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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL30

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 しかし、アレクスは雲を発生させた。その雲は積乱雲であり、イリスの放った雷を吸い込ませた。
『クラウドスコール!』
 アレクスは、イリスの放った雷を、雨とともに跳ね返した。
「そんなっ!?」
 イリスは、意表を突かれながらも、不死鳥の翼を体に巻き付かせて防御した。
「どうしました、イリス? 貴女の力はこの程度ではないはずでしょう?」
 アレクスは挑発した。
「これしきで倒れる私ではありません。私の力はエナジーのみではないところ、思い知らせてさしあげます!」
 そう言うとイリスは、両手に光を発生させると、左手こぶしをかざし、右手こぶしを左手に合わせた。
 イリスは、横にした右手を真横に引き抜いた。すると、光の剣を出現させた。
「かつて私が依代にしていた人間の剣技、お見せしましょう!」
 イリスは、抜いた剣を光の鞘に納刀し、背中半分をアレクスに向ける構えを取った。
「ずいぶんと変わった剣技ですね。一度抜いた剣をしまうとは」
 アレクスは侮っていた。
「これがこの剣技の全て! 参ります!」
 イリスは、背を向けたまま、まっすぐにアレクスに向かっていった。
「攻めが単調ですね!」
 アレクスも氷の刃を顕現させ、斬撃で返り討ちにしようとした。
「くらいなさい!」
 アレクスは、氷の刃を突き出した。
 しかし、アレクスの攻撃は虚空を斬るだけだった。
 イリスの姿が残像を残し、アレクスの背後へと回った。
 そしてイリスは、抜刀すると同時にアレクスの背中に斬りかかった。
「転影刃!」
「がはっ!」
 アレクスはかわしきれず、背中を斬られた。しかし、一瞬の判断でイリスが何をするのか読んだアレクスは、致命傷には至らなかった。
「あれは、転影刃。イリス、リョウカの剣を覚えていたのか!」
 シンは驚いて言う。
「今の剣、完全に決まったと思ったのですが、そう上手くは行きませんか……」
『プライ』
 アレクスは傷を回復させた。
「お見事、と言っておきましょうか」
 アレクスにはまだ余裕が見られた。
 イリスは納刀して構え直した。
「通常の構えで剣を納め、攻撃の瞬間だけ剣を抜くとは、回避も防御も難しい剣ですね……」
 アレクスは、イリスの剣を称賛した。そしてイリスから距離を取る。
「間合いに入らなければどうということもありませんね。接近戦をしなければ……!」
「甘いですね、アレクス!」
 イリスは、剣にエナジーとは違った気を込め、抜刀した。
「飛鳥刃!」
 剣から疾風の刃が出現し、アレクスへと飛んでいった。
「何っ!?」
 アレクスは完全に予想外であった。
 防御のエナジーも間に合わず、アレクスは氷の刃で疾風の刃を防いだ。
 しかし、イリスの攻撃はこれで終わりではなかった。
 放った疾風の刃を追跡するように空を進み、アレクスへと近づいていた。
「流転・転影刃!」
 イリスは攻撃しつつ残像を残し、アレクスの背後に回り斬り突けた。
「うごっ!?」
 アレクスは、今度こそ背中を斬られ、血煙を上げた。
「これで終わりです!」
 イリスは、神のエナジーを発動した。
『アルカン・エクス・フレア!』
 まともに剣擊を食らったアレクスは防御エナジーを展開することができず、虹色の炎にその身を焼かれた。
 しかし、超神たるアレクスは、この程度では死ぬようなことはなかった。
『……アーネスト・プライ……』
 アレクスは、大きな回復エナジーを発動して、負った傷を治した。
「さすが、超神とは口先だけではないようですね……」
 イリスは構え直す。
「私も侮っていましたよ。天界で最強を誇る女神の力をね……」
 アレクスは、圧倒されていたが、まだ何かを隠し持っているようだった。
--おかしい、あれほど傷を受けながら、まだ余裕が見られますね……--
 イリスは用心して構えを解かなかった。
「イリス、お遊びはここまでです。私の本気、お見せしましょう!」
 アレクスはやはり何かを隠していたようだった。
「ハアアア!」
 アレクスは気合いを込める。
「アレクスの姿が!?」
 誰かが叫んだ。
 アレクスは、その姿を変えていった。
 大きな翼を背中に顕現させ、手指には鋭い爪が伸びた。
 頭には、神と言うよりも悪魔の角が生えた。
「どうですかイリス? これが超神の真の力を湛えた姿です」
 これまでの姿も強いものだったが、変身した今の姿はその倍以上のものとなっていた。
「……まさか変身することができるとは。私の力に追い付いた、いえ、超えたかもしれませんね……!」
 イリスは、構え直す。
「ですが、負けるわけには行きません。剣技と神のエナジー、全力で行かせていただきます!」
 イリスは、アレクスに向けて手をかざした。
『アルカン・エクス・フレア!』
 虹色の炎がアレクスを襲う。
 イリスは、『バリアアンシル』で防がれるのを見越し、エナジーを発動される前に剣擊を加えようと距離を詰めた。
 しかし、アレクスのやった事は、イリスの予測を上回る事だった。
 アレクスは、迫り来る神のエナジーに向けて手を向けて、エナジーを受け止めた。
「そんな!?」
 神のエナジーは、アレクスに片手で防ぎきられてしまった。
『ネオ・バイオレントクール!』
 アレクスは、無数の氷の刺を、地面からイリスに向けて放った。
 地にいては串刺しとなると一瞬で判断し、イリスは上空に逃げた。
「遅いですね」
「っ!?」
 アレクスは空中におり、しかもイリスの背後を取っていた。
「くっ、『スパイアストーン!』」
 イリスは、全方位を攻撃できる岩の槍を発生させ、アレクスを牽制した。そして再び距離を置こうとする。
「読めてますよ」
 アレクスは、再びイリスの背後にいた。
 イリスはもう一度距離を取った。
「だから、見え見えですよ」
--なんて速さ……!?--
 アレクスは、背後を取っていた。
 このまま追いかけっこをしていてはいつか攻撃されると思ったイリスは、思いきって打って出ることにした。
『レイデストラクト!』
 電流の流れる磁気嵐をイリス自体にまとわせ、背中を振り払った。
 無論背後にはアレクスはいなかったが、背後は磁気嵐によって守られていた。
 恐らく止まっているであろうアレクスに向けて、イリスは電撃を込めた当て身を打った。
「だから甘いと言っているでしょう?」
 パシッ、とイリスの拳は、いとも容易く受け止められてしまった。
『フレア!』
 イリスは、炎で牽制してアレクスから離れた。
--神のエナジーも打撃も効かないなんて。一体どうすれば……?--
 イリスの攻撃は、ほぼ全て防がれてしまった。イリスにはもう、打つ手が無くなってしまったように思われた。
「イリス!」
 シンが駆け寄ろうとした。
「来てはなりません!」
 天界で最強を謳われるイリスでさえ押されている勝負である。いくら闘霊の力を宿すシンでも敵わぬ勝負であろう事は明らかだった。
「もう済みましたか? では、こちらも反撃と行きましょう!」
 アレクスは攻勢に出た。
『テンペストスピン!』
 アレクスは、複数の竜巻を引き起こした。
「っ!?」
 イリスは、驚きながらも、エナジーの波動を放って竜巻と相殺させた。