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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL30

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 アレクスにとって、ここまでの道のりは長いものだった。
 マーズスターに細工をされている事がスターマジシャン・シレーネによって明らかとなり、なんとかその細工を取り除こうと考えた。
 その結果がデュラハンらに加担するふりをする事であった。
 デュラハンは、暗黒錬金術を完成させる事を目的としていた。アレクスはこれを利用することにした。
 しかし、この計画は看過され、アレクスはデュラハンにより殺された。そのように思われていた。
 しかし、これも計算の内であった。
 アレクスには、睾丸を一つ犠牲にする事によって得られた魔術があった。女体化する能力と完全な分身を作り出す能力、そして水になる能力である。
 錬金術を復活させる目的を持つアレクスの存在は、デュラハンにとって邪魔になると考えた彼は分身を作り、その分身を殺させる事で自らを死んだものとした。
 そして必ずやデュラハンを倒すであろうロビン達が、かの大悪魔と対峙すると考えたアレクスは、空気中に水となって、その日が来るまで待ち続けた。
 そして、その時は満ちた。ロビンがドラゴンスレイヤーの力を引っ提げ、その圧倒的な力によってデュラハンを追い詰めた。
 しかし、デュラハンにはまだ利用価値があると踏んだアレクスは、シレーネの魔術によってロビンらを同士討ちさせ、どさくさに紛れてデュラハンが逃げられるようにした。
 その後、デュラハンの行ったことは、ジパン島に鎮座するフジ山こと、ガイアロックへ向かい、魔龍オロチと融合して竜化する事だった。
 アレクスの助けもあって、デュラハンの計画は一切の邪魔なく進んだ。
 アレクスは、デュラハンが竜化した後も水の姿となり、デュラハンを監視し続けた。
 そして、ロビン達との二度目の対峙の時がやって来た。アレクスは戦いには関与せず、水に溶けて戦いを見守るだけだった。
 ドラゴンスレイヤーとなり、ドラゴンに対する力が非常に大きい状態のロビンにとって、竜化というある意味悪手を打ったデュラハンなど赤子の手をひねるようなものだった。
 天界の女神イリスの力も相まってデュラハンは圧倒された。
 アレクスは、ここでデュラハンの竜化の能力を得ていた。しかし、まだここでもデュラハンを死なせず、デュラハンの周りに霧を立ち込めさせて逃げる機会を与えた。
 もうこれ以上デュラハンから盗める技がないと判断したアレクスは、暗黒なる存在でありながら錬金術に活路を見出だすデュラハンにアルファ山頂上にて引導を渡したのであった。
ーーここまで本当に長い道でした。後は私が神を超えた存在となり、世界に終焉をもたらす……ーー
 突如、ウェイアード各地から光が浮かび上がった。
「ロビン達が灯してくれたようですね。後は待っていれば、黄金の太陽現象が起こり、錬金術が復活する。錬金術は私がいただきます!」
 イミルの地、ラリベロの地、アネモスの地、そしてプロクスの地それぞれからこのアルファ山に向かって光が走ってきた。
 そしてそれぞれの光が一つに合わさり、アルファ山上空へと集まった。
「さあ、このアレクスに錬金術を!」
 諸手を挙げるアレクスに向かって、光は降り注いだ。
 アルファ山頂上に光が集まるという、黄金の太陽現象しばらく続いた。光を受けしアレクスは、この上ない充足感を感じていた。
「これはすごい。力が満ち溢れる。筆舌に尽くしがたいとはまさにこの事です!」
 光の中でアレクスの姿が変化していた。
 深緑をしていた髪が黄金色と化し、その長さは地につく程になっていた。更に瞳の色も赤と青に変化した。
 やがて、全ての現象は収束した。
『キャッチ』
 アレクスは、小さな岩をエナジーで持ち上げた。
「はっ!」
 エナジーの波動を放った。岩はひび割れる間も無く、砂と化す瞬間すらも与えられる事なく消え去ってしまった。
「ふふふ……!」
 アレクスは一度小さく笑った。
「ふははははは!」
 アレクスは空を仰ぎ、大きく笑った。
「ふはは……神の領域、超えましたよ……!」
 それは、神を超えた者が誕生した時だった。
「我は超神(ゴッドエクセッサー)、アレクス!」
 アレクスは一人、名乗りを上げるのだった。
 アレクスは両手を上げ、空へと掲げた。
「吹き荒べ吹雪! ウェイアード全てを氷に閉ざすのだ!」
 アレクスが言うと、空に灰色の雪雲が広がり、ちらちらと雪が降り始めた。
 雪雲はウェイアード中を覆っていた。雪とは全く無縁の地域にも例外なく雪は降った。
 やがて雪の勢いは増し、強風を伴った吹雪になった。
「ふははは! これこそが超神の力! もはや止められる者はいない! ふははははは……!」
 アレクスは、この上ない昂揚感に高笑いを上げた。
 ふと、アレクスは、自らに近寄る存在に気が付いた。
 それは、浮遊し、単眼を持つ岩であった。
「……なんです? この超神の領域に入り込んで来る無粋者は」
「我はワイズマン……」
 単眼の岩は名乗った。
「ワイズマン? 聞いたことがありませんね、そのような名前……」
「我は灯台の守護者。錬金術の守り手……」
「錬金術なら、この私がたった今手に入れましたよ。全ての力、永遠の命をね!」
 ワイズマンは、僅かに目を細めた。
「全てに近い力だ……」
「ふん、癇に触る岩ですね。良いでしょう、超神の力、とくと味あわせて差し上げましょう!」
 アレクスは、エナジーの波動を放った。
「ハッハッハ……! 素晴らしい力でしょう。ですが、まだまだこれからですよ!」
 アレクスのエナジーは、ワイズマンを圧していた。
 純粋な力だけのエナジーであるが、身動きの取れないほど大きなエナジーがワイズマンを襲った。
「ふんっ!」
 ワイズマンは反撃に移った。エナジーの波動同士がぶつかり合った。
「ほう、反撃とは面白い事をしてくれますね? ならばこちらも……!」
 アレクスは、エナジーの出力を上げた。より勢いのある波動が、ワイズマンの波動を押し返した。
 アレクスの波動はやがて、ワイズマンの波動を完全に圧倒し、ワイズマンを吹き飛ばした。
「……どうです? 超神のエナジーのお味は」
 アレクスは、かざした手を下ろし、波動を止めた。
 吹き飛ばされたワイズマンは、ゆらゆら揺れながら戻ってきた。
 アレクスのエナジーを受けたため、岩であるワイズマンは、所々ヒビが入っていた。
「……これほどか」
「ずいぶんと余裕がありますね。ならば今度こそ跡形もなく消し飛ばして差し上げましょう!」
 アレクスは再び、ワイズマンに手を向けてエナジーの波動を放った。
「消えて無くなりなさい! はああ……!」
 アレクスは、一気に波動を増幅させた。
 対するワイズマンは、なす術なくエナジーの波動を受けて、その身を砕かれていった。
「おしまいですよ!」
 アレクスは、最後のエナジーを出し切り、ワイズマンを完全に砕き散らした。
「ふっふふ……!」
 ワイズマンを圧倒し、アレクスは笑った。
「ふはははは……! さすがは超神の力、何者にも負ける気がしません!」
 アレクスは、最大級の優越感に浸っていた。
「……さて、私を超神にしてくれた彼らに感謝の言葉を与えなくてはなりませんね」
 アレクスは、浮遊してエナジーを発動した。