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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 アレフガルド編1

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「時計ないと昼も夜も何も分かんないんだけどね」
 
「時間の感覚おかしくなるよねえ……」
 
「……あ、おっさん、ちょっと……」
 
「なんだい」
 
「この付近で他に町か村があるかい?」
 
「そうさなあ……、ここから一番近い町だとマイラかな?」
 
「マイラ?」
 
「あ、マイラは町じゃねえや、村だ!温泉があるぞ、観光がてらに
行ってみるといい」
 
「へー、温泉かあ……」
 
「でも、マイラは船がねえと行けねえぞ、こっから先、あちこち移動するには
船がないと色々不便だからな、町を出て西に波止場があるからそこで聞いてみるといい」
 
「また船復活かあ……」
 
ダウドが嫌そうな顔をする。ラーミアのいないこの世界を彼方此方動き回るには
船が絶対不可欠。
 
「何だか最初に戻ったみたいねえ……」
 
「とりあえず今日は宿屋で休もう、大分レベルも上がったし明日には
動けんだろ」
 
 
ラダトームの宿屋
 
 
「ああ、お帰りなさい、勇者様達!」
 
ジャミル達は宿屋の店主やおかみさんとすっかり馴染みになっていた。
 
「お疲れでしょう、今、食事をお持ち致しますね」
 
4人はロビーに有るテーブルに着き、椅子に腰掛ける。
 
「今日も疲れたなあ……、夕飯なんだろ?沢山動いたから腹減ったよ、
飯が美味いだろうなあ」
 
ジャミルが嬉しそうな顔をする。此処での宿屋の美味しい食事は
4人にとってお楽しみの一つとなっていた。
 
「動かなくても動いてても君はいつもお腹空いてるでしょ……」
 
「アル、お前いちいちうるさい……」
 
「お待ちどうさま」
 
おかみさんが美味しそうな食事を運んで来た。今日の夕ご飯は
お魚の定食と海鮮スープ。
 
「勇者様達はいつまで此処にいられるのですか?」
 
「明日には出発するよ」
 
「そうですか……、お寂しいですね……、疲れたら又いつでも
泊まりに来て下さいね」
 
「ありがとうな、おばさん!」
 
4人はご飯を食べ終え、お腹もいっぱい。……その夜、就寝前の一時、
ロビーで寛いでいたジャミル達の前に変な客が来た。
 
「おお!古き言い伝えの勇者たちに光あれ!!」
 
客はそれだけ言うと帰って行った。
 
「……何?今の……」
 
「さあ……?」
 
 
次の日。
 
 
「ジャミル、起きて!」
 
「ん……?」
 
「大変なの!早く!!早く!!」
 
恒例の朝の大変モーニングコールでジャミルは起こされる。
ちなみに本日のモーニングコール担当枠はアイシャであった。
 
「今度は何だ……」
 
ジャミルは欠伸をしながら部屋を出、1階に降りていく。
 
アルベルトとダウドももうすでに支度をして店主と話をしていた。
 
「……また何かあったのかい……?」
 
「ああ、勇者様、大変なんです!モンスターが……」
 
「?」
 
「モンスターが集団で北の洞窟へ歩いていくのを見かけたんだって!」
 
「洞窟?近くか?」
 
「ええ、確かに北にあります、でも……、どうしてなんでしょうね……」
 
「何かありそうだな……、俺らも行ってみるか?」
 
アルベルトとアイシャも頷く。
 
「え~?でも……、出発遅れちゃうよおー?」
 
「仕方ねーじゃんか……」
 
「う~……」
 
ジャミル達は嫌がるダウドを無理矢理引っ張って北の洞窟へと向かった。
 
 
北の洞窟
 
 
「外も暗いのに……、洞窟の中なんか余計暗いな……」
 
「暗いね……」
 
「暗いわ……」
 
「……帰ろうよお……」
 
松明を翳し、薄暗い洞窟の中を4人は進んで行く。
 
「こんな場所……、モンスターに何の用があるってんだ……」
 
「だから帰ろうよお……」
 
「待って!」
 
突然アルベルトが立ち止まった。
 
「気配がする……、モンスターだ……」
 
アルベルトがそう言った途端……。
 
「ヨバレテトビデテジャジャジャジャーン」
 
「きゃっ!?」
 
アイシャが声を上げた。壁から剥げた頭の変な顔のモンスターが
にゅっと這い出て来たのである。
 
「うわーっ!気持ち悪いよお!!」
 
「……こ、こらっ!」
 
ダウドは慌てて逃げようと準備。それを阻止しようと、アルベルトがダウドの
服の裾を思い切り掴んで引っ張る。
 
「たく、変な所から出てくんなよ……」
 
「グゥルルル……」
 
「ト、トロルなの……?恐いわ……」
 
「でも、トロルにしちゃ色が違わねえ?どぎつい色してるし」
 
「ボストロール……、でもなさそうだしね……」
 
「オイドンハトロルキングダス!」
 
「……ダス……?」
 
「トロルノナカデモイチバンエライノガトロルキングナンダス!!」
 
「あ、そう……」
 
「ゾーマサマノゴシジ、バカユウシャタチ、ウゴキダシタ、コノサキニ
ジャマナモノアル、ソレコワシテシマウノダ!!」
 
「邪魔な物?」
 
「ユウシャノタテ、コノオクニアール!オイドンタチ、ソレコワスタメキタ、
ゾーマサマゴメイレイ!!……ゾーマサマ、ユウシャノタテヌスンダ、
シカシ、タテハゾーマサマヲキョヒシ、ドコカヘミズカラトンデイッタ!」
 
「……恐らく、盾が自己防衛で自らゾーマの手を逃れたって事なのかな、、
不思議だね、その盾がこの場所に……?」
 
「凄い盾さんなのねえ……」
 
「ハハハ!モウオワリダ!ゾーマサマニアクエイキョウヲオヨボスタテメ、
スグニハカイシテクレヨウ!」
 
「へー、壊す前に俺らにも見せてくれる?」
 
「イイゾ、タダシ、オイドンヲタオセレバナ、オマエタチニハムリ!!」
 
トロルキングは醜い顔で汚い歯を見せゲラゲラ笑う。アイシャが
即座に嫌な顔をし、そっぽを向いた。
 
「どうしても見たいんだけどなあ」
 
「ナラハヤク、オイドントタタカエ!!」
 
「だってさ、どうする?」
 
仕方ないねと言う様にアルベルトが頷いた。
 
「じゃあ……、こっちも遠慮しねーよ?」
 
「ナニオーッ!!」
 
「……メラゾーマ!!」
 
アイシャが覚えたての呪文を詠唱しようとするのだが。
 
「えっ!?何これ……、魔法が発動出来ない……」
 
「ガァーーーッ!!」
 
「きゃああーーっ!」
 
「……アイシャ!危ねえっ!」
 
アイシャを狙い攻撃してきたトロルキングの攻撃をジャミルがすかさず
稲妻の剣でガード。弾き返した。
 
「ありがとう、ジャミル、でも呪文が唱えられないのよ……」
 
「……ヒャド!ああ……、僕も、やっぱり……」
 
アルベルトも軽く呪文を詠唱してみるが……。
 
「アル、お前の方も駄目か?」
 
「うん、中に入った時から何だか変な感じがしていたんだけど、
どうやらこの洞窟の中じゃ魔法が使えないみたいだ……」
 
「きゃーっ!!それじゃどうするのさあ!!」
 
ダウドがキャーキャーパニックになる。
 
「武器オンリーで行くしかねえな……、アル、行けるか?」
 
「ああ、僕は大丈夫!」
 
「アイシャは今回休んでろ、俺達だけで何とかするから」
 
「うん……、ごめんなさい……」
 
「じゃあ、オイラがアイシャを守って……」
 
「……攻撃に参加してくれる……?」