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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 アレフガルド編1

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「もうっ、ジャミルったら……、うふふ、張り切ってるわね」
 
「……あれ?今度は勝手に動かないね……」
 
「前のが特殊だったんだよ……」
 
舵を取りながらアルベルトが呟いた。
 
「前の方がよかったなあ~……」
 
と、ダウドがぼやく。……あんなに優秀な船が何体もあって堪るかと
アルベルトは心で思う。
 
「なあ、アル……」
 
ジャミルが舵をじーっと見ている。目を輝かせ。その瞬間即座に
アルベルトは理解する。
 
「……駄目です……」
 
「何も言ってねーのに何で分んだよ!」
 
「君に操縦させたら船が壊れる……」
 
「むかつくーっ!」
 
「どうぞ……、幾らでもむかついて下さい……」
 
「……ギィーッ!!」
 
「ねえ、あの城何かしら……」
 
「あ?」
 
遥か遠くに不気味な城が見える。
 
「……もしかしてあれがゾーマのお城なのかしらね」
 
「うーん……、どうだろな?」
 
「とにかく今は色々情報を集めないと……?」
 
「アル、どうしたの……?」
 
突然アルベルトが舵の手を止めた。何か不具合が起きたらしい。
 
「……何か乗り上げたのかな……、いやに……」
 
「あっ……!!」
 
水しぶきをあげてモンスターが飛び出して来た。触手がオレンジ色ぽい、
巨大なイカのモンスターであった。
 
「……イカ……、大王イカ……?」
 
「いや、もっと上ランクのモンスターだよ……」
 
「そういや、こいつも色が違うな……、強そうだ……」
 
ジャミルが攻撃態勢を整える。
 
「みんな、サポート頼むぜ!」
 
「うんっ!!」
 
アルベルト達が頷き詠唱準備をする。……ダウドはオロオロで相変わらず。
 
「ジャミル!」
 
「ん?」
 
「このイカはクラーゴンだよ!昨日、モンスター図鑑で調べた!」
 
「……わ、分った……」
 
クラーゴンは獲物を待ちきれない様子で甲板をバシバシ触手で叩いている。
 
「この手の奴は触手が厄介だからな……、気を付けねーと……」
 
ジャミルは呼吸を整え稲妻の剣をぐっと握りしめる。
 
「……いくぞっ!」
 
ジャミルがクラーゴンに切り掛るが……。
 
 
バキッ!!
 
 
「あ……」
 
「……ジャミルっ!!」
 
「嘘だろ……、稲妻の剣が折れるなんて……」
 
「ジャミル下がって!ここは僕らの魔法で……」
 
「きゃあーっ!!」
 
「アイシャ!?」
 
アイシャの背後から更に別のモンスター、キングマーマンが集団で
海から現れた。
 
「……ちいっ!!」
 
「うわあ!!囲まれちゃったよおお!!」
 
「アイシャ!こっち来い!!」
 
ジャミルが慌ててアイシャを手元に引き寄せる。
 
「……大丈夫よジャミル、ちょっとびっくりしただけ……、
戦わなくっちゃ……、ごめんね、詠唱の手も止めちゃって……」
 
「無理すんなよ……」
 
「ううん、平気……」
 
そう言ってアイシャは心を落ち着け、キングマーマンへ向け再び
呪文の詠唱を始めた。
 
「ダウド、お前のムチ貸せっ!」
 
「え?ええー……、これじゃ無理……」
 
「いいから貸せっ!!」
 
ジャミルはダウドから鞭をひったくると、もう一度クラーゴンへ
突っ込んでいく。
 
「……無茶だよお……、ジャミル……」
 
「ジャミル!無理しちゃ駄目だよ!」
 
「アル、俺は平気だからアイシャの方、援護を頼む!!」
 
「分った……!!」
 
「負けないんだから……!えいっ!イオラ!!」
 
「バギクロス!!」
 
アイシャとアルベルトのW魔法が次々とキングマーマンを海に沈めていく。
 
「はあ、……オイラ本当何してればいいの……」
 
「……くっ……」
 
「ジャミル!どうしたの!?」
 
ダウドが慌てて膝をついてしまったらしきジャミルに駆け寄る。
 
「……さすがに一人じゃ疲れちまって……、ちょっときつい……」
 
珍しくジャミルが弱音を吐いている。意地っ張りのジャミルが……。
それを見たダウドは慌てて道具袋の中を探り薬草を探す。
 
「や、薬草……、薬草!!」
 
「平気だ……、べホマが……、あ……!!」
 
「ジャミルっ!!」
 
「やべえ……、MPも殆ど残ってねえ……」
 
「頑張って!もうすぐアル達が来るから!!」
 
「……う~……、それまで身体が持つかなあ……」
 
 
バシッ!!バシッ!!
 
 
「ひっ!!」
 
こうしている間にもクラーゴンは容赦なく甲板を叩いて挑発する。
 
「……るせーイカだな……、焼いて食うぞ……」

「うう……」
 
「アイシャ!大丈夫かい!?」
 
「……わ、私……、もう……」
 
アイシャは今にもMPが尽きそうであるが必死に耐えている。
 
「……うあああっ!!」
 
「ジャミルっ!!」
 
遂にジャミルもクラーゴンにふっ飛ばされてしまう。
 
「ジャミルうー!しっかりしてよおー!!このままじゃみんな全滅だよお~!」
 
「ち……、ちくしょ……、う……」
 
「みんなっ、逃げるよっ!!」
 
「ま、待てよ、アル……」
 
「ラダトームに戻ろう……、悔しいけど……」
 
「こっから逃げるの!?まさか……、海に飛び込むとか……、ああ~っ!
オイラ無理無理無理ーーっ!!」
 
 
「……ルーラっ!!」
 
 
心配するダウドを尻目に間一髪、アルベルトのルーラでジャミル達は
ラダトーム近くの海上へと間一髪逃れる事が出来た……。
 
「アル……?だ、大丈夫か……!?」
 
「うん……、流石に船ごと転送させたから……、MPが半端無くて……」
 
フラフラになりながら4人はどうにかラダトームまで辿り着く。
町の者は戻って来たジャミル達の姿を見てびっくり驚いてしまった。
 
「勇者さん達……、どうしたの!!それに……、みんな傷だらけじゃ
ないか!!」
 
「勇者様……」
 
「おいたわしや……、どうかゆっくり傷を治していって下され……」
 
「ハハ……、ちょっとな、調子乗り過ぎてボコられちまったい……」
 
ジャミルの顔は笑っていたが心の中は失意のままだった。
 
「みんな有難う……、心配掛けてごめんな……、俺達は平気だから……」
 
「ジャミル、申し訳ないけど……、また暫く宿屋でお世話になろう……」
 
「ああ……」
 
宿屋の夫婦は最初ジャミル達が再び戻って来た事に驚いたが、
又宿屋に泊まっていくのを心から喜んでくれた。
 
「どうぞ、召し上がって下さい……」
 
おかみさんが温かい料理を運んでくる。
 
「私達にはこれぐらいしか出来ませんが……、沢山食べてどうか元気を
出して下さいね……」
 
「おばさん……、いつも本当、ありがとな……」
 
おかみさんは笑って厨房へ戻って行った。
 
「優しい人ね、本当に……」
 
「うんっ、うんっ!」
 
「ご馳走になろうよ、ジャミル」
 
「えっ?あ、ああ……」
 
4人はおかみさんが作ってくれた温かい、美味しい食事に舌鼓を打つ。
 
「おいしい♡」
 
アイシャが幸せそうに料理を口に運んだ。
 
「やっぱり戦いなんかより、こうやって美味しい物食べてる方が
オイラ幸せだよお~」
 
「ふふ、そうだね……」