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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 アレフガルド編2

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「そ、そうなんですか……」
 
「おい、アル……」
 
「いいじゃないか、当分あっちこっち回らなきゃいけないんだから」
 
「面倒くせえなあ……」
 
「息子は自宅から持ち出した竪琴を持ち歩いている筈です……」
 
「はあ、竪琴……、ですか……」
 
「他に何か目立った特徴とかねえの?」
 
「特には……」
 
「あ、そう……」
 
夫婦はジャミル達におじぎをしてマイラを出て行った。
 
「……モンスターだらけの処、フラフラ移動して大丈夫なのかな……」
 
「家出して帰れなくなっちゃった親子もいるのに……」
 
「大体において……、初期のドラ〇エなんざ、ツッコミが多すぎんだから
いちいち気にしてたらキリねえんだよ……」
 
「……とりあえず……、竪琴を持った人を探してみましょうよ……」
 
アイシャがそう言うなり。
 
「あ、いたよ!」
 
ダウドが早速見つけたらしい。
 
「もういたのかよ……、早いなあ……」
 
「あそこだ……、子供がいっぱい集まってる……」
 
昨日の露天風呂の付近で竪琴を持った青年が子供を集め歌を披露するらしい。
 
「おにいちゃーん、早くー!」
 
「おうたうたってー!」
 
「……あの人がガライさんなのかしら……?」
 
「お、おかしいよ……、だって、ついさっきまでこの村にご両親が
居た筈だよ!?」
 
「そんなに早くすれ違いになる訳ないよね……」
 
ダウドとアルベルトが揃って不思議そうな表情をした。
 
「さあーみんなー!お歌を始めるよー!!」
 
青年が子供達に声を掛ける。
 
「折角だし、俺達も聴かせて貰うか」
 
「えっ?ジャミル……」
 
子供に交じってジャミルがアルベルト達に手招きする。
 
「僕らも行こう」
 
「えっ?うん……」
 
「行きましょ!」
 
青年は竪琴を弾き、歌を披露し始める。
 
 
♪ららら~、光のかなたより~……やみをうちはらいしもの~あらわる~…、
それはゆうしゃ……、ゆう…… ……!?
 
 
「……うわっ!!」
 
「な、なんで……」
 
「大変だわ!!」
 
「村の中にまでえええ……!?」
 
その場は一瞬にしてパニックに……。青年の前にモンスター、
メイジキメラ2匹が突如出現したのである。
 
「……うわあーん!こわいよー!!」
 
2匹のメイジキメラは今にも子供達に向かって火を吹きそうな勢いである。
 
「助けなきゃ、ジャミル!」
 
「ああっ!!」
 
アルベルトの言葉にジャミルが頷き、4人は一斉に駆け出す。
 
「この、化け物っ!!」
 
青年が竪琴を武器に応戦しようと無謀な事をする。
 
「……どいてろ!!」
 
「えっ?」
 
言うが早いかジャミルがメイジキメラに斬り掛り、あっという間に
一匹を斬り倒した
 
「こんなモン……、こうだっ!」
 
「あ……、あなた達は……」
 
「話は後だっ!」
 
「たすけてー!おにいちゃん!!」
 
もう一匹が子供を掴んで今にも何処かへ連れ去ろうとする寸前だった。
すかさずアイシャがメイジキメラのいる空中へ向けて氷魔法を放つ。
 
「させないわっ!ヒャダルコ!!」
 
「……うわあああーん!!」
 
「ダウドっ、お願いっ!」
 
「お任せだよお!」
 
子供はメイジキメラもろとも真っ逆様に地上に落下しそうになるが
墜落寸前ですかさずダウドが子供をキャッチして受け止めた。
 
「へへ、危なかったね……」
 
「ありがとう……、おにいちゃん……」
 
「よしっ!ダウドっ、偉いぞっ!!」
 
「何て見事なコンビネーションなんだろう……、心から相手を信頼し合って
いる……」
 
「だいじょうぶー?」
 
「けがしてない?」
 
残りの子供たちが側に寄ってきて心配する。
 
「ああ、大丈夫だよ……、怪我もしてねえみたいだし、ほら、早く家に帰んな、父ちゃん、母ちゃんが心配するからよ」
 
「よかったー!」
 
「おにいちゃん、ありがとうー!」
 
子供達は4人に手を振るとその場から去っていく。……と、子供達と
入れ替わりに、今度は騒ぎを聞き付けた村中の大人達が集まって来た。
 
「一体……、どうしたと言うんです……?こんな村の中で……」
 
「怖いわねえ……」
 
「……」
 
ジャミルがちらっと青年の方を見た。
 
「なあ、あんた」
 
「は、はい……、僕ですか?」
 
「俺、見てたんだけどさ……」
 
「はあ……」
 
「あんたがその竪琴を弾いた瞬間、モンスターが集まってこなかったい……?」
 
「あ、それは僕も見たような気が……」
 
アルベルトも頷いた。
 
「何と……!?」
 
「……このモンスター遣いめ……!!村に侵入して襲いに来たんだな……!?」
 
「ち、違う……」
 
「何が違うんだっ!!モンスターに子供を襲わせようとしたんだろうが!!」
 
「ぼ、僕はただ……」
 
「この悪魔め!」
 
「知らなかったんです、僕はただ……、吟遊詩人になりたくて……」
 
「何を訳の分らん事を!!」
 
「この竪琴だって家から持ってきた物なんです、信じて下さい……!!
弾けばモンスターを呼び寄せるなんて知らなくて……」
 
「知らなかったって……、な、何か天然な人だなあ……」
 
ダウドが口をあんぐり開いたままになる。
 
「タンマっ!」
 
「ゆ、勇者様……?」
 
殆どの村人は数日でジャミル達の素性を覚えてしまっていた。
 
「えっ……、勇者様だって……!?この人達が……?」
 
事実を聞いた青年があっけにとられる。
 
「後は俺達が話聞いとくからさ、許してやってくれよ」
 
「勇者様……」
 
「しかし……、大丈夫なのですか……?もしも勇者様達の身に何かあれば……」
 
「平気だよ、心配いらねえって」
 
「そうですか……、勇者様がそう言われるのならば……」
 
村人は青年を睨みながらその場を離れた。
 
「えーと……、あなたがガライさん……?」
 
アイシャが聞くとガライははっとして背筋をピンと伸ばす。
 
「え!……は、はい……、そうですけど……、どうして僕の名前を
知っているの?」
 
「とにかく……、また一旦宿屋へ行こうぜ……」
 
ジャミル達はガライを引っ張って宿屋まで連れて行った。

「なあ、あんた……、知らなかったのか……?」
 
「何をですか?」
 
「この村にガライさんのご両親が来ていたんですよ、あなたを探し回って
いたご様子でしたよ」
 
「行き違いになったのか?」
 
「いいえ、知っていましたよ、けれどずっと隠れてシカトしていました」
 
「は?」
 
「僕は決心したんです、吟遊詩人になるまで家には戻らないと……」
 
「おい……」
 
「帰りません……、何が何でも……」
 
ガライは拳を握り、ずっと俯いたままである。……まるで言う事を聞かない
その姿は駄々っ子幼児の様であり、4人は説得に苦戦する様な予感がしていた。
 
「で、でも……、お父さんとお母さん、とっても心配していたのよ?」
 
「そうだよお!」
 
「家の家計は先祖代々、吟遊詩人だったんです、祖父も父も母も皆……」
 
「なんだそりゃ……、凄すぎねえか……」