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zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 ドタバタ子育て

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「チビ、ぜったいあのドラゴンさんのとこいかない!
ずーっとずーっと、だいすきなみんなといっしょにいる!」
 
「うん、チビちゃん……、ずっと……、ずっと一緒よ……」
 
アイシャに抱かれ、安心したかの様にチビはすやすやと
再び眠りに落ちた。
 
 
そして、次の日……、早朝。
 
「♪ぴっぴっぴい~、ぴぴっぴい~、ぴぴぴぴぴ~…」
 
「新曲かな?チビちゃん、また元気になって歌うたいだしたねえ……」
 
朝、甲板の掃除をしながらダウドが楽しそうなチビを眺めた。
 
「それにしても音痴だなあ……、お前よう……、
それ下痢の歌かい……?」
 
「ぴい?」
 
「……ジャミルったらっ!もうっ!!」
 
デリカシーの欠片もないジャミルにアイシャが怒る。
 
「皆……、ちょっと、非常事態……、かも知れない……」
 
舵を取っていたアルベルトが真っ青な顔をして皆の処に来た。
 
「どうかしたのか……?」
 
「急に突然船が動かなくなって……、進まなくなったんだよ……、
何だか舵が上手く取れないんだよ……」
 
「あー?んな事有る訳が……、ねえ……」
 
「ぴいっ!?」
 
海から再び……、海竜が4人の前に姿を現す……。
 
「何だよ……、何か用なのか……?用があるならはっきり言えよ……」
 
「ヤハリ……、キニイラヌノダ、オナジドウゾクガ
ニンゲンナドトツルンデイルナド……、リュウゾクノ
イキハジダ……、ユルスコトガデキヌ……」
 
海竜はそう言って強い瞳でチビをじっと見つめた……。
 
「……リュウゾクノオナジナカマトシテ……、チビスケ、
オマエヲツレテイク……」
 
「やだっ!チビいかないよっ!」
 
チビがジャミルの後ろに隠れ、ジャミルもチビを後ろ手に庇った。
 
「……んなの余計なお世話だっつーの!おめーが決める事じゃねえだろ!
チビは嫌がってんじゃねーかよ!!」
 
ジャミルが啖呵を切って海竜にガンを飛ばした。
 
「……フンッ……!」
 
「ぴいっ!?」
 
「……チビっ!」
 
海竜がチビに向かってブレスを吹くと……、チビの身体が
バブルに包まれ宙に浮き……、海竜の処までふわふわと
チビが飛んでいく。
 
「やだよおお~……、みんな……、たすけて……、チビ……、
いきたくない……、みんなといっしょが……、いいよお~……、
パパ……、ママ……」
 
バブルに包まれたまま、涙ながらにチビが必死で
皆に助けを求め、見つめ、訴える……。
 
「……チビスケ……、スコシ、ネムレ……」
 
「……!?ぴいいい~……」
 
海竜がそう言うとバブルに包まれたチビが眠ってしまう……。
 
「海竜さん……、お願い、チビちゃんを返して……!」
 
アイシャが必死に訴えるが海竜は聞く耳を持たず……。
 
「ニンゲンナドニ……、ダイジナドウゾクハワタサヌ……」
 
「……やめてっ!……チビちゃんっ!!」
 
アイシャが叫ぶ中、海竜は4人の目の前でそのままチビを
連れて海中へと姿を消す……。
 
「あ……、待てコラ!!チビを返せっ!!このっ……!!」
 
「ジャミルっ!落ち着いてっ……!危ないよっ!!」
 
慌てて後を追って海に落ちそうになるジャミルをアルベルトが支える。
 
「チビちゃん……、うそっ……、いや……、チビちゃん……が、
……連れて……いかれ……」
 
アイシャが呆然とし……、その場にしゃがみ込む……。
 
「アイシャ……、何か光ってるよお……?」
 
「えっ……?これ、ドラゴンさんの……?え、ええっ!?」
 
……途端にアイシャが持っていた竜の涙が光りだし、甲板に
旅の扉を造る……。
 
「もしかして……、此処を通れば……、海竜の処まで
行けるのかな……?」
 
「げっ……、な……、なんか嫌だよおお~……、他の場所に
出るかもわかんないし……」
 
「立ち止まってる暇はねえ、とにかく行ってみようぜ、きっとチビの処だ!
信じようぜ……、行こう……!!」
 
4人はイチかバチかで……、突然出来た旅の扉に飛び込む……。
きっと……、チビの処に通じると祈りながら……。
 
 
 
 
「……此処は?……どうやら空気はあるみたいだな……、洞窟か……?」
 
ジャミルがうっすらと目を開ける。辿り着いた場所。……確かに、
洞窟の様な雰囲気である……。
 
「……うん、間違いなく、洞窟みたいだね……」
 
アルベルトも辺りを見回し、周囲の確認をする。
 
「海底の洞窟かしら……?なんとなく潮の香りがするもの……」
 
「……よかったあ~……、もしも海の中にでもほおり込まれたら……、
それこそどうしようかと思ったよお~……」
 
「……とにかく奥に進もう、絶対助けてやるからな、
待ってろ、チビ……!!」

電撃流れて、地固まる

「……海竜っ!チビを返せっ!!」
 
漸く見つけた、洞窟の奥にずっしりと構えている巨体の生物……。
この海底洞窟の主、海竜である……。
 
「ヌッ……?オマエタチ……、コンナ、ウミノソコマデ……、
ドウヤッテキタノダ……?」
 
「どうでもいいんだ、んな事は……!チビは何処だ!!」
 
「海竜さん……、お願い……、私達あなたと戦いたくない……、
チビちゃんを返して貰えればそれでいいの……」
 
「ナニヲアマッタレタコトヲ……、フン……、
カエシテホシケレバウデヅクデウバエバヨカロウ……、
ヤハリニンゲンハヤバンダ……」
 
「……チビちゃん!!」
 
海竜のすぐ側に眠らされたままのチビが倒れていた。
 
「仕方ねえ……、向こうがそう言うんだから……、
こっちも戦うしかねえ……」
 
ジャミルの言葉にアルベルトとダウドも頷いて戦闘態勢を
とり身構えた。……ヘタレのダウドまでも今日は何時になく
表情が真面目で真剣である……。
 
「……待って!!」
 
「何だよアイシャ!!」
 
「海竜さんを傷つけたら……駄目っ!!」
 
「……チビを助けたくないのかよ!お前!!」
 
「海竜さんは……、チビちゃんに危害を加えるために
さらったんじゃないのよ……、私達、人間の事が
信用出来ないから……、チビちゃんと私達が一緒にいて
ほしくないから……」
 
アイシャはもう一度海竜と向き合い、何とか気持ちを
伝えようと話を始めた。
 
「どうすれば……、私達の事、信じてくれるの……?」
 
「ニンゲンナド、ナニガアッテモシンヨウナドセヌワ……」
 
「アイシャ、これ以上海竜と話しても駄目だよ……」
 
アルベルトも説得は無理と悟っているのか、諦めた様に
首を横に振る。
 
「そんな事ないわよ……!ねえ……、海竜さんお願い!!
チビちゃんの仲間のあなたを傷つけたくないの!!」
 
「シラヌナ……、ニンゲンナドミナホロベバイイノダ……」
 
海竜は一言、アイシャに向かって冷たい言葉を発した。
 
「……悪いけど……、アイシャ、チビちゃんを取り戻す為なら……、
怖いけど……、オイラ戦うから……、このまま引き下がれないよお……」
 
そう言ってダウドも炎のブーメランを握りしめ、きっと海竜を睨んだ。
 
「!ダウドまで……、どうして……」
 
男3人と海竜は互いに睨み合い、対峙する……。