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zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 愛と恋とは違うのりゅ

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「いいよ、食べな食べな、遠慮せず、はは……、
元気な子だねえ……」
 
「ジャミル……、何やってんの……」
 
「お客さんにおすそ分け貰ってんだよ、少し食う?」
 
「……どうも連れが大変失礼致しました!お客様の
お食事のお邪魔をしてしまって本当に申し訳ありません!」
 
「え、えええ?別に構わないんだけど……、はは……」
 
お客さんはそう言ってくれるが、アルベルトは慌てて
ジャミルを引きずって行く。
 
「……何だよー!折角食ってたのにいいー!」
 
「たく!さっき夕飯食べたばっかりでしょ!
みっともない……!」
 
「暴れたら腹減ったんだよ!」
 
「僕らも厨房の手伝い行くんだよっ!ホラっ!」
 
「……ううう~、鬼い~、悪魔ー!!このシスコンめえええ~!!」
 
「底なし胃袋だよお……、やっぱりジャミルは牛かな……、でも、
めえええ~って言ってるからもしかしたらヤギかも」
 
笑いながらダウドも二人の後を追った。
 
 
 
「悪いねえ、ジャミル君、皆も疲れてるだろうに……」
 
旦那が申し訳なさそうな顔をした。これまでお世話に
なったお礼も兼ね、4人総動員で明日の朝食の下準備を
手伝う事に。
 
「疲れたっつーか、腹が……」
 
「……」
 
アルベルトが半目でジャミルを見る。
 
「減らないよ……、ちぇっ……」
 
イモの皮を剥きながらジャミルが不貞腐れる。
 
「これでカボチャは全部裏ごししましたよ、はい」
 
「有難うね、ダウド君、明日の朝はこれで美味しい
パンプキンスープが出来るわ」
 
奥さんがニコニコ笑う。
 
「私の方も、フルーツの皮全部剥き終わりました」
 
「私もグラッセ用のにんじんの皮みんな剥けましたよ!」
 
「レナさんもアイシャさんも有難う、やっぱり皆に手伝って
貰えると捗って早いわねえ、ふふっ、さあ明日の準備も大体
終わったし、皆でお茶にしましょう」
 
「あっ、私、お湯沸かしますね!」
 
「アイシャさんは本当にきびきび動いてくれるのね、きっと
いいお嫁さんになれるわよ」
 
「えっ、そんな……」
 
奥さんに言われて、アイシャが頬に手を当て
顔を赤くする。
 
「きびきび動き過ぎてなあ……、全く、バタバタバータバタ、
うるせーのなんの……、少しはネジ止めとかなきゃなんねんだけどな……」
 
「……ジャミル、頭にお湯掛けるわよ?カップラーメンが出来るかしら?」
 
「プ……」
 
そして、夜のお疲れ様のティータイムに……。
 
「ジャミル君達は……、明日にはドムドーラを出るんだね?」
 
紅茶を啜りながら旦那が4人に聞いた。
 
「うん、また戻んなきゃ……、けど、なんかの時は又立ち寄るよ」
 
「……寂しくなるわねえ、本当……、又皆いつでも
この宿屋に立ち寄って頂戴ね、待ってるからね……」
 
「……」
 
「レナさん……?」
 
「旦那さん、奥さん……、私も……、お話があります……」
 
又暫く俯いていたレナが夫婦の方を見た。
 
「私も……、明日……、ドムドーラを出て行こうと思います……」
 
「レナさんも、出てっちゃうの……?でも、それじゃ……」
 
ダウドが交互に夫婦とレナの顔を見た。
 
「私、この町が大好き、優しい皆さんが大好き……、本当は
ずっといつまでも此処に居たい……、でも……、それじゃ
駄目なんです……、夢を叶える為にも……、もう一度ステージに
立ちたいって……、だから、私……」
 
「分ってるよ、私達は止めないよ……、レナさんの夢の為にも……」
 
「……いつかこんな日が来てしまうとは思っていたけど……、
行ってらっしゃい、レナさん、あなたの大切な夢の為に……」
 
「……旦那さん……、奥さん……」
 
「寂しくないなんて嘘になっちゃうけど……、でも、
覚えておいてね、あなたの帰る家はここなのよ、辛かったら
いつでも帰ってくるのよ……、いい……?」
 
奥さんはそう言ってレナを側に寄せるとぎゅっと抱きしめた。
 
「……奥さん……、ありがとう……ございます……」
 
「……レナおねえちゃん、いっちゃうの……?」
 
いつの間に来たのか、ミミが起きており、厨房の
入り口に立っていた……。
 
「ミミ、駄目ですよ!トイレに起きたのね?お母さんが
連れて行ってあげるから、ほら……」
 
「……やだーっ!」
 
ミミが泣きながらレナの胸に飛び込み、イヤイヤをする。
 
「……ミミちゃん……」
 
「ミミっ!我がままを言うんじゃありません!こっちに来なさい!!」
 
「ミミちゃん……、悲しい思いをさせてしまって、本当にごめんね……」
 
申し訳なさそうにレナがミミの頭を撫でた。
 
「だって……、レナお姉ちゃんはミミの大事なお姉ちゃんだもん……、
いなくなっちゃうなんて……、やだ……、やだよう……」
 
「ミミ……、レナさんだって辛いのよ……、私達もよ……、
でも……、ミミだってレナさんに立派な踊り子になって
ほしいでしょう……?」
 
「……また、会える……?」
 
涙を拭いてミミがレナを見た。
 
「もちろんよ!」
 
「うん、ミミの大好きなレナお姉ちゃん……」
 
ミミはレナの胸にもう一度顔を埋め、温もりを確かめた……。
 
「さあ、もう本当に寝なくては……、おいで、ミミ……」
 
「はーい、お母さん、あっ……、これ……」
 
ミミがジャミル達の処まで走って来た。
 
「?」
 
「これ、お兄ちゃん達にプレゼント、チビちゃんと
お揃いでみんなで被ってね!じゃあおやすみなさーい!!」
 
奥さんに連れられて、ミミが再び部屋に戻って行く。
 
「何だこれ?プレゼントかな?気が利……」
 
袋の中を見たジャミルの顔が凍りついた……。
 
「……ツッパリかつらだ……、しかもご丁寧に4人分の……」
 
「……」
 
ジャミルの言葉を聞いていた他の3人も時間が止まる……。
 
「本当に4人で暴走族でも始める?、バイクが有れば
完璧なんだけど……」
 
既に諦めているのか、遠い目でダウドが呟いた……。
 
「……冗談でしょ、私、やんないからね……!」
 
「僕も……、遠慮します……」
 
ぱふっ
 
「あっ……!」
 
ジャミルがアルベルトにツッパリかつらを被せた。
 
「アル……、意外と似合うじゃない……」
 
リーゼント頭のアルベルトを見て、アイシャが感動し始めた。
 
「ちょ……!やめてよっ!もうっ!」
 
「あ……!オイラにまでしわ寄せで被せないでよっ、
もうっ、……何するのさっ!」
 
「きゃ!?……や~ん!!私までっ!やだーっ!!あっち行って!」
 
「コラ!やめろ、俺んとこよこすなよ!よせっつーの!」
 
4人はカツラの擦り付け合いを始める……。
 
「……皆さん素敵ですよ!是非集合お写真撮らせて下さいっ!」
 
レナがカメラを持ち出し、目をキラキラさせた。
 
「……レナさ~ん……、や~め~て~ええええ……」
 
4人が一斉に声を揃えた……。
 
 
そして次の日、レナの旅立ちの朝がやって来る……。
 
「旦那さん、奥さん、ミミちゃん……、本当にお世話に
なりました……」