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zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 愛と恋とは違うのりゅ

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唐揚げを口に詰め込み過ぎで、ハムスター……、
或いはリス状態になってしまったジャミルの姿に
アイシャが恥ずかしそうに下を向いた。
 
「……私、アッサラームの元踊り子だったんです、
思い出すと懐かしいなあ……、団長さんや皆は元気かな……」
 
「……でも、レナさんはどうしてこっちの世界に来たの?」
 
「それは……」
 
ダウドが聞くとレナは顔を暗くして俯いてしまう。
……どうやら彼女が此方の世界に来た訳にはとても
複雑な事情がある様であった。
 
「あっ、ごめんなさい!オイラ気が利かなくて……!
誰だって話すの嫌な事だってあるよね!」
 
ダウドが慌ててレナに謝ると、レナはいいえ……と、
首を横に振った。
 
「まっふぁくだ!……ふふぉひはふーひほめよ!」
 
「……口いっぱい唐揚げ頬張って、そう言っても
説得力ないよ、ジャミル……」
 
スリッパでジャミルの頭を叩きたいが、今は
皆のいる手前、仕方無しに堪えるアルベルト。
 
「私……、嫌なお客さんに付きまとわれて……、
それ以来、踊るのが怖くなってしまって……、
上の世界の過去から逃げたくて……、こっちの世界に
逃げて来たんです……」
 
「ストーカーか……」
 
「怖いわね……」
 
「はあ、嫌だねえ……」
 
「それで……、トラウマになってしまったんですね……」
 
「はい……」
 
レナが言葉を飲み込み、再び俯いてしまう。
 
「……大丈夫だよ、今すぐじゃなくても、何年掛かっても
いいじゃん……、ゆっくりケアしたら、また踊れるように
なるって!」
 
「ジャミルさん……」
 
「そうだよ、レナさん……、私達も君が此処にいて
くれると凄く嬉しいんだよ、ミミもまるで君を本当の
お姉さんの様に慕っているし……」
 
「そうよ、あなたさえ良かったら遠慮しないで
いつまでも此処にいていいのよ……」
 
夫婦も揃ってレナを励ます。優しい夫婦の言葉に
顔を覆ってレナが泣き出す……。
 
「皆さん……、本当に有難うございます……、私、嬉しくて……、
本当に何とお礼を言ったらよいのか……」
 
「……」
 
「ねーねー、見て見てー!かわいいでしょー!」
 
と、其処へミミが再びチビを連れて部屋から戻って来た。
 
「!ち、チビちゃん……?その恰好は……?」
 
……変わり果てたチビの容姿を見たアイシャが
わなわなと震える……。
 
「ミミのお人形さんのお洋服とかつらでチビちゃんに
おしゃれさせちゃったー!」
 
「きゅぴ、にあう?チビおしゃれでしょ?」
 
「似合うって……、お前よう……」
 
「80年代ツッパリセットでーす!」
 
チビはいつぞやのダウドが上の世界での精霊の泉で
分裂暴走した時と同じ……、頭に金髪リーゼント、鉢巻、
グラサンに学ランと暴走族コスプレ状態だった……。
 
「……どういう趣味しとんのや……」
 
「まあ、ミミ!ふざけるのはやめなさい!!
どうもすみません、本当に……」
 
奥さんが慌てて注意するが……。ミミ、恐ろしい、
レトロな渋い趣味を持つ幼女……、であった。
 
「えー、だって~、かわいいでしょ?ね、お兄ちゃんたち!」
 
「やーん♡チビちゃん可愛いいー!きゃあ~!!」
 
アイシャまで異様に興奮しだす……。
 
「でしょー!」
 
「可愛いですよー!あっ、写真撮らせて下さーい!」
 
レナまで加わるのであった……。
 
「……駄目だこりゃ、次、行ってみよう!」
 
ジャミルがダミ声を出した……。しかし、レナも又、
元気になった様である。
 
 
……しかしその頃、外では案の定……、ジャミルの推測通り
復讐の準備が始まっていた……。
 
「おい、兄ちゃんよう……、本当に此処の宿屋にあの
ピンクの髪の姉ちゃんが泊まってんだな?」
 
「ええ、間違いないです……、昼間確かめましたから……」
 
「へっ……、随分楽しそうな声がきこえんなー、
どこの部屋だ?どいつが泊ってんだか……」
 
「んじゃ、いっちょ……、暴れてやるかねー!?」
 
(……レナさんは誰にも渡さない、レナさんは僕と、
……僕と一緒になるんだ……)
 
 
「もうー!ジャミルったら……!食べるだけ食べて寝ちゃったわ!
……明日はきっと牛になってるわね……」
 
「……ンモ~、ふにゃ~、唐揚げ……、うめえ……」
 
食事の後片付けを手伝いながら、テーブルに突っ伏し、
寝てしまったジャミルにアイシャが呆れた。
 
「ふふっ、アイシャさん、お手伝いどうも有難うございます」
 
「いいえ!奥さん、美味しいご飯を頂いたんだもの、
これぐらい当たり前ですよっ!」
 
「あーあ、チビちゃんも寝ちゃったー!ミミも
もうねむーい……」
 
「駄目よ、きちんとお風呂に入って、歯磨きしてから
寝るのよ!」
 
「はーい、お母さん……」
 
「ジャミル、まだ起きないね……、これじゃ鳥を食べた
牛だよお……、もう……」
 
寝ているジャミルの鼻の穴にダウドが鉛筆を入れ、
ちょんちょん突っついてみる。
 
「夢の中でも、ま~だ唐揚げ食べてるんだよ、まったく……」
 
呆れつつも、休憩時には本を手放さないアルベルト。
 
「はう~、でも、唐揚げ、ほんと美味しかったもんねえ……、
オイラ、あんなにスパイシーで美味しい唐揚げ食べたの
初めてかも……」
 
「あっ、奥さん……、明日の朝食の分のサラダの
レタスと、その他のお野菜さんが足りないみたいです……」
 
レナが空の野菜籠を持って来て奥さんに見せた。
 
「あら~?この間大分買い溜めしておいたと
思ったんだけど……、困ったわねえ……」
 
「何か、代理で他の物を出すか……、お客さんには
予定変更で我慢して貰って……」
 
「あなた……、そうねえ……、でも、ウチの朝食の
サラダを楽しみにしてくれてる馴染みのお客様もいる
事だし……、けれど……、今からじゃちょっと遅いわよね……」
 
「あ、私、買ってきます!、まだ何処かお店あいてるかも
しれませんし!」
 
「アイシャさん……、でも……、悪いわ……、大事な
お客さんに……」
 
「奥さん、大丈夫ですよ!じゃあ行ってきまーす!ダウドも
アルも、チビちゃんをお願いねー!……ジャミルは寝てるから
知らないっ!」
 
「気を付けてね……」
 
アルベルトとダウドが見送る中、買い物カゴを持って
元気にアイシャが外に飛び出して行った。
 
それから、暫くのち……。
 
「……んーぴー、きゅう……、アイシャ……、
どこ……?」
 
寝ていたチビが急にぐずり出してアルベルトに抱き着く。
 
「チビ……?どうしたの……、又お腹痛くなったの……?
よしよし、大丈夫だよ……」
 
アルベルトが優しくチビの背中を摩るが、チビは震えている……。
 
「ぴい……、こわい、こわい……、こわいひと……、
いっぱいくるよお……」
 
「……旦那さん、奥さん……!」
 
ロビーにいたお手伝いさんが慌てて厨房に
駆け込んで来た。
 
「どうしたんだ……?」
 
「その……、ロビーに変な人達が急に来て……!
レナさんを出せと暴れてるんです……!!
他のお客様がパニックになってしまって……」
 
「……!!」