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zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 愛と恋とは違うのりゅ

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「けど、こう言う融通の利かねえ厄介な奴はもう少し
シメとかねえとあんた、この先何回も狙われるぞ……!?」
 
「……いいんです、私……、辱めを受けた事で過去の
傷から逃げてばかりいた……、でも……、もう前を向いて
歩き出さないと……、強くならなきゃ……」
 
レナはそう呟き、青年の方を見る。
 
「……レナさん……」
 
「私、もう一度踊れる様になりますっ!ステージで踊りたいっ!!」
 
レナは目を見据えて目の前のチンピラ達を睨み……。
 
「……はああーっ!!」
 
「う、うごっ……!?」
 
華麗なステップと足さばきでくるくると回転しながら
チンピラ達を次々と蹴り倒していく。
 
「な、何だ……、このアマ……、何かさっきと全然
雰囲気が違うんだが……」
 
レナの突然の変化にチンピラ達が動揺し、オロオロし出す。
 
「レナさん……、あんた……」
 
ジャミル達も驚いて口が半開きになる……。
 
「……黙っていてごめんなさい、私……、実は下の
世界に来てから護身用に舞踊武術も習っていて、本当は
こんな人達……、全然平気なんです……」
 
「すごいっ、レナさん、かっこいいよお~!」
 
ダウドが興奮し、目を輝かせる。
 
「てめえっ、このクソアマっ!……こいつがどうなっても
いいのかっ!」
 
「あっ!?」
 
しつこいチンピラは尚もアイシャに刃物をちらつかせる。
 
しかし、レナは動揺せず、素早く動くと、蹴りで
チンピラから刃物を叩き落とす。
 
「ヒッ……、て、てめえ……!」
 
「……あなた達みたいな卑劣な人は本当に大嫌いですっ!!
お覚悟をーーっ!懺悔なさいっ!!」
 
「……うぉぉぉーっ!アッ……!!あべし……、
げええ……、げふ……」
 
レナに顔面パンチされ、アイシャを人質に脅していた
チンピラは床に倒れた……。
 
「アイシャさん、大丈夫ですか……?」
 
レナがすぐさまアイシャの縄を解き、拘束から解放する。
 
「ありがとう、レナさん!」
 
「……ひっ、ヒッ……、ひいいいい~っ!!
化けモン集団だあ~っ!!」
 
「……もう終わりかよ……」
 
最後に残ったらしきチンピラの親分は倒れた子分を置いて
自分だけ猛ダッシュで外へと逃げていく。
 
「……」
 
眼鏡の青年は蹲ったままそのままずっと動かない。
旦那も心配そうにレナに声を掛ける。
 
「……レナさん、どうするんだい……?」
 
「大丈夫です、……あの、顔を上げて下さい……」
 
青年がレナの声に反応し、顔を上げ、レナをじっと見つめる。
 
「……僕の事……、怒ってないんですか……?」
 
「いいえ、怒ってます……、正直……、一発、
二発ぐらい殴りたい気分です……、いえ、もっとかも……、
殴り足りない気持ちです……」
 
「うわ!……はっきり言うなあ……、何か段々
吹っ切れてきたのかな……」
 
「かもね、……でも、今のレナさん、何だか表情が
生き生きしてきた気がしないかい、ジャミル?
僕が思うに何だか重い鎖から解放された様な……、
そんな感じがするよ……」
 
「そう言えばそうかもな……」
 
「うわあ……、レナさん素敵……!!美人な上に
その上強かったなんてね……!」
 
アイシャもきゃんきゃん胸をときめかせる。
 
「本当、いいなあ……、オイラも何だか
ファンになっちゃいそうだよお……」
 
「私ね……、上の世界にいた時、嫌なお客さんに
傷つけられてから……、ずっとずっと……
怖かった……、人と触れ合うのも、踊る事も……、
もう消えてしまいたかった……、そして、下の世界に
逃げて……、こうして優しい人達に巡り合えて……、
そう考えると……、あの時受けた傷は決して無駄
なんかじゃなかったのかなって……」
 
レナはそう呟くと青年の手を取った。
 
「……僕は……、この町に来てあなたを一目
見た時から……、ずっと……、ずっと……、
一目ぼれでした……、あなたのそのどこか
寂しそうな笑顔に惹かれた……、守ってあげたいと
思った、あなたの事がずっと知りたくて……、
やっと分ったのは名前だけだった……、いつからだろう、
守りたいと思う気持ちが独占してしまいたいと思う
独り善がりな気持ちに変わったのは……」
 
「……あ、あ、あ、あ……、だ、駄目だ……、
く、く、く、くっ、せ……え……」
 
……痙攣を起こしかけたジャミルのケツをアルベルトと
アイシャが左右、両方から抓った。
 
「レナさん、僕……、あなたの事はもう
諦めます……、きっとあなたへの気持ちは……、
恋と云うよりも、僕の単なる行き過ぎた過激な
愛情だったのかも知れません……」
 
「あの、どちらへ……?」
 
「……さようなら、この町を出て遠くに行きます……」
 
眼鏡の青年は又……、のそのそと歩きだす。
 
「……いつか、私……、また踊れる様になったら……、
その時は……、私のステージを観に来て貰えますか……?」
 
「はい、勿論です……、レナさん、あの……」
 
「はい……?」
 
「幸せに……、なって下さいね……」
 
「はい……、ありがとう……、あなたもね……」
 
眼鏡の青年はレナに向って小さく微笑むと
宿屋を出て行った……。
 
「さてと、この残りの倒れている人達を
お片付けしないと……、すみませんが、皆さん、
お手数お掛けしますが手伝って貰えますか?」
 
「あ、ああ……」
 
レナが倒れているチンピラの足をズルズル
引っ張って外へと連れて行く。
 
「凄くタフだったんだねえ、彼女……」
 
アルベルトが笑った。どうやらどうにか無事に
今回の事件も終了しそうであった。
 
「だな……」

愛と恋とは違うのりゅ・6

「奥さん、ごめんなさい……、結局、野菜……、
買ってこられませんでした……」
 
申し訳なさそうにアイシャが奥さんに何度も
何度も頭を下げた。
 
「いいんですよ、アイシャさん、あなたに怪我がなくて
本当に良かったわ……」
 
「奥さん……、ぐすっ……、本当にごめんなさい……」
 
下を向いてアイシャが涙を溢すが奥さんはアイシャを
優しく慰めた。
 
「やはり明日の朝食は何か違う物を付け合せに代理で
出そう、なーに、お客さんにだって分かって貰えるさ、
そうと決まったら早速下準備をしておかないとな」
 
「そうね、大丈夫よ……」
 
旦那が立ち上がリ奥さんと一緒に厨房へと戻る。
見ていたアイシャは……。
 
「……せ、せめて……、私もお手伝いしまーすっ!
旦那さん、奥さーんっ!」
 
慌てて夫婦の後を追って厨房に走って行った。
 
「これで、今回も終わったのかな……、明日は僕達も
船に戻ろう、ね?ジャミ……」
 
と、アルベルトが気づいた時にはジャミルの姿が
その場から消えていた……。
 
「いないよ、あそこ……」
 
ダウドが指を指す方向には、ロビーのテーブルで
食事をしているお客さんともう慣れてふれ合っている
らしき、ジャミルの姿が……。
 
「坊や、これも美味しいよ、食べてみんさい」
 
「悪いねえ、そのタルタルソース掛ったエビフライも
食べてみたいなあ……」
 
ジャミルが涎を垂らしながら指に口を当てる。