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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 アレフガルド編2

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「気を付けてよ……!今危なかったのよ、後ろから……」
 
アイシャも二人を注意する。
 
二人が揉めているその間にクラーゴンが攻撃しようとしたらしい。
 
「悪いな……」
 
「ごめんよお……」
 
(たく……、 何で俺が謝るんだよ……)
 
「……?あ、イカがいねえぞっ!!」
 
「ええーっ!?」
 
「……隙を見て逃げたんだね……、きっと……」
 
「ちくしょう……、また決着つかずか……」
 
「オイラの所為じゃないもーん……」
 
ダウドは不貞腐れ、甲板の隅でいじけて丸くなる。
 
「……仕方ないよ……、体制整えて今度遭遇した時には……、必ず倒そう……」
 
「でも……、私達、いつでもクラーゴンに狙われているって考えると怖いわね……」
 
……それから先、他のモンスターにもあまり遭遇しない様、祈りながら、
ドキドキハラハラする航海の中、4人は漸く陸へと、マイラの土を
踏む事が出来たのだった。


マイラの村
 
 
「ここって確か、温泉があるって聞いたっけ……」
 
「うーん、温泉に入ってゆっくり疲れを落としたい処だけどね……」
 
「わーったよ、先に武器屋な」
 
「そうそう」
 
村はこれと言って特に何も無い普通の静かな村。温泉があるなどと
言われなければ分からない程、シンプルな小さな村である。
 
「あっ、ちょっと聞いていいかな」
 
定番の情報収集開始でジャミルは通りすがりのおじさんに声を掛ける。
 
「あんたら旅の人かい、あまり見かけない顔だな」
 
「はあ……、まあ……」
 
「この村にどんな武器でも作ってくれるっていう職人さんが居るって
聞いてきたんだ」
 
「ああ、ジパングから来た鍛冶屋の夫婦だろ?」
 
「……ジパング!?」
 
「懐かしいね……、弥生さん達……、みんなも元気かなあ……」
 
ジパングと聞き、アイシャが懐かしい思い出にふける。
 
「なんでも……、モンスターに追われてこの村まで逃げて来て以来、
此処に住んでるらしい」
 
「……へえー」
 
「でも、今は二人ともいないぞ?」
 
「えっ……」
 
「材料が切れたから仕入れに行ったんだよ」
 
「なんだ、良かった……」
 
「もう暫く立てば帰ってくるだろうよ」
 
「だってさ、どうする……?」
 
「仕方ないね、温泉にでも入って待とうか……、疲れも落とさないとね」
 
「決まりっ!」
 
アルベルトも折れ、待ってましたとばかりにジャミルが指パッチンする。
 
「……私……、やっぱり水の方が……、水風呂はないのかなあ……」
 
アイシャがちょっと我儘を言ってみる。
 
「プールじゃねーんだから……、我慢しろよ……」
 
「うん……」
 
で、ジャミル達は早速温泉に行ってみた。ジャミル達の姿を見た
風呂案内のお姉さんはお客さんが来たとばかりに声を張り上げる。
 
「いらっしゃいませー、ここは混浴露天風呂でございまーす……」
 
「……なに……?」
 
「と、言う事は……」
 
「……」
 
「やーい、スケベースケベー、べケスー!!」
 
普段の仕返しとばかりに勝ち誇った様に囃し立てるダウド。
 
「何、俺の方見てんだよっ!!」
 
「……」
 
「何で立ち止まってるの?早く入ろうよ」
 
「あ、先に入りなよ、アイシャ」
 
レディファーストでアルベルトが勧めるが。
 
「いいじゃない、皆で入ろうよ」
 
「はあ!?な、何言って……」
 
「顔が赤いよー、ジャミルさん……」
 
「一緒に入ろうよ、みんなで」
 
「だ、だから……!こ、こきょは……、こんにょくなの!あわわわわ!!」
 
「……こんにゃく?」
 
「頭が混乱しております、ジャミルさん」
 
「駄目なの?」
 
「なっ……、なにいってんだにょ!おにゃえは!うわわわわわ!!」
 
「……折角、水着、新しいの買ったの着てみたかったのに……」
 
「は?は……?は……、水着……、あ、水着着用ね、あはは、はは……」
 
「……プ」
 
錯乱しているジャミルを見てアルベルトが吹いた。ちょっと鼻血も
出ている様子。
 
「私、みんなと一緒に入っていいのかな……」
 
「大丈夫じゃないの……?」
 
「……お約束だねえ……」
 
「ふぇ……」
 
安心して気が抜けたのか、ジャミルはその場に倒れる……。
 
 
……
 
 
 
「……うひぃーっ……、きもちいいー……」
 
「本当、休まるね……、体が……」
 
「やっぱり……、お水の方が落ち着くなあ……」
 
「……ほええ~、ほっこり~、オイラずーっとここにいたいなあ……」
 
「じゃあ、ずーっとそうしてろ、ダウド君風呂でのぼせてミイラ化、
100年後に発見される」
 
「……ひっどーっ!口悪ー!!」
 
「ごめんよー、邪魔するよー!」
 
「!?」
 
いきなり扉を乱暴にガラッと開け、ハッピ着用、頭に鉢巻を巻き、
角の生えた筋肉女がドスドス足音を立ててやって来た。……ちなみに
ハッピの後ろには、おいでませ、マイラのロゴ。
 
「……またあんたかよ!一体何人いるんだ!?」
 
「はあ!?あたしはあんたなんか知らないよ!!」
 
「……」
 
「あたしはこの風呂のサービス員だよっ!ホラ、背中流して……、やるよ!?」
 
「……げ」
 
角女は張り切ってシコを踏んでいる。
 
「どいつからだい!?早くしな!!」
 
「ほら、サービスしてくれるってさ……」
 
「アルっ、……何で俺の方見るかなあ!?」
 
「サービスも何も……、あれじゃ相撲のスカウトだよお……」
 
「……じゃあ、私、行ってくるね」
 
「はあ!?ア、アイシャ……!!」
 
「だって……、サービスするまであの人帰らなそうだし……」
 
「わ、分ったよ……、仕方ねえ、俺が行く……」
 
「ジャミル、偉いなあ……」
 
「ねえ、男だもんねえ~!」
 
ジト目でアルベルトとダウドを睨むジャミル。
 
「お、来たね、兄ちゃん!それでこそアンタ男だよっ!」
 
「……好きにしてくれ……」
 
覚悟した様にジャミルが目を瞑った。
 
「……それじゃ……、やるよ……!?」
 
 
     うぎゃあああああーーーーっ!!
 
 
          ……… 
 
 
マイラの宿屋にて、客用寝室
 
 
「ジャミル……、大丈夫かい……?」
 
「い、生きてる……?」
 
「大丈夫じゃねえよバカヤロ!!」
 
「……背中が真っ赤だわ……」
 
「大体、何でお前らだけ無事なんだよ!!」
 
「だってあの人、ジャミルだけサービスしてどっか行っちゃったし……」
 
テーブルの上に置いてある煎餅をつまみながらダウドが一応……、
心配そうな顔でジャミルを見ている。
 
「……あ~……、まーだあちこちの節々が痛ぇ……」
 
「ごめんね、ジャミル……」
 
自分の身代わりに痛い思いをさせてしまった為、申し訳なさそうに
アイシャが謝る。
 
「武器屋さんに行くのは明日にしようか……」
 
「……悪ィけど……、そうしてくれ……、暫く動けそうにねえ……」
 
「……」
 
 
夜中……、ジャミルは皆が寝静まった頃、宿屋を出ると、もう一度一人で
露天風呂の方へと向い足を運んだ。