二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 アレフガルド編1

INDEX|7ページ/10ページ|

次のページ前のページ
 

半目でアルベルトがダウドを見た。
 
「はい……」
 
魔法サポート無しのバトルだったがそれでもジャミル達は3分で
トロルキングを倒す。
 
「強くなったなあ、俺達も……」
 
「貧弱体質なのは変わんないけど……」
 
と、ボソボソダウド。
 
「……いつも一言余計なんだっ!おめーはっ!!」
 
「いた……、いたいですう……、ジャミルさん……、いたたたた!」
 
「先を進もうよ、二人とも……」
 
「あ、わりい」
 
「いたーい……」
 
「攻撃魔法が使えないって言う事は……、当然回復魔法にも
頼れないのよね……」
 
不安そうな表情でアイシャがアルベルトに話し掛けた。
 
「うん、何とかここにいる間だけ、苦しいけど薬草で乗り切るしか
ないよね……」
 
「ううー、早く出たいよお……」

洞窟の最深部へと進むと不気味な霧が立ち込める場所へと辿り着く。
 
「あの亀裂、なんだろう……?」
 
「だ、誰がこんなのあけたの……?」
 
ダウドが地面に大きく裂けた亀裂の穴を覗いた。
 
「俺が知るか……」
 
「どこかへ続いているのかしらね……、この下……、いざないの
洞窟の時みたいに」
 
何となく、あの時亀裂に落とされた時の事を思い出してしまうアイシャ。
 
「……ダウド、お前試しに落ちてみろよ」
 
亀裂を指差してジャミルが笑いを洩らした。
 
「酷いよお!!何て事言うのさあ!!」
 
「……冗談だよ……、マジで怒るなよ……」
 
本気で涙目になってダウドがジャミルを睨んだ。
 
「あ、宝箱よ……」
 
アイシャが指差す先、亀裂の左側に宝箱が置いてあった。
亀裂に落ちない様に気を付けながらジャミル達は宝箱に近づく。
 
「インパス使えないから、くれぐれも気を付けて……」
 
「仕方ねえ……」
 
ジャミルが宝箱を開けようと、宝箱に触れた瞬間……。
 
 
……ドサドサドサッ!!
 
 
「ひぃぃぃぃーーっ!!」
 
ダウドの顔がムンクの叫びになった。……突然天井から大量の
モンスターが落ちてきたのである。
 
「……ド〇フのコントかよっ!!」
 
「あわわわわ……、こ、腰がぁ……」
 
「ワレラ、ゾーマサマにチュウセイチカウモノ、オマエタチニコノ
タテハワタサナイ……!!」
 
「やっぱり……、この中身は勇者の盾らしいな……」
 
「……もうひと頑張りだ、行こう……!!」
 
アルベルトが前面のモンスター集団を睨んだ。
 
「ああ……!!」
 
しかし、敵も呪文中心の系統だったらしく、此処では相手も呪文が使えない為、
それ程苦戦せず、あっさりとバトルは終了した。
 
「……ゾーマって頭足んねんじゃね、こんな所に魔法使い系のモンスター
送り込んでくるとかさあ」
 
「知らなかったのかな、この場所の事を……、でもそんな事はないと
思うんだけど……」
 
「頭足らないなんてジャミルに言われたらお終いだねえ」
 
「そうだなあ?……うるせーよバカダウド」
 
「いたっ!」
 
(……本当にこの二人は頭のLV同じなんだなあ……)
 
心の中でアルベルトが感心してみた。
 
「強くもなかったし、余裕だったけど、数が多かったからなあ、
疲れたかも……」
 
「ジャミル、この宝箱光ってるわ…」
 
「光ってる?」
 
確かに宝箱から光が漏れている。ジャミルはそっと宝箱を開けてみる。
 
「やっぱり盾だ、あいつらが破壊しようとしてたやつか……?」
 
「何かジャミルに反応してるみたいだよ……」
 
「俺に……?」
 
ジャミルが盾に触れると輝きが強くなった。
 
「これは君専用だと思うよ」
 
「え……」
 
「勇者の盾って言うぐらいだもの、ジャミルのよね……」
 
「うーん……、んじゃ、ダウド、お前試しに触ってみ?」
 
「えー?」
 
「えーじゃねえよ、早く!」
 
「わかったよお……」
 
ジャミルに脅され、ダウドがしぶしぶ盾に触れると盾は全く輝かなく
なってしまった。
 
「うー……」
 
「……日頃の行いが悪いからな……」
 
「うわあーん!」
 
「でも、私でも駄目よ……」
 
「僕も……」
 
アイシャとアルベルトでも駄目だったと判りダウドが安心する。
 
「やっぱりこれはジャミル専用なんだよ」
 
「そうか、んじゃこれ貰っていこうかな」
 
ジャミルが背中に盾を背負った。
 
「やっぱり今日はまだ出発出来ねえな、もう一晩宿屋に世話になるか」
 
ジャミル達はラダトームの宿屋へと戻る事にした。宿屋に戻ると
心配していた様子で店主の旦那とおかみさんが出迎えてくれる。
 
「ああ、お帰りなさい、皆さま!いかがでしたか……、洞窟の方は……?」
 
宿屋の店主に事情を話し、もう一晩泊めて貰える様お願いすると
店主の主人もおかみさんも喜んでくれた。
 
「今日もお疲れ様でしたね、すぐにお食事をお作り致しますね」
 
ジャミル達は夕食を取り早目に床につく事にした。
 
風呂から出て部屋に戻ろうとすると部屋の戸口の前にアイシャが立っていた。
 
「何してんの?」
 
「あ、ジャミル……、アル達は?お風呂一緒じゃなかったの?」
 
「部屋にいるだろ?疲れたんだろ、飯食ったら二人ともすぐ寝ちまったから、
……明日には二人ともツラが長くなって馬になってるな」
 
以前ダウドに牛豚と言われた事の仕返しである。
 
「もうーっ!……ジャミル、あのね、ちょっといい?」
 
「?」
 
「ねえ、まだ寝ない?」
 
「もう少し起きてるかな……」
 
「良かったら少しお散歩しない?」
 
「いいけど、本当、少しだけだぞ、湯冷めしちまうからな」
 
「うんっ」
 
二人は宿屋の外に出て、夜のラダトームを歩いてみる事にした。
朝でも昼でも夜でも変る事の無い暗闇の世界。光が戻らない限り。
永遠に。
 
「静かだね……」
 
「たりめーだろ、一日真っ暗でも今は本当に夜なんだぜ」
 
「いいじゃない……、まるで雰囲気無いんだから……」
 
そう言ってアイシャは大きく溜息をついた。
 
「ねえ……」
 
「ん?」
 
「私達のいた地上だと……、もう春だよね……」
 
星空を見上げてアイシャが言った。光の無い世界でも、星だけは輝き、
夜の一時の間だけ、この暗闇の大地を照らしてくれている。
 
「そうだな……、旅に出てからもうすぐ一年だもんな……」
 
「頑張ろうね、ジャミル、アレフガルドの人達が明るい暖かい春を
迎えられるように……」
 
「ああ……」
 
「戻ろうか」
 
「あいつらが起きたらうるさいしな」
 
「ふふっ!」
 
二人は声を合わせ顔を見合わせて笑った。
 
「……」
 
「アイシャ……?」
 
(ずっと……、ずーっと……、ジャミルと一緒にいたい……)
 
心の中で小さく祈りながらアイシャはジャミルの手をそっと握り締める。
 
……翌朝、ジャミル達は西の波止場まで船を借りに行く事にした。
 
「船?ああ、勇者様達ですか、どうぞどうぞ!」
 
船の管理者はジャミル達を勇者一行だと分るとあっさりと船をタダで
提供してくれる。
 
「よしっ!出航っ!!」
 
久々の船旅でジャミルが張り切り号令を掛けた。