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zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 ダウド大暴走

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「はやくおにいちゃんを元にもどさないと……!このままじゃ本当に
大魔王になっちゃう!!」
 
「うーん、こりゃやべえな、マジでキテるかもしんねえ……」
 
「……どうすればいいんだい……?」
 
アルベルトがきゅぴ子に聞いてみる。
 
「わからない……、でも、いちばん大切なことを……、おにいちゃんが
思い出してくれれば……」
 
「……ダウーっ!」
 
「チビちゃんっ!!」
 
チビがパタパタとダウドの側まで飛んでダウドに近づいて行く。
 
「……邪魔をするな、毛等め……」
 
「チビっ!あぶねえっ、こっち来るんだっ!!」
 
「ジャミル、大丈夫だよ、ダウ……、いい子ね……、よしよしだよお……」
 
「チビ……、お前……」
 
「チビが淋しい時も……、ダウ、いつもこうやって側で
慰めてくれたよ……、今度はチビがダウを慰めてあげるね……」
 
そう言ってチビがダウドにすりすり……、顔を舐めた。
 
「……チビ……ちゃん……?」
 
「きゅぴっ!ダウっ!」
 
「チ、チビちゃん……、くすぐったいよお~……」
 
「ダウっ、ダウっ、きゅぴ~!チビの大好きないつものダウだあ!」
 
嬉しくて嬉しくて……、正気に戻ったダウドの顔をチビが
更にペロペロ舐め捲る。
 
「はあ~……」
 
安心したのかトリオが揃って安堵の溜息をつく……。
やがてチビを連れ、ダウドがおずおずと皆の所に戻って来た。
 
「あの……、みんな……、ごめん……、ね……」
 
「……ダウドっ!!お前な……!!」
 
「ひいっ!!」
 
「ジャミル、ダウ怒っちゃ駄目っ!!チビも一緒に
ごめんなさいするよお!だから……、ダウ怒らないで!!」
 
チビがダウドの正面に飛んで、必死にダウドを庇う……。
 
「チビ……」
 
「チビちゃん……」
 
「チビちゃん……、どうして君って子は……、こんな情けない
オイラの事なんか……」
 
「きゅぴ!チビのだーいすきなダウだもん!」
 
そう言って仲良しの印で、再びダウドの顔をチビが舐めた。
 
「……うん、ありがとう……、チビちゃん……」
 
「きゅぴっ!」
 
「しょうがねえな……、けど、帰ったらそれなりにだぞ……?
覚悟しとけよ……」
 
「わかってるよお……」
 
ダウドが素直になった途端、花畑が光り出す。……一面の花畑の中に、
帰りの旅の扉が出来た。
 
「あっ……、旅の扉だわ……」
 
「やっと帰れるみたいだね……」
 
「おにいちゃんたち、これでさよならだね……」
 
両手を後ろで組んできゅぴ子が皆を見つめた。
 
「きゅぴちゃん、君も一緒に行けないのかい……?」
 
ダウドも淋しそうにきゅぴ子を見つめた。
 
「……ううん、きゅぴ子は夢の国の住人だから……、
現実にはいないもん……、ここから出られないよ……」
 
「きゅぴい~……、チビもきゅぴ子ちゃんと
お別れさみしいよお~……」
 
「ありがとう、でもね、時々でも、おにいちゃんたちが
きゅぴ子の事を思い出してくれたなら……、きゅぴ子は消えないよ、
遠くはなれてもいつも側にいるよ……」
 
「うん……、オイラ、忘れないよお、絶対……」
 
ダウドがきゅぴ子に手を差し出し、きゅぴ子もその手を握り返した。
 
 
(……遠く離れても、いつも側に……)
 
 
「うんっ!ありがとう!」
 
 
そして……、4人とチビは元の世界へと……。
 
 
「……これ、本当に全部切るの……?」
 
ダウドの目の前に置かれた大量の玉葱の山……。
 
「そうよっ、夕ご飯の支度どんどん遅れちゃうんだから
早く全部切ってね!間に合わないわよ!?今日はカレー
なんだから!!」
 
腰に手を当て、アイシャがダウドを監視する。
 
「……とほほ~、やっぱり現実逃避したい……、
帰るんじゃなかった~……」
 
「しっかり切れよー!ダウドー!」
 
監督椅子に座ってジャミルがダウドを茶化す。
 
「……ねえ、ジャミルも手伝ってよお……」
 
「やだよー!散々心配掛けた罰だっ!誰が手伝うか!」
 
「現実は厳しいんだよ、ダウド……」
 
読書しながら呑気にアルベルトもダウドを諭す。
 
「きゅぴっ!ダウ~、がんばれー!」
 
ダウドの肩越しからひょっこりとチビが応援する。
 
「チビちゃん……、うん……、でもやっぱり、皆がいるって
いいなあ……、心があったかい……」
 
「なあに?ダウド、何か言った?」
 
「何でもー!」
 
アイシャが聞き返す。ダウドはくすっと笑みを浮かべ、
玉葱を切るのであった。
 
「ハア、奴らに付いてったら、夢の中とはいえ……、
まーたエライ目にあったりゅ、冗談じゃねーりゅ……、
どうにかして奴らにギャフンと言わせる方法はないもんか
りゅねえ……」
 
 
……ふう~……、漸く半分切れたよお~……、目が痛い……
 
きゅぴっ!?ダウが泣いてる~!!
 
ご苦労様!じゃあ、休憩してお茶にしましょっ!
 
僕がクッキーの用意するよ、お皿に移そう
 
うわーい!やっと休めるー!疲れたよおー!
 
おーい、まだジャガイモの皮むきも残ってるかんな!
 
……え、えええー……?
 
それはいいわよ、後、残りは皆で一緒にやりましょ!
 
 
休憩室から聴こえてくる楽しそうな声に耳を傾ける小悪魔。
又こっそり船に潜入して4人のやり取りを偵察しようと
していたが……。
 
「……仲間……、フン、リトルは、偉大なる悪魔族の王子りゅ……、
友達なんていらねーのりゅ、ウンコでもクソでもブリブリ喰らえやがれりゅ、
ま、精々、今のうちに馴れ合ってろりゅ……」
 
嫌味を言いながら小悪魔は又何処かに飛んで行ったが、その姿は
今までと違い何処か淋しそうでもあった……。

凍りつく心

「……びいいいい~っ!!」
 
夜中……、4人はチビの盛大な鳴き声で一斉に目を覚ました……。
 
「チビちゃん、どうしたの?大丈夫よ、ほーらよしよし……」
 
「びいっ、びいっ……」
 
「アイシャ、チビがどうかしたのか!?」
 
男衆も心配ですぐに起き、アイシャのいる船室にやってくる。
 
「……うん、また怖い夢を見たのかな……」
 
アイシャが優しくチビを撫でて摩る。
 
「……みんなが、知らない所にチビを置いていなくなっちゃったの……、
怖いよお……」
 
「チビちゃん、どうしたのよ、そんな事ないわよ、ほらほら、
いい子だから……、ね?何も心配しなくていいのよ……、
皆いるでしょ?」
 
「びいい……」
 
「……」
 
暫くアイシャに抱いて貰い、落ち着きを取り戻したチビは
漸く又眠りについた。
 
「皆ごめんね、起こしちゃって……、でももう大丈夫だから……」
 
……しかし、チビが見た夢はもうすぐ本当に現実になるかも
知れないのだと思うと4人はやり切れない思いでいっぱいだった……。
チビの様子が落ち着いたのを確認するとジャミル達男衆は自分らの
船室へと戻った。
 
「……何とか……ならないかなあ……」
 
ダウドがぼそっと口を開く。
 
「何がだよ……」
 
「……このままチビちゃんとさよならなんてオイラ嫌だよ……、
ずっと一緒にいたいよ……」