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zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 ドタバタ子育て

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お父さん……、お母さんじゃないの……?血の繫がらない子を
どうして傷ついてまで……、守り通したの……?」
 
アイシャの脳裏に自分を庇い、傷付き倒れたドラゴンの
悲しい記憶がフラッシュバックする……。
 
「……私……」
 
「りゅ、りゅ、りゅ、りゅ……」
 
「りゅ……?」
 
「けーっけっけっけ!りゅーっ!」
 
「……べ、ベビーサタン!また……!?」
 
……海からざばあっと、水しぶきを上げ、ベビーサタンが
姿を現した。
 
「畜生……、隠れてんのも根気がいるりゅ……!はくしょん……!
もっと早く気づけこのアホめりゅ……!!」
 
「……しつこいのよっ、何回来たってチビちゃんは
渡さないわよっ!」
 
「アイシャ!!大丈夫かっ!?」
 
「……みんなっ!」
 
騒ぎに気づき、ジャミル達も急いで甲板に駆けつける。
 
「フン……っ!んな事言ってられるのも今のうちりゅ……、
出でよ、リトルの遣い魔……!」
 
ベビーサタンが持っているフォークを翳すと……、船内に大量の
マドハンドが召喚される……。
 
「ああっ……!?マ、マドハンド……!!」
 
「なんでえー、なんでええー!?」
 
ダウドがいつもの如くキャーキャーと甲板を逃げ回る……。
 
「けけっ、リトルは魔界の王子りゅ、子分なんか腐るほど
いるのりゅ……」
 
「こいつ……、そんなに立場が上なのかよ……、とても
んな風に見えねえんだけど……」
 
ジャミルがプッと吹きだし、苦笑した。
 
「うるせーりゅ!やるりゅ!巨大化りゅ!ビッグマドハンド!!」
 
ベビーサタンがそう叫ぶとマドハンドが一匹巨大化し、
アイシャの身体を掴み上へと高く翳す。
 
「けーっけっけっけ!」
 
「……きゃあっ!!」
 
「アイシャ!今助けるからな!!」
 
「待つりゅ……、早くあのチビドラゴン渡せりゅ……、
じゃないとこの女……、今すぐ海にほおり込むりゅよ……?」
 
「グッ……、卑怯だぞ……、てめえ……!」
 
「ジャミル……、皆……、私は大丈夫よ……、だから……、
チビちゃんを……守って……」
 
「たく、うるせー女りゅね……、どうせならこのまま
握りつぶしてもいいりゅよ!」
 
「やめろよっ!!このっ、アイシャを放せっ!!」
 
どうにかアイシャを助けようとジャミルがビッグマドハンドに
蹴りを入れるがビクともしない。
 
「……ああっ!!……く、苦しい……」
 
「アイシャーーっ!!」
 
ビッグマドハンドがアイシャの身体を更に強く掴み、
握り潰そうと一気に力を込めた……。
 
 
「……アイシャっ!くそっ……、こっちのマドハンドも早く
片付けないと……!キリがない……!!」
 
「倒しても倒しても増えるよおー!!」
 
アルベルトとダウドも大量のマドハンドに行く手を塞がれ、
アイシャを助けに行く事も出来ず、太刀打ち出来ずに苦戦していた……。
 
「ぴーーーいいいーーー!!」
 
「……!?」
 
「チ、チビちゃん……?」
 
「チビ……」
 
二人が気が付いた時にはすでに大量にいたマドハンドが
跡形もなく全て消滅していた……。
 
「チビ……、まさか……、君が炎のブレスで……、マドハンドを……」
 
「チビ、アイシャたすける!」
 
チビはそう言ってベビーサタンの処まで自ら飛んで行く。
 
「……チビちゃんっ!!アルっ!大変だよお!」
 
「急ごう……!!チビ……」
 
 
「けーっけっけっけ!……ん?」
 
「ぴいーーっ!」
 
ベビーサタンの前にチビが立ち塞がる。
 
「チビっ!!」
 
「……チビちゃん……!だ、駄目っ……!」
 
「何だ、丁度いいりゅ……、自分から来るとは……、おー、
お前は利口、おりこうりゅね~!」
 
ベビーサタンがチビに手を出そうとした、その時……。
 
「おまえ、きらいっ!!……あっちいけっ!!」
 
「!?りゅーーーーっ!!幾らなんでもこれは唐突に
非常すぎるりゅーーーっ!!この馬鹿やろーーっ!!
覚えてろりゅーーっ!!」
 
チビが風のブレスを吹き、ベビーサタンを遠くに吹き飛ばした……。
最初のベビーサタンの襲撃の時に脅えていたチビではもう
なかったのだった……。
 
「……チビちゃん……」
 
ベビーサタンが飛んで行った後、ビッグマドハンドも消え……、
拘束から解放され甲板の床に着地したアイシャは事態に唖然とする……。
 
 
「ぴっ……、アイシャ……、だいじょうぶ?」
 
チビがアイシャにぎゅっと抱き着く。
 
「チビちゃん……、私……、きつい怒り方して……、
本当にごめんなさい……」
 
「チビもごめんなさい……、チビ……、ちゃんとやさい
たべるよおお~……」
 
「もう……、ダウドみたいな喋り方して……、ふふっ、私も少し
焦り過ぎてたね……、でも、本当に無理しなくていいのよ、ゆっくりで
いいからね、お野菜を好きになってくれたら嬉しいな……」
 
「ぴっ、チビ、アイシャ、だーいすき!」
 
「私も大好きよ、チビちゃん!」
 
アイシャもチビをぎゅっと抱きしめる。そんな二人をこっそりと
見守る男衆の皆さん。
 
「やれやれ、何か今回……、俺らあんまり出番無かった様な……」
 
「だねえ……、でも、アイシャもチビちゃんも、仲直り出来て
良かったよお……」
 
「それにしても……、チビのブレス攻撃も益々勢いが
強くなってるね……、それに船に支障をきたさず、ちゃんと
マドハンドだけを狙って全部燃やしたのも凄いと思うよ……」
 
この子の力は一歩間違えば……、破壊にも……、再生……
どちらにもなる力を秘めている……。あの時のルビスの言葉が
ジャミルとアルベルトの脳裏に浮かぶ。
 
「ぴーっ、ジャミルー、アルー、ダウー!」
 
チビがパタパタと3人の処にも飛んでくる。
 
「よし……、ちゃんと反省したな……?」
 
ジャミルがチビのおでこを突っついた。
 
「はんせいしたー!」
 
「たく……、機嫌わりいと後が大変なんだから……、
勘弁してくれよ……」
 
「誰が……?」
 
「うわ!」
 
ジャミルの後ろにアイシャが立っていた。
 
「えへへ、皆も……、ごめんね……?」
 
「ごめんねー!」
 
ペロッとアイシャが舌を出した。チビも真似して一緒に舌を出す。
 
「やれやれ、良かった……」
 
アルベルトも安心し、数時間ぶりでその場には明るい
笑い声が響き渡る。チームの雰囲気がまた戻った4人に
幸せの風が吹いたのだった。

 
「♪ぴーーっ!みんな、だーいすきっ!!」


海からの誘い、さらわれたチビ

「♪ぴゅっぴぴゅっぴぴゅっぴ~」
 
「チビの奴、やけに随分楽しそうじゃん……」
 
「最近歌を歌うの覚えたのよ、ご機嫌だとああやって
いつも歌ってるわ、とっても楽しそうでしょ」
 
チビは甲板に座って海を眺めながら首をふりふり歌を歌う。
 
「ねえ、チビちゃん、もしも上の世界に戻れたら、
スラリンともお友達になれるかも知れないわね……」
 
「ぴ?スラリン?」
 
「ええ、ずっと前、私達と一緒に旅をしていたスライムの子よ」
 
「チビのまえに?みんなといっしょにいたの?」
 
「うん……」