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zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 ドタバタ子育て

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「ふーん……?」
 
チビは懐かしそうな表情をしているアイシャを見て
不思議そうに首を傾げた。
 
「ちったあ成長したかな、あいつ……」
 
「別れてからもう大分立つんだもん……、それなりに
大きくなってるわよ……」
 
「みんな、ご飯だよお!今日はインスタントのカレーですよお!」
 
ダウドがお玉を持って休憩室から顔を出し、大声で
甲板に向かって呼び掛ける。ジャミル達も休憩室へと移動する。
 
「……おい、食事当番……、お前手抜きしたな……?ん~?」
 
「ぷんっ、オイラだってめんどくさい時あるんですっ!けど……、
サラダはちゃんと愛情掛けて手作りだよお?チビちゃんの
健康の為にねっ!」
 
ダウドがぷいっと口を尖らせた。
 
「何でもいいわよ、私、もうお腹ぺこぺこよ……、チビちゃんの
分の甘口カレーある?」
 
「もちろん!」
 
「ぴゅっぴ、ぴゅっぴ!」
 
アイシャに抱っこされてチビが嬉しそうに首と尻尾を振った。
 
 
そして、夕食が終わって……。4人は甲板で夕時の潮風を
あびながら寛いでいた。
 
「またチビ……、海を見てるけど……、チビ……」
 
「ぴー?」
 
様子が気になったのか、アルベルトがチビに声を掛ける。
 
「チビ、海を見るの好きなのかい……?」
 
「うーん……、チビね、さっきおうたうたってたら……、
うみからこえがきこえたの……」
 
「……えっ!?ゆ……、幽霊とか!?」
 
ダウドが咄嗟に警戒ガードポーズを取る。
 
「バーカ!」
 
「……チビとおなじなのかなあ……?なんとなくきこえるの……、
ドラゴンさんのこえ……」
 
「海の中から……?」
 
甲板の淵から身を乗り出す様にしてジャミルが海を覗き込んだ。
 
「ねえ、もしかしたら……、この海の下にドラゴンが住む
洞窟があるとか……」
 
……そう呟きながらアルベルトも海を見てみる。
 
「ちょ、ちょっと……、待ってよお……、海の底なんか
無理だよ、行けないじゃん……」
 
ダウドが非常に困った顔をする。
 
「……ぴ?よんでる……、どんどんこえ……、ちかくなる……」
 
チビがそう言った途端、海から……。
 
「うわ……!?ドラゴンだ……、でけえ……」
 
……大きな海竜が海の中から姿を現した。
 
「ぴいっ!おおきいドラゴンさんだあ……、
チビとおんなじ……」
 
チビが不思議そうに海竜をじっと見つめる。
 
「……ドウゾクヨ、ナゼ……、イヤラシキ、ニンゲンナンカト
オマエハイッショニイル……?」
 
「……いやらしくて悪かったな……」
 
ジャミルが不満そうな顔をした。
 
「ぴ……、みんなチビのパパとママだよ……?」
 
「……ダマサレルナ……、ニンゲンホドシンヨウデキナイ
モノハナイ……、ニンゲンガショアクノコンゲン、イチバンノ
アクダ……、ニンゲンナドトイッショニイレバ……、イズレハ
オマエモ……、ウラギラレ、リヨウサレテ、キケンナメニ
アウノダゾ……?ニンゲンハミナ、テキダ……」
 
「ぴっ!そんなことないよお!……うみのドラゴンさんて……、
とってもいじわるだあ!!」
 
「……チビちゃんっ……、駄目っ……!抑えて……、
いい子だから……!」
 
チビが牙を剥いて怒りだした為、アイシャが必死でチビを宥める。
 
「フン……」
 
海竜が小馬鹿にした様にジャミル達を見て鼻を鳴らした。
 
「こりゃ……、竜の涙も手伝って貰えそうにないかね……、
泣いてくれなんつったら……、殺されるな……」
 
「そもそも……、ドラゴンなんて……、泣かす事事態が
無理無理なんだよお……」
 
4人は気持ちにも絶望的になる……。
 
「……ソコノチビスケ……、キガカワッタラ……、イツデモ
ワレノトコロニコイ……、メンドウミテヤル……」
 
海竜はそれだけ言うと再び海へと姿を消した。
 
「……ぜったいいかないよっ!べーーっ!」
 
チビが海に向かって舌を出し、慌てて4人の処に逃げ、
……アイシャにぎゅっとしがみ付いた。
 
「……チビちゃん……」
 
 
夜……。4人は休憩室で……。
 
 
「……チビちゃん寝ちゃったわ……、少しショック受けたみたい……」
 
「だろうな、チビは俺達の事信用してくれてるから……、
初めて会った仲間にあんなひでえ言い方されてさあ……」
 
「……ね、ねえ……、竜の涙って……、子供のでも
いいのかな……?だったら、わざわざ遠回りしなくても……、
チビちゃんのでもいいんじゃないかな……?」
 
ダウドがおずおずと皆に聞くのだが……。
 
「泣かすのか……?チビを……」
 
「チビちゃんはまだ小さいんだもの、しょっちゅうぐずって鳴くし、
涙も流してるわよ?でも涙は宝石になったの見た事ないわよ……」
 
「……はは、きびしいねえ~……、そう簡単にはいかないか~……」
 
ダウドががっくりと肩を落とす……。
 
「ドラゴンは海竜だけじゃないよ、あの時洞窟にいた
ドラゴンの様に……、話せばちゃんと判ってくれるかも
知れないドラゴンもきっと何処かにいると思うんだ……」
 
「色々……、難しいよな……、何にしても……」
 
「……」
 
4人は口を閉ざし……、今日の会議はお開きになった。
 
「私、今日はもう休むね……、チビちゃんの側についていて
あげたいから……」
 
「ああ、頼むな……」
 
「おやすみ、アイシャ」
 
「また明日ねえ……」
 
「うん、お休みー!」
 
アイシャは男衆に挨拶すると、とてとて船室に戻って行く。
 
「……いないわ……」
 
先にアイシャの部屋で寝ていた筈のチビの姿が見当たらず……。
チビを探してアイシャは甲板に出てみる。
 
「……チビちゃん?」
 
いつ起きたのか……、夕方と同じ様に甲板に座り、チビがぽつんと
一匹で淋しそうに海を眺めていた。
 
「チビちゃん……、駄目よ、もう寝ないと……、風邪ひくわ……」
 
「アイシャ……、ねえ、チビのパパとママ……、みんなだよね……?」
 
「そうよ、当たり前でしょ……」
 
「こわい……、なんかこわい……、わかんないけど……、
こわいよお……」
 
チビがぎゅっとアイシャにしがみ付く。
 
「何も怖い事なんかないのよ……、皆いるじゃない……」
 
「あのドラゴンさん……、にんげんはみんなてきって
いったよ?……みんなはちがうよね……?」
 
アイシャは倒れたドラゴンの事を再び思い出し……、
今にも張り裂けそうな心を抑える。
 
「ねえ、チビちゃん……、確かに人間には怖い人も……、
嫌な人も沢山いるわ……、それはこれからチビちゃんが
この世界で生きていく上で……、知らなければいけない事も
あるのよ……」
 
「ぴい……」
 
「でもね、これだけは分って……、私達はずーっと、
チビちゃんの味方よ……、何があってもあなたを守る、
約束する……」
 
アイシャはそう言ってチビをそっと抱きしめる。
 
「……いっしょ、みんないっしょ……、ジャミルも……、
アルも……、ダウも……、アイシャも……、これからも……、
ずーっと、ずーっと……、いっしょ?」
 
「そうよ、チビちゃん!」