zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 ドタバタ子育て
チビの秘密
ジャミル達が塔へ向かうと、すでに1階付近でまるで
一行が訪れるのを判っていたかのようにルビスが出迎えた。
「ルビス様……、えーと……、ご無沙汰……」
「お待ちしておりました、ジャミル、皆さん……、
お久しぶりですね……」
「ええと、ゾーマを倒してから、一度、光の鎧返しに
此処に来て……、それからもう……、大分立ってるっけ……」
「ええ、その後、皆さんはおかわりありませんでしょうか……?」
「ああ、元気だよ、取りあえず……」
「このひとが?ルビスさまなの?」
気になる事があると、きょとんと首を傾げるのは相変わらずで、
チビがアイシャに聞いた。
「うん、そうよ……」
「ぴーきゅー」
「まあ、その子は……、ドラゴンの……?一体何処で……」
ルビスが驚いた様にチビを見つめ、そして抱き上げた……。
「話せば長くなるんだけどさ……」
「分りました……、お話を聞かせて下さい、こちらへ……」
ルビスはワープルートで一行を最上階へと案内する。
「そうでしたか……、そんな事が……大変でしたね……」
「まだチビには自分の本当の親の事話してねえんだ、ま、頭いいから
いずれすぐ理解しちゃうんだろうけどさ……」
チビにはまだこういった重い話をあまり聞かれない様、
ダウドにチビを預けて向こうの方で一緒に遊んで貰っている。
「実は……、上の世界の方でも……、大変な事が起きている
様なのです……」
「えっ……」
「竜の女王様のお子様が……、一年以上……、現在も
行方不明なのだとか……、何者かに卵を盗まれた様なのです……」
「……あの、現在の女王様は今どうなされているのでしょうか……、
僕らが訪れた時にはすでにお身体の方も芳しくなかった様なのですが……」
アルベルトがルビスに尋ねると、重苦しい雰囲気で
ルビスが口を開いた。
「……ええ、女王様は卵を産んだのち……、すぐに他界されたそうです……、
どうやらその後で卵が盗まれた様なのです……」
「んじゃあ……、俺らが此処に来て……、すぐぐらいか……?」
「でも……、女王様のお城にいとも簡単に忍び込んで
卵盗むなんて普通じゃないわよね……」
「ああ、タダモンじゃねえぞ……、やばい感じが滅茶苦茶する……」
「ジャミル、あのドラゴンの子を……、私に少し見せて下さい……」
「え?あ、ああ……、いいよ、ダウドーっ!」
「あっ、はーい!」
ジャミルがダウドを呼んでチビを連れてくる。
「……」
「ぴ?」
ルビスがチビをじっと見つめ額に手を当てる。
「あの、ルビス様……、チビちゃんに何か……?」
アイシャが心配そうにルビスに聞いてみる。
「このドラゴンの子は……、封印されていた洞窟の中で……、
卵の時に見つかったのですよね……?」
「ああ、そうだけど……」
「この子は恐らく、普通のドラゴンではありません……、
とてつもなく凄い力を秘めています……」
「なっ……!?、ルビス様……、マジでか…!?」
「チビちゃんが……!!」
「それは……、チビの成長の度合い、凄い知能が有るのは
僕らでも見ててわかります……」
「この子の力は一歩間違えば……、破壊にも再生……、どちらにも
なる力を秘めている事でしょう……」
「そんなに凄いの……?チビちゃんて……」
「もしかしたら……、この子の本当の親は……、恐らく……、
竜の女王様の……」
「……ええええーーーっ!?」
ルビスの衝撃の言葉に思わず4人が一斉に声を揃える。
「……待って下さい、ルビス様!チビちゃんの本当の親は
洞窟の中のドラゴンさんじゃなかったって言う事なんですか!?
……あっ!?」
「……アイシャっ!」
アイシャが思わず声を張り上げてしまい、ジャミルが慌てて
アイシャに注意を促すが……。
「ぴーっ!ちがうよお!チビのパパとママはみんなだよ!」
「ダウド……、わりぃけど、また、チビを頼む……」
「う、うん……、チビちゃん、また向こうでオイラと遊ぼう」
「はーい!」
話を聞かれない様、再びダウドがチビを向こうに連れて行く。
チビはあまり気にもしていない様子ではあったものの。
「先程、私がお話した竜の女王様の城から卵が盗まれた事、
そして……、あなた達から聞いた密猟組織、魔族の事……、
これらと全て何か深く関係が有り、答えが結びつく様な気が
しているのです……」
「じゃあ、……密猟組織やあのベビーサタンとは又……、
別の何かが陰で動いていたって事だよね……?」
「うわ……、話がどんどんややこしくなってきたな……、けど、
何でわざわざ違うドラゴンのとこに卵隠しておいたんだか……、
それがわかんねえよな……、それにあの洞窟は俺らがゾーマを
倒すまで封印されてた筈……、それまで卵をどうしてたのかも気になるな……」
更に複雑になってきた事態に3人はダンマリになってしまった……。
「……うーん、何かこんがらがってきたぞ、俺……、頭が
おかしくなりそうだ……」
「もしも上の世界に戻る事が出来れば……、また竜の
女王様のお城に行く事が出来たなら……、その子の真相が
明らかになるかも知れませんが……、けれど今の私の力では
あなた達を上の世界まで送れる力がもう無いのです……、
昔よりも遥かに私の力は劣っていますし……」
「どうにか戻る手段があればなあ……」
ジャミルが腕を組んで考える。
「ですが、方法は無い訳では有りません……、それはとても
難しい方法なのですが……」
「戻れる方法あんのかい!ルビス様!?」
「……ルビス様!?」
アルベルトとアイシャも身を乗り出す。
「うーん、向こうは何話してんだろう……、気になるよお……」
「ダウーっ!ブーメランもっととおくになげてー!
チビ、とってくるよおーっ!」
「あ、はいはい……、わかったよ、チビちゃん」
「竜の涙の宝石が3つ揃えば……、もしかしたら竜の女王様のお城まで……、
戻る事が可能になるかもしれません……」
「竜の涙……?あっ……」
「これかしら……?一つだけ私達持っています……、洞窟にいた
ドラゴンさんが最後に流した涙が宝石に変わったんです……」
あの時の事を思い出したのか、複雑な思いでアイシャが
ルビスに竜の涙を見せた。
「だけど……、やっぱりドラゴンが死なないと……、
宝石にならないのかい……?」
「いいえ……、涙だけを何とか流して貰えればよいのですが……」
「……それは相当難しいね……、うーん……、ドラゴンに
泣いて貰うとか……、並大抵な事じゃないよね……」
アルベルトも首を捻り考えてしまう。
「タマネギ大量持参でとか……、駄目か……?」
同意を求める様にジャミルがアルベルトとアイシャを見る。
「……無理だよ……」
「無理よ……」
「そんなあっさり言うなよ……」
「ジャミル、とにかくまずはこの世界にいるドラゴンを
作品名:zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 ドタバタ子育て 作家名:流れ者