の様である。
 
「な……、何だ……?マジで誰だよ……!」
 
「いいから、早く……!!」
 
ジャミルは急いで路地裏に隠れた。
 
「此処を通れば私の家に行けますから……」
 
「あんたは……」
 
「此方へ……」
 
ジャミルは言われるまま青年の後について行った。暫く青年の後に
付いていくと、やがて路地裏の奥にひっそりと建つ、素朴な一軒家が見えた。
 
「ここって……」
 
「表向きは武器屋です、私の家です、普段は此処でひっそりと営業しています、
此処を選んだのも、私は静かな場所が好きなので」
 
「なあ、あんた何で……」
 
「詳しい話は中でしましょう……」
 
ジャミルは青年の後に続いて家の中に入った。青年はジャミルを
リビングに連れて行き、ソファーに座らせた。
 
「暫く立てば町の連中も飽きると思います」
 
「そ、そうなのか……?」
 
「ええ、この町の人々は皆、珍しい物が大好きなんです……」
 
「珍しいって……、俺……、天然記念物かよ……、とにかく
助かったけどよ……」
 
ソファーの上でジャミルが安堵の溜息を洩らした。
 
「でも皆、あなたに縋りたいのは本当なんです……」
 
「え?」
 
「こうしてまた、勇者が現れるなどとは夢にも思わなかったのでしょう……、
突然オルテガ様が消えてしまわれて……、皆は希望を失っていたのです……」
 
「聞きたいんだけど……」
 
「ええ、分っています……、あなたに会わせたい人がいらっしゃるんです、
此処でちょっと待っていて下さい」
 
「は?」
 
青年は突然話を勝手に進めだし、ジャミルが首を傾げている中、
部屋を出て行ったかと思うと、数分後、直ぐにまた戻って来た。
 
「さあ、2階へ……」
 
ジャミルは頭を掻きながら2階へ上がって行った。そして、案内された
部屋の中で、……ベッドに横たわっていた人物とは……。
 
「あんた……」
 
「おお……、そちが上の世界から参ったと言う……」
 
「このおっさん、……誰?」
 
「儂はラダトームの国王……、ラルス一世じゃ……」
 
「へー、そう……、……って、何ーーっ!?」
 
「シーッ!声が大きいです……!」
 
青年に注意され、ジャミルは慌てて自分の口を押えて声のボリュームを下げた。
 
「あんたが逃げ出した国王様ってワケかい……、ふーん……」
 
「いかにも……」
 
「……んなとこで何してんだよっ!国民置いて自分一人だけ隠れやがって!!」
 
「勇者様……!!」
 
国王にキレ掛かるジャミルを青年が必死で押しとどめる。
 
「な、何だよ……」
 
「……お願いです……、国王様を責めるのはどうかやめて下さい……」
 
「いいのだ……、ジョニー……」
 
「でも……」
 
ジョニーと呼ばれた青年が俯いた。
 
(……あーっ……、近頃本当に話が真面目になってきやがった……、おーっ!!)
 
ジャミルが混乱して頭を掻きむしる。
 
「勇者様……」
 
「あ?」
 
「ご病気なんです、王様は……」
 
「病気……?」
 
「お可哀想に……、王様はすっかり心を痛めてしまわれて……」
 
とうとうジョニーが泣きだしてしまう。
 
(……情緒不安定の精神病か……、けどまいったなあ……、これじゃ俺が
まるで虐めてるみたいじゃねえか……)
 
「……今まで幾多の勇敢な若者達が儂の元へと趣きゾーマを倒すと
旅立って行った……、しかし……、誰一人として帰って来た者は
いなかった……」
 
「……」
 
「のう、勇者よ……、悪い事は云わぬ……、もうゾーマを倒すなどと
愚かな事はやめるのだ……」
 
「……じゃあこのまま何もしないでいろっつーのか!?黙ってたって
殺されるんだぞ!俺はそんなの御免だね!!」
 
「しかし……、そなたも命を落とす事になるかも知れぬのだぞ……」
 
「今ここで誓ってやるよ!」
 
「……お主……」
 
「ゾーマは俺達が何が何でも絶対倒すんだっ!分ったかバーロー!!」
 
「……ちょっとあなた!さっきから黙って聞いていれば!国王様に向かって!
口の聞き方も知らないんですか!?」
 
「よいのだ、……ジョニー……」
 
「ですが……」
 
ラルスはジョニーを宥めると、改めてジャミルと向き合う。
 
「勇者殿……」
 
「……」

「ジョニー……、この者と大事な話がしたい」
 
「はっ!はい……」
 
「勇者よ……、そなたにこれを授けよう……」
 
ラルスがジャミルに差し出したのは、黄金色に輝く石であった。
 
「……お、王……、国王様……!?」
 
「これ……、何だい?」
 
「この国に伝わる宝、太陽の石だ」
 
「……王っ!!……そんな……、国の秘宝を……!!」
 
「ジョニー……、儂はこの若者に希望を託す事にした……」
 
「へ?」
 
「そなたの目は違う……、輝きをおびておる……」
 
「……」
 
「勇者殿……、どうか、このアレフガルドの大地に平和と光を
取り戻しておくれ……」
 
「ああ、任せとけよ!」
 
ラルスが差し出したその手をジャミルが強く握り返した。
 
「勇者様……、先程は失礼な事を……、本当に申し訳ありませんでした……」
 
「いや、別にいいよ、俺、こう言う性格なんで……、へへ」
 
「……勇者様」
 
ジャミルが笑うと、ジョニーがこくりと頷いた。
 
「アレフガルドに伝わる古い言い伝えです……」
 
 
雨と太陽が合わさるとき……、虹の橋が出来る……
 
 
「太陽?もしかして……、この石の事なのか……?」
 
ジャミルが貰った太陽の石を握りしめた。
 
「……勇者よ……、ゾーマはとてつもなく強い……、しかし……、
かつてこの城にあった伝説の武器達があれば……」
 
「武器?」
 
「ゾーマによって盗まれてしまったのだ……、伝説の武器と防具を……、