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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 アレフガルド編3

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「♪ついに見つけた~、伝説の鉱石~、オリハルコ~ン!」
 
 
……
 
 
ジャミル達は菓子屋でレーズンクッキーを一袋買い、子供にお礼として渡した。
 
「本当に、もらっちゃっていいの?」
 
「ああ、こんな事ぐらいしかお礼が出来ねえからな、遠慮なく食べてくれよ」
 
「ありがとうね!お兄ちゃんたち!」
 
子供がレーズンクッキーの袋を掲げ、嬉しそうに笑った。お礼もちゃんと
済んで、漸くマイラへと戻れる時が来た。
 
「色々あったけど……、やっと一つ大きな仕事が終わったね」
 
「早くマイラに戻ろうよお」
 
「あのう……」
 
「何だよガライ、何か文句あんのか?」
 
「此処から東にもう一つ、毒の沼を越えた先に、とても大きな街があるんです、
……メルキドって言うんですけど……」
 
「えー!まだあんのお!?」
 
「……行ってみて損はないと思うんですけど……、どうですか……?」
 
「お前らはどうする……?」
 
「オイラはやだよ!疲れちゃった!」
 
「僕はいいと思うケド、それにどっちみち、其処まで行ければ又休憩
出来るじゃないか」
 
「私も行ってみたいな……」
 
「じゃあ、もうちょっと歩いてみるか」
 
「えー!?」
 
ダウドは駄々を捏ねたが結局は多数決でメルキドまで行ってみる事になった。
 
「……」
 
「ガライさん?」
 
ガライが何だか難しい顔をしている。心配になり、アイシャがガライに
話し掛けた。
 
「あ……、はい?」
 
「どうしたの?あまり元気無いみたいだけど……」
 
「い、いや……、そんな事はないですよ……」
 
「そう……?」
 
「……」
 
 
城塞都市メルキド
 
 
「うわ……、すげ……」
 
「この街は城郭で囲まれているんだね……」
 
「ハハハ、その通りです、多少のモンスターが攻めてきたぐらいでは
ビクともしませんぞ!」
 
街の入り口にいた兵士が得意げに自慢する。
 
「……ふ~ん……」
 
ジャミル達は街の中へと入り、彼方此方歩いてみるが、街の風景をあれこれ
見ている内に気に掛る事がちらほらと出て来た。
 
「なあ、この街って店ないのか……?」
 
ジャミルがガライに聞いてみる。店の建物は見えるものの、宿屋以外、
何処の店も皆営業しておらず、閉まっているのである。
 
「いえ、そんな事はありませんよ……、ただ……」
 
「あーあ、くだらねえ、くだらねえ!」
 
「……痛っ!」
 
通りすがりのガタイのいい、硬そうな男がドンとジャミルにぶつかって来た。
 
「危ねえな!気を付けろ坊主!」
 
「……」
 
「大丈夫……?」
 
アルベルトが心配する。……相当痛かったらしくジャミルは鼻を抑えていた。
 
「……畜生、鼻打った……」
 
「君も結構成長したんだね……」
 
「何が……?」
 
「今日は怒らないんだね、偉いよ!」
 
ジャミルは怒って男を追い掛けて行かなかったので、アルベルトが
感心してみたものの。
 
「殴りてーけど……、あんな弱い親父相手にしても面白くねーもん……」
 
「ははは……、やっぱりね……、ハア……」
 
4人とガライは更に街を歩く。……ガライは更に口数が少なくなり、
街には寝っ転がった大人が大勢ゴロゴロしていた。
 
「どうせ皆魔王に殺されちまうんだ……」
 
「働いたってしょうがねえよ……」
 
「あーやだやだ!」
 
「……」
 
「オイラが言うのもなんだけど……、何だか情けないね……」
 
「ダウドに言われちゃお終いだな……」
 
「あう……」
 
「この街は……、誰もが生きる事を忘れてしまった街なんです……」

「ガライ……?」
 
暫く黙っていたガライが再びぽつりと言葉を洩らす。
 
「なんだあ……?嬢ちゃん、あんちゃんの彼女かい?可愛いなあ」
 
「……あの……」
 
変な酔っ払いがアイシャに絡んでくる。
 
「なあ、あんちゃんよお、この子ちょっと貸してくんねえ?」
 
「……う・ざ・い!」
 
「のおおおお!?」
 
ジャミルが酔っ払いの顔に顔面パンチする。
 
「てめえ……、もう一回やられてえか……?」
 
「ごめんなさーい!もういいでーす!」
 
酔っ払いは慌てて逃げて行った。
 
「……」
 
「この街って、こんなのばっかりだな……」
 
「ええ……」
 
「いてーなこの野郎!」
 
「んだぁ!?てめえが先にぶつかってきやがったんだろうが!!」
 
荒れて喧嘩をする者、ふて寝して仕事をしない者など、街は落ちぶれて
しまっていた。
 
「僕が子供の頃……、両親に連れられてよくこの街に遊びに来ていたんです、
懐かしくて……、今でも時々はよく此処に顔を出していたんですよ……」
 
ガライが淋しそうにつぶやく。彼は此処に来るまでの異様な元気が完全に
無くなっていた。
 
「……」
 
「あー忙しい忙しい!ほっほほっほ!」
 
更に今度はガラクタを抱えたじじいがこちらに走って来る。
 
「……何だ?」
 
「何じゃガキ共!そんなとこに固まりおって!邪魔じゃ、どかんかい!
 
「ねえ、そのゴミ何に使うの?」
 
「ゴミとは何じゃクソガキっ!!わしは皆を救うおエライ学者じゃぞ!
口を慎めっ!」
 
「……ひえっ!?」
 
「相手にすんなよ、ダウド……」
 
「うん……」
 
「この材料はわしの研究に使うのぢゃ!」
 
「研究?」
 
「そうぢゃ、わしは将来、この街を守る兵器を作ろうと考えておる」
 
「物騒だなあ……」
 
「名付けて……、ゴーレムじゃあっ!!」
 
「……」
 
「この街の者はいつか必ずわしに感謝する事になるのだよ、ぬは、
ぬはははは!」
 
じじいは笑いながらまた何処かへ走って行った。
 
「……ジャミルさん、一つ……、ご案内したい所があります……」
 
ガライはジャミル達を街の中央にある大きな神殿へと案内した。
 
「ここの神父様だけは真面ですから何か知っているかも知れません……」
 
「なら何か話聞けるかもな」
 
「さあ、入りましょう……」
 
ガライが皆を先導し、神殿の中に入る。
 
「……神父様」
 
「おお、ガライ殿……」
 
「勇者様達です」
 
「何と!?」
 
ジャミルが神父に向かって軽く頭を下げた。
 
「おお……、おお……!まさかあなた達が……!!」
 
「……」
 
「勇者様、ゾーマのいる島に渡るには3つのアイテムが必要なのです」
 
「3つ?」
 
「太陽の石、雨雲の杖、聖なる守り、これらの物を持っていれば、ゾーマの
城がある島へと渡る事が出来る筈です」
 
「太陽の石ならあるぜ?」
 
「何と!それでは次は雨雲の杖を探しなされ!」
 
「……また面倒くさくなってきたよお~……」
 
「ま、3つのアイテムのうち、一つは手に入れたんだからよ」
 
「じゃあ、これで本当にマイラに戻ろうか、王者の剣作って貰わなくちゃね」
 
「……」
 
「ガライさん、本当に大丈夫?……顔色も悪いし、様子がずっと変よ……」
 
「大丈夫ですよ、アイシャさん……」
 
 
……どけテメエ!!
 
 
「……あ!」
 
 
そっちこそどきやがれ!!
 
 
「……!!」