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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 アレフガルド編2

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「けれど……、僕だけが才能がない、吟遊詩人には向かないと言われ……」
 
ガライの顔が段々豹変してきた。顔に青筋が浮かんでいる。……もしかしたら
結構気が短いのかも知れなかった。
 
「それでブチ切れて竪琴盗んで家出してきたのか?」
 
「失敬な!ちょっと借りてきただけです……」
 
「でも……、凄い竪琴だねえ……」
 
「それは……、本当に知らなかったんです……、まさかモンスターを
呼んでしまう竪琴だったなんて……」
 
「その竪琴……、今まで弾いた事なかったのかい……?」
 
「ありません、今日初めて弾いてみたんですが」
 
「あっそ」
 
「……でも、子供達に怪我をさせなくて本当に良かった……、勇者様達の
お蔭です……」
 
この事に関しては、本当に感謝しているらしく、ガライが何度も頭を下げた。
 
「それはいいけど……、お前これからどうするんだ?」
 
「え……」
 
「お前、この村の奴らにあまりいい顔されてないぞ……」
 
「分ってます……」
 
「ジャミル……、僕らも早く武器屋に行かないとだよ……」
 
「宿屋のおばちゃんも……、オイラ達が戻って来たからまたこっち
睨んでるよお……」
 
4人もこの宿屋のおかみに関してはあまりいい顔をされていないのである。
どうでもいい裏事情であるが、このおかみはジャミル達に限らず、普段から
子供や若者と接するのが大嫌い。それだけだった。
 
「ん~……、そうだけどさ……」
 
「勇者様、一つお願いがあるんです……」
 
「な、何だい?」
 
 
「……僕も……、勇者様達の旅に参加させて下さい……」
 
 
「はあ!?」
 
「なっ!?」
 
「えーっ!?」
 
「……」
 
「駄目……、ですか……?」
 
ガライが恐る恐る顔を上げて4人の表情を覗う……。
 
「駄目にきまってんだろ!」
 
「そうですよ、危ないですよ!!」
 
「僕……、強くなりたいんです……、自分の目で世界を旅してみたい……、
あなた達と旅をすれば吟遊詩人に近づけるかも……」
 
「無理だっつーの!近づけるわけがねーだろ!!」
 
「ガライさん……、ご無理はせず、ご自宅に帰られた方が……」
 
「やっぱり……、僕には無理なんですね……」
 
「そ、だから諦めな」
 
「アル、ジャミル……、あの……、ガライさんが……」
 
アイシャがオロオロし出す。……ガライの様子が何となくおかしいのに
一早く気付いたからである。
 
「僕、死にます……」
 
「は!?」
 
「さようなら、僕、今から温泉の熱湯に頭から飛び込んで死んできます」
 
「わ~っ!ちょ、ちょっと待て!!」
 
「……どうせ僕なんか……、僕なんか……」
 
「嫌な奴だなあ!お前……!!」
 
ガライがジャミルの方を見る。……感心がキタ!……と、ばかりの表情。
 
「じゃあ……、仲間に入れてくれますか……?」
 
「ど、どうする……?」
 
「……リーダーは君なんだから僕は何とも言えないよ」
 
「私もジャミルに任せるわ」
 
「オイラはいいと思うよ、(だってヘタレの仲間が出来る……)ねっ!」
 
「弱ったなあ……」
 
「やっぱり……、僕なんか……、僕なんか……」
 
「わ…分った…分ったよ…」
 
「ありがとうございます!!」
 
「そのかわり……、絶対足引っ張んなよ?」
 
「はいっ!」
 
「良かったね、ガライさん!私達と一緒に頑張りましょ!」
 
(はあ……、エライ事になったな、こりゃ……)
 
こうしてガライは無理矢理メンバーに加入する事になったのだった……。
 
「さあ、張り切って行きましょう!」
 
「仕切んなよ……」
 
「ところで、これから何処に行くんです?」
 
「この村にいる武器職人さんを訪ねていく処です」
 
「たく……、時間食っちまったじゃねえか……」
 
「何か……?」
 
「何でもねえよ……」
 
「さあ、行きましょう、行きましょう!」
 
「ねえ……、アル、ガライさんて、面白い人ね」
 
「そうだね……」
 
「……」
 
一人元気なガライに頭痛がしてきたジャミルだった……。
 
ジャミル達は村人に道を尋ね武器職人の家を教えて貰う。
 
「ここかな?」
 
「そうなんじゃない?」
 
店の表札看板には、各種冒険道具、お取扱い致します、の文字。
 
「一緒に道具屋も営んでるみたいだな……、よっ」
 
店の前で男の子が遊んでいたのでジャミルが声を掛けると男の子が
反応して4人の方を見た。
 
「こんにちは……、あれ?」
 
アルベルトが挨拶すると男の子は慌てて店の中に入って行く。
 
「とうちゃん、お客さんだよ!」
 
店から大声がし、暫く立つと店からおっさんが出てきた。あの、ジパング特有の
瓢箪が左右に付いている髪型をしていた。
 
「何か御用で……?」
 
「あのさ、どんな武器でも作ってくれるって話を聞いてきたんだけど…」
 
「はあ、材料さえ揃えば……、色々作って隣の武器屋に買取して貰って
ますんで……」
 
「ここ、武器屋さん専門じゃなかったの?」
 
ダウドが訪ねると親父はうんにゃと首を振った。
 
「ウチはメイン商売は道具屋です……、武器は注文受けて作っとるだけですわ」
 
「あの……、ハープとか……、楽器は扱ってますか……?」
 
「ハア……?」
 
「ガライ……、ちょっと黙っててくれや……」
 
「すいません……」
 
ガライが控えめにしようとするが、どうしても黙っていられない模様。
 
「んと……、王者の剣とか……、頼んだら作って貰えるかい……?」
 
「……出来ねえ事はねえですが……」
 
「本当に!?」
 
「凄いわ!」
 
「ですが、そんなモン作って何するんです?」
 
「ん?ゾーマの野郎をシメるのさ」
 
「はあ……?ん……、も、もしや……、あなたは……、ゆ、ゆ、ゆ、ゆ……、
勇者様……?」
 
「一応、そうだよ」
 
 
「どひぃぃぃぃーっ!!」
 
 
道具屋の親父が腰を抜かし、腕をおっぴろげ地面に倒れた。
 
「し、失礼いたしました……、勇者様ご一行様とはツユ知らず……」
 
「別にいいよ、そんな大した人間じゃねえし……」
 
「いいや、勇者様達は我が故郷、ジパングを救って下さった、風の便りで此処、下の世界まで吉報が行き届いております、本当に心から感謝致します!!」
 
「……まいったなあ……」
 
オーバーに感謝され、ジャミルが困った様に頬を掻いた。しかし、
4人がおろちの脅威から故郷を救ってくれた事に心から喜んで感謝
している様だった。
 
「すいません、あのう……」
 
「何だよ、ガライ……」
 
「ちょっと歌っていいですか……?」
 
「まーた、いきなり何だよ……」
 
「お邪魔はしませんから、皆さんはお話を進めて下さい……」
 
「充分邪魔だよ……」
 
「何か……?」
 
「何でもねえよ」
 
「それで、王者の剣なんだけど……」
 
「♪あっあっあーん……、ああんあんああんあ~ん……」
 
「……」
 
「……だから!!黙ってろつったろうが!」
 
「発声練習の歌です、♪ああ~ん」