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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 アレフガルド編3

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「ガ……、ガライさん……!?」
 
外で聞こえてきた罵声にガライが慌てて神殿の外に飛び出して行った。

ガライ、夢への一歩を踏み出す

「ざけんな馬鹿野郎!!」
 
「ふざけてんのはテメエの方だろう……!?ああーん!?」
 
ジャミル達もガライの後を追い、急いで神殿の外へ。……外では
先程、通りすがりに見掛けたタチの悪い荒くれの酔っ払い達が喧嘩を
エスカレートさせていた。
 
「……たく……、まーだ喧嘩してやがる……」
 
「やめて……、やめて下さーい!!」
 
「……ガライっ!」
 
「……んー?なんだあ、兄ちゃんよお……」
 
「ジャミル……、ど、どうしよう!!ガライさんが……!!」
 
ガライは二人の酔っ払いの前に立ち、喧嘩を一旦中断させるが、酔っ払いは
鋭い目つきで喧嘩の邪魔をしたガライを睨んでいる。アイシャはハラハラし、
困ってジャミルにしがみ付く。
 
「同じ街の人達でいがみ合うなんて……、悲しいじゃないですか!!
……どうしてもっと仲良くしようとしないんです!?」
 
「何だぁ!?随分と偉そうだな……、兄ちゃんよお!?」
 
「……こんな時代だからこそ……、皆で助け合って生きていかなければ
なりません、いい大人が喧嘩なんかしている場合じゃないでしょう!?」
 
「この糞ガキ……!!」
 
二人の荒くれ男がガライに殴り掛ろうと拳を振り上げた、その時……。
 
「やめろよ……」
 
間一髪で間に入り、すかさずジャミルが止めに入る。
 
「何だお前は!!」
 
「通りすがりの美少年でーす」
 
「こ、この……、糞ガキ共…!!揃いもそろって……!!ふざけやがって!!」
 
「おっさんなんか相手にしたくねーんだけどさ……、ま、仕方ねえ、
やってやらあ」
 
「……この糞ガキ共めがーーっ!!」
 
 
          K  ・  O
 
 
「ひぃぃぃぃぃぃーーーっ!!」
 
「まだやるか……?」
 
「どうもすいませんでしたーっ!!」
 
荒くれ男二人組は揃って逃げて行った。
 
「たく……、いい歳こいて……」
 
「ガライさん、大丈夫ですか?」
 
アルベルトがガライを気遣う。……ガライは力なくその場にしゃがみ込む。
 
「はい、でも……」
 
「……」
 
「何だか悔しいです……、とても……」
 
「ガライさん……」
 
「僕は吟遊詩人になって平和の歌を歌いたかった……、僕の歌を少しでも
聴いてもらいたくて……、でも……、今の時代では僕の声など誰の耳にも
届きませんよね……」
 
「諦めんのは早いぜ」
 
「え……?ジャミルさん……?」
 
「この街が駄目だって、他の町や村があるだろうが」
 
「ジャミルさん……」
 
「あんたの歌を待っている所は必ず何処かに在る筈さ……!」
 
「そうですよ、メルキドばかりじゃありませんよ……」
 
「でも……、この街は……、僕の思い出の場所でもありますから……」
 
遠い目をしながらガライがじっとメルキドの街の中を改めて見つめる……。
 
「聴いて欲しかったのよね……、この街の人達に……」
 
「はい……、アイシャさん……」
 
「ガライ……」
 
「ね、今ここで歌ってよ!」
 
「は……、ダウドさん……」
 
「だな、思いっ切り歌えば気分が落ち着くかも知んねえぜ?」
 
「そうだよお、オイラ達はちゃんと聴いてあげるよ!」
 
「皆さん……、有難うございます……、楽器はありませんが……、
聴いて下さい……」
 
 
「何だ……?」
 
「……歌……?」
 
 
……ガライの透き通った歌声がメルキド中に響き渡る……。
 
「まともに歌えば歌えんじゃん……」
 
「何だかロマンチック……」
 
「気持ち良くて……、オイラ寝ちゃいそう……」
 
「本当に……、綺麗な声だね……」
 
4人は座って寄り添いガライの歌声に耳を澄ませる。
 
「何処……?誰が歌ってるの?」
 
「不思議だ……、どうしてだろう……、不安だった心が落ち着いてきたよ……」
 
「綺麗な音色……」
 
やがて歌声につられて街中の者が集まって来た。
 
「……おしまいです……」
 
「良かったよおー!ガライさん!!」
 
「すげーじゃん、ガライ!!」
 
「とても良かったですよ……」
 
「私……、何だか涙でちゃった……、どうしよう……」
 
「……あはははは……、な、何だか……照れ臭いですね……」
 
メルキドに来て暫く笑顔を失っていたガライの顔に再び笑みが戻りつつあった。
 
「ブラボー!ブラボー!」
 
「あ……」
 
「兄ちゃんもう終わりかい!?もっと歌っとくれよ!」
 
「わしらもっとあんたの歌が聴きたいんじゃ!」
 
集まって来た街の者が感声を上げた。
 
「ガライー、アンコールだとさ!」
 
「は……、はいっ!喜んで……!!」
 
その日……、ガライの歌声は荒んでいたメルキド中の人々の心を癒したの
だった。
 
「ジャミルさん……、僕、暫くこの街でお世話になれるみたいです……」
 
「良かったな……、これであんたも吟遊詩人として認められて
きたんじゃねーの?」
 
「はい……、一人前になる為にこの街で頑張りたいと思います……」
 
「じゃあ、これでさよならだな……」
 
「ガライさん……、また会おうね……」
 
「うう~……、頑張ってよおお~……」
 
「はい、お二人もお元気で……」
 
アイシャとダウドも涙目になりつつガライにエールを送った。
 
「僕もこの街の人達を歌声で少しでも癒してあげられる様、頑張りたいと
思います……」
 
「どうか頑張って下さいね……、お元気で……」
 
アルベルトもガライと握手を交わす。
 
「はい……、皆さんも頑張って下さい……」
 
「ああ!!」
 
「おにいちゃん、おうたききたいな~」
 
「うん、分ったよ、すぐに君のお家に行くからね……」
 
「わあ~い!」
 
「それではこれで……、失礼します……」
 
「じゃあな、ガライ……」
 
「さようなら……、皆さん……」
 
4人に頭を下げ、ガライが街の奥へと去ってゆく。……ガライの所為で
道中、散々な目にも遭ったが、いざいなくなる時が来るととても寂しい物で
ある事をひしひしと4人は感じていた。
 
「……自分の道を歩き出したんだな……、やっと……」
 
「本当に良かったわ……」
 
と、しみじみとしていた処で……。
 
「……あ、忘れてました……」
 
……雰囲気ぶち壊しでガライがのこのこと戻って来た。
 
「この竪琴を貰って貰えませんか?」
 
「はあ……?」
 
「弾くと……、モンスターが集まってくるやつか……?」
 
「はい、LV上げにも最適ですよ」
 
「でもこれ、実家から持ってきたんだろ?」
 
「はい」
 
「んじゃあ、駄目じゃん、返しとけよ!」
 
「色々お世話になりましたし……、僕も勇者様達のお力になりたくて……」
 
「もうその気持ちだけで充分だよ……」
 
「はあ……」
 
「歌だって聴かせて貰ったし、なあ……」
 
アルベルト達もうんうんと頷く。
 
「皆さん……」
 
「あんたはあんたで出来る事をしろよ」
 
「はい!」