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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 アレフガルド編4

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この石像が精霊ルビスに違いなかった。
 
「……はあ……、この人が……」
 
「ルビス様……、なんだね……」
 
「綺麗な人ねえ……」
 
「……」
 
美しい女性の石像の前で4人は思わず言葉を忘れ立ち空くす……。
 
「さあ早く……、ジャミル、君が笛を吹いて……」
 
「お、俺が吹くの……?何か緊張すんなあ…」
 
「……君が緊張する玉……?」
 
「う、うるせえなあ……、腹黒めっ!」
 
「いいからっ、早く吹いてよお!」
 
早くルビスと話をしてみたいらしく、興奮しながらダウドが急かす。
 
「わ、分ったよ……」
 
ジャミルは石像の前に立ち、やはり緊張しつつも、
妖精の笛を吹いた……。すると……。
 
「……おおっ!」
 
……石像が光出し、ルビスの身体を覆っていた硬い石が
パラパラ崩れ出した……。そして、……精霊ルビスが
ゾーマの呪縛から解放され、遂に目覚める……。
 
「……わ、私は……」
 
「ルビス様が……!」
 
「やっと目を覚ましたよお!」
 
「……ルビス様!」
 
石像から解放されたルビス。……その美しい本当の姿に仲間達も
驚きと歓喜の声を上げた。
 
「……ジャミル、あなたが勇者ジャミルなのですね……、そして、
仲間達よ……」
 
「ルビス……、様……」
 
「私の呼び掛けに答えてくれて有難う……、漸くこうして
現実世界でやっとあなたに会う事が出来ました……」
 
目覚めたルビスがゆっくりと……、4人に近づいて来た。

「んっ!?……んんんーーっ!!」
 
……ジャミルの側に近づき、ルビスはジャミルを自分の胸の
谷間へと引き寄せた。ルビスの巨乳の間に顔を挟まれたジャミルは
息が出来なくなり、もがいてバタバタ暴れる……。
 
「……うへえ~……、いいなあ~……、ジャミルってば……」
 
……羨ましげに指を銜えて見ているダウド。
 
「こうしてまた元の姿に戻れるなど夢の様です……、よくぞ封印を
解いてくれました……」
 
「……」
 
相手が精霊ルビスとあっては文句も言えないのか、アイシャはただ黙って
膨れている。
 
「もう知っているかと思いますが……、念の為に……、私は精霊ルビス、
このアレフガルドの大地を創った者です……」
 
「……く、苦……、ん~、むぎゅ……!!」
 
「ルビス様……、ジャミルが窒息しちゃいますよ……」
 
「あ、あら……、ごめんなさい……、つい嬉しくて…」
 
アルベルトが注意すると、ルビスは慌ててジャミルをパフパフから解放する。
 
(それに……、こうして改めて見ると、小さくてとても
可愛いんですもの……、ふふ……)
 
「……大丈夫?」
 
アルベルトが心配する。ジャミルは呼吸困難寸前になりそうであった。
 
(ふう……、俺……、巨乳が嫌いになりそう……)
 
(……何でこんな人達ばっかりなのよ……!)
 
またまたアイシャがブン剥れる。運がいいのか何だか。どうにも
ジャミルは巨乳美女と縁が有るらしい。
 
「さて……、話を進めましょう……、ご存じの通り、大魔王ゾーマは
バラモスを上回る何倍もの邪悪な力を持っています……」
 
「……」
 
「僭越ながら私もあなた方の力になりましょう、ジャミル」
 
「へ、俺?」
 
「さあ、こちらへいらっしゃい」
 
「ハア……」
 
「……」
 
(……まーたパフパフだったらどうしよう……)
 
後ろで黙って膨れている不機嫌なアイシャをちらちら見るジャミル。
 
「2つの魔法の力をあなたに授けます……」
 
ルビスはそう言ってジャミルの手を取り、静かに祈り呪文を送る。
 
「……」
 
「呪文?ああ、魔法か……」
 
「……一つは……、電撃系最強の魔法、ギガデイン……」
 
「ほへ?」
 
「この魔法はどんな相手にでも必ず致命傷を与えます……」
 
「へえー!すごいね、ジャミル!」
 
「ああ、すげえや!!」
 
「もう一つは……、ホイミ系の最強回復魔法、べホマズンです……、
この呪文を唱えればどんなに深い傷を負おうとも、忽ちのうちに一瞬で
味方全員を全回復する事が可能です……」
 
「便利ねえー!」
 
「すごーい!」
 
「但し……、この2つの魔法はあなた自身のMPを大量に削る事に
なります……」
 
「え……」
 
「ここぞと言う時に使うのですよ……」
 
「両方とも多用は出来ねえって事か……、当たり前か……」
 
「大事に使わなくちゃね……」
 
「……そして……、もう一つの力をあなたに……」
 
「……?」
 
ルビスはジャミルの頭にそっと手を置き静かに祈りを込めた。
 
「どうかこの者に……、邪悪な力に負けぬ輝きを……!」
 
ルビスがそう言った瞬間……、ジャミルの体が光に包まれた。
 
「……何だ……?何が……どうなって……、あ……!!」
 
「……ジャミルっ!!」
 
「うわああああーーーっ!!」
 
「ジャ……、ジャミルっ!!」
 
飛び出して行こうとしたアイシャをアルベルトが止める。
 
「……アルっ!いやっ、放してよっ!!」
 
「アイシャ、落ち着いて!ジャミルは大丈夫だから!!」
 
「……あーーーーっ!!……あ、あれ……?」
 
「……」
 
「ほらね、大丈夫だろ?」
 
「で、でも……」
 
「……俺……、どうしたんだ……?」
 
「ジャミル……、その鎧は……?」
 
ダウドがおずおずと聞く。
 
「ジャミル……、あなたに今……、聖なる力が宿りました……」
 
「……はえ……!?」
 
「光の鎧がその証拠です……」
 
「ほ、本当に……?何だこの格好……!?」
 
「きゃー!ジャミルかっこいいー!!」
 
「これでゾーマと戦える装備が揃ったんじゃない!?勇者の盾と、
王者の剣と、光の鎧と……」
 
「凄いよお……!」
 
「でも、光の鎧だって持ってかれて行方不明だったんだろ……?」
 
「王者の剣と同じですよ、例え壊されても造る事は出来ます……、でも、
私には光の力の再生しか出来ませんが……」
 
「そ、そうか……」
 
「そして……、光の玉は持っていますか……?」
 
「ん?ここに……」
 
「……コホン、ジャミル……、その玉じゃ……」
 
 
          パンッ!!
 
 
「ないでしょっ!!」
 
「ジョークだよ、ジョーク!!ムキになるな、腹黒っ!」
 
「……なるよっ!」
 
「……ああっ、なんて可愛らしいんでしょう……!!」
 
「わーっ!タンマタンマ!!」
 
「こんな愛しい子を何故戦場へと送らねばならないのでしょう……」
 
ルビスはどさくさに紛れ、再びジャミルの顔を自分の胸で
サンドイッチする。……案外抜け目のないミーハーな精霊……、
なのかも知れなかった。
 
「……むう~……、鎧の所為で余計苦しい……、いたた……」
 
「ルビス様、僕らそろそろ……」
 
「あ、ああ……、そうでしたね…淋しいですわ……」
 
ルビスは名残惜しそうにジャミルを手放した。
 
「……」
 
「それで、光の玉は……」
 
「うん、竜の女王に貰ったんだ、ホラ」
 
「まあ……、竜の女王様が……、それでゾーマの闇の衣を
剥ぎ取る事が出来る筈です……」