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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 アレフガルド編4

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塔にやって来たんじゃが、どうにもモンスターが強すぎてなあ……、今、
逃げて来たところだ」
 
「何とか2階までは行けたんだけんどよ……」
 
「無理すんなよ、ルビスは俺達で助けに行くから……」
 
「……なんと?兄ちゃん達が?そんな、もやしと牛蒡みたいな
貧弱そうな身体して……」
 
「おい……、こいつらもしかして……」
 
もう一人のおっさんがジャミル達をジロジロ見ながら
仲間同士で耳打ちする。
 
「ハ?勇者じゃと……?」
 
「んだ。間違いねえ」
 
「おーい……」
 
「あんた達……、本当にそうなのか……?」
 
「一応な……」
 
「うふーっ!おったまげたぺ!」
 
「……」
 
「勇者様達が来てくれたんならもう、俺たちゃ引き上げて
だいじょうぶだば」
 
「うんだうんだ」
 
「んじゃ、ここは皆様にお任せして我々は帰るとすっか」
 
「おう」
 
「……」
 
「えいこらえいこら!」
 
おっさんの集団は塔からぞろぞろと引き上げて帰って行く。
 
「あ、そだ」
 
「ん?」
 
外に出ようとした最後の一人が立ち止まリ、4人の方を振り返る。
 
「この塔の2階には開店する床があるんだなあ……」
 
「開店じゃねーぞ、回転だぞ!」
 
「ああ、そうだ……、回転だ、よーく床を見て考えて進まんと
結構イライラすんど」
 
「分った」
 
「んじゃあな」
 
親父集団はえいほいほ完全に撤退していった。
 
「はあ……、何しに来たんだか、もうじいさんとおっさんの
大群はいいや……、見飽きた……」
 
「何かヒントをくれたみたいだね、2階にどんな仕掛けがあるんだろう……」
 
と、アルベルト。
 
「ああ」
 
「さあ、僕らも先に進もう、ルビス様を助けなくちゃ……」
 
「よし、行くか……!」
 
4人は塔の最上階目指して歩き出す。が、1階の途中の通路に
差し掛かった処で……。
 
 
      ……ぎゃああーーーっ!
 
 
「……何!?今の悲鳴……、誰かモンスターに襲われてんの……!?」
 
ダウドが脅え、いつも通りビクビクする。
 
「この塔の中に残っていた人がまだいたのかしら……?」
 
 
「親分ーーっ!しっかりーー!!」
 
 
「……ん?親分……?」
 
「向こうの方から声したよお!」
 
「行きましょ、ジャミル!」
 
「あ、ああ……」
 
4人は急いで声のした方向へ。……其処で見た人物達の姿とは……。
 
「……親分……!しっかりして下せえ……!」
 
「……ちっ……、情けねえなあ……、世界の大盗賊カンダタ様と
あろう者がモンスターにやられて、くたばっちまうのか……」
 
何と。モンスターに囲まれ、ボコられていたのは、上の世界で
悪事を働きその都度ジャミル達に邪魔をされて成敗されていた、
カンダタと子分共……、であった。やはり彼らも、この下の世界に
来ていたのは本当だったらしい。
 
「……親分ーーっ!」
 
「……いいから……、お前らだけでも早く逃げろ……」
 
「親分を置いてなんかいけません…!!」
 
「バカヤロウ!とっとと行け!」
 
「俺達、ずーっと親分と一緒だったじゃねえですかい!」
 
「俺ら死ぬまでカンダタ親分にずーっとついて行きます!」
 
「本当ですぜ……!」
 
「……お前ら……、くっ……、馬鹿野郎め……!!」
 
 
「……」
 
「……なーに臭い任侠芝居やってんだか……」
 
黙って状況を見守っていたジャミルがつい吹いてしまう。
がめついが、カンダタは意外と子分思いの処があった。
 
「笑っちゃ失礼だよ、ジャミル……」
 
 
「早く逃げろっつってんだよ、お前ら!!」
 
「……嫌だ!俺たちゃずーっと親分の側にいるんだっ!」
 
「いいから早く逃げやがれーーっ!!てめーら言う事聞けーーっ!!
……ブン殴られてえのかーーっ!!」
 
「……親分ーーっ!!」
 
 
「……」
 
「あれ……?」
 
「うはー……、すっげー切れ味……」
 
「!て、てめーらは……」
 
「あ……」
 
死を覚悟?したカンダタ達が異変に気づく。ふと、周りをみると……。
モンスター達は全てその場に倒れており、代わりに其処に立っていたのは……。
 
「たく……、弱ぇー癖に無理すんなよ」
 
「……何い!?」
 
「後は僕達に任せて!」
 
「大人しくしてるのよ!」
 
「はう~、行かなきゃだよねえ~……」
 
「お前ら……」
 
「……行くぞ!皆!!」
 
目の前にはサタンパピーや初顔のラゴンヌなど、強敵モンスターが
ずらりと並んで待ち構えていたが、それでもジャミル達は躊躇する事なく、
次々と敵を蹴散らしていく。
 
「……すげえ……」
 
「あいつらいつの間に……、こんなに……」
 
「キシャァァァァッ!!」
 
「うるさい!!」
 
「……ギャァァァァッ……!!」
 
「うわ……、マジですげえ……」
 
「あんな弱そうな剣で……、俺達が苦戦してた
モンスターを一網打尽ですぜ……」
 
「でも、ほんとすごいんだねえ、王者の剣て……、オイラもほれぼれよお~」
 
「ああ、破壊力半端ねえよ……、俺も手が震えてる……」
 
「お……、王者の剣……!?」
 
「あんな弱そうな剣が本物の王者の剣なのか……?」
 
「……横からうるせーぞ!黙って見てろ!!」
 
「ま、まあ……、ジャミル……」
 
ジャミルを宥めるアルベルト。
 
「ジャミル!まだ気を抜かないで!」
 
呪文を連呼しながらジャミルに向かってアイシャが叫ぶ。
 
「お、おう……」
 
「カンダタ親分……、あいつら本当に何者なんですかね……」
 
「……」
 
カンダタ達が何も出来ず呆然と立ち空くしている間に、
ジャミル達はカンダタ達を襲おうとした全てのモンスターを
一網打尽に始末してしまっていた……。
 
 
……
 
 
「ホラ、腕を出して……」
 
「……余計なお世話だ……」
 
一番ダメージの多いカンダタだけ特別に魔法で
アルベルトが治療しようとするが、やはり頑固な
カンダタは拒否する。
 
「んとに可愛くねえな……、この緑パンツ豚め……」
 
「……なんだと!?このノータリンの馬鹿ガキめ!」
 
「あんたの子分の方がよっぽど素直じゃん……」
 
両手を頭の後ろで組んでジャミルが溜息をつく。
 
「大丈夫?痛くないですか?」
 
「平気っスー!」
 
アイシャは子分達の傷に薬草を塗り傷を治療している。
 
「私は回復魔法が使えないの、だからとりあえず薬草で我慢してね」
 
「よいしょっと……、しょうがないなあ~」
 
ダウドも手伝い子分達の傷に薬草を塗っていく。
 
「……俺達……、上の世界にいた時は皆さん方にあんな酷ぇー事
したっつーのに……、どうして……」
 
アイシャは子分達の顔を見てにこっと微笑んだ。
 
「……な、なんて優しいお嬢さんなんだ……、ウォォーーッ!!」
 
「天使だーっ!」
 
「女神様だーっ!」
 
アイシャの優しさに絶叫する子分達。
 
「……怒れば怪獣なんだけどな……」
 
「ジャミル……、なあに……?」
 
「い、いや……、何でもないです……」
 
「……チッ!」