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zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 ダウド大暴走

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「んな事出来る訳ねーだろ!チビは竜の女王の……」
 
「わかってるよお!……例えもしそうだとしてもさ、どうにかして、
チビちゃん……、ずっとオイラ達の側に……」
 
「無理なモンは無理なんだよ!黙ってろバカダウド!
ただでさえ眠いんだっ!」
 
ジャミルはそう言うとベッドに入りそっぽを向いてしまった。
 
「なんだよお……、それでもジャミルは何か別の方法を考えようと
思わないの……?チビちゃんの為に……」
 
それまで黙っていたアルベルトが口を開いた。
 
「ダウド、もう寝ようよ、なる様にしかならないんだから、
今から色々考えても不安になるだけだよ……」
 
「……このまま、奇跡の扉なんか見つからなければいいのに、
そうしたら……」
 
そこまで言ってダウドは口を噤んだ。
 
「ごめんね、変な事言って……、オイラももう寝るよ……」
 
しょぼくれたままダウドも目を閉じた……。
 
(……本当にチビが……、竜の女王の正式な跡継ぎじゃなけりゃ
いいのにな……、けど……、どう考えたってチビは普通の
ドラゴンとは違う……)
 
どうにもならない複雑な思いはジャミルも同じなのだった……。
 
 
翌朝……、4人はチビを囲んでいつもの様に普通に朝食を取る。
 
「きゅぴっ!いただきまーす!」
 
「はい、どうぞ、チビちゃん、よく噛んで食べるのよ?じゃないと
何処かのお兄ちゃんみたいになっちゃうからね……」
 
アイシャはそう言ってジャミルの方をチラ見する。
 
「あんだよ……」
 
チビは夢中でハムエッグに被りつき、あっという間に
一枚目を平らげた。
 
「きゅぴっ!おいしーい!!」
 
「もう食べちゃったんだね、よーし、オイラのハムもあげるね、
オイラ卵だけでいいからね、いっぱい食べて大きくなるんだよ」
 
「きゅぴっ!ありがとー!」
 
ダウドがハムをチビにおすそ分け。
 
「僕のもあげる」
 
「私のも食べてね」
 
「みんなありがとー!チビ嬉しいよおー!!」
 
「……」
 
ジャミルを除くメンバーが一斉にジャミルの席の方を見る……。
 
「わかったよ、たく……、ほらよ、チビ、俺のも食えよ」
 
「うわーいっ!嬉しいよおおー!チビ幸せー!!」
 
チビは喜びながら皆から貰ったハムを頬張る。
 
「どうして皆で食べるご飯てこんなに美味しいのかなー?
チビだけで食べても全然美味しくないのにね、ふしぎ、ふしぎー!!」
 
「……チビちゃん……、そうね、皆で食べるご飯はとっても
美味しいわよね!」
 
「ぴい~っ!」
 
「……」
 
アイシャの言葉にチビが嬉しそうにお返事。この光景も、
いつかは遠い日になるのだと思うと再び4人にやるせなさが
募る……。……そして、休憩の為、船もリムルダール近くの
岸に着け、チビが昼寝を始めた午後の出来事であった……。
 
「何だよダウド、急に休憩室に集まれとか言ってさ」
 
「オホン……、それなんだけど、オイラから提案があります……」
 
ダウドが咳払いをする。
 
「何だい?」
 
「何よ……」
 
アルベルトとアイシャもダウドの顔を見た。
 
「……奇跡の扉なんか探すのもうやめようよ……」
 
「!」
 
「ダウド……」
 
「急に改まったと思ったらやっぱりそれか……」
 
やれやれと言う様にジャミルが頭を抱えた。
 
「このまま女王様のお城に行かなければ何もわかんないよ!
……これ以上オイラ達が余計な事に踏み込んだりしなければ……」
 
「……悪ィけど、その提案は受けいれられねーわ……」
 
そう言ってジャミルは速攻で休憩室を出て行こうとする。
 
「ちょっ!待ってよお……!ジャミルはチビちゃんとずっと
一緒にいたくないの!?」
 
「バカっ!……大声出すなっ!チビが起きるだろ!?」
 
「ダウド、辛いのは皆同じだよ……、だけど、このまま僕らが
チビをお城に連れて行かなければ……、竜の女王様は遠い未来の
繁栄を失うかもしれないんだよ……」
 
「も、もしかしたら……、チビちゃんは女王様と直系の
血の繋がりが無いかもしれないじゃん……、そもそも、
そんなのどうやって調べるの……?」
 
「それは……」
 
言葉が思いつかず、アルベルトは顔を伏せて黙ってしまう……。
 
「いいんだよ、んなのは城の奴らに任せとけよ、どうにかして
調べる方法があんだろ、よし、この話はもう終わりだ……」
 
「……やだよーーっ!オ、オイラ絶対……、チビを城になんか
返さないよーーっ!!」
 
ダウドはジャミルの腕にしがみ付いて抗議する。
 
「いい加減にしろよ!お前……、この間の話からやけに
自己主張がしつこくなったなあ!!」
 
「……」
 
「アイシャ……?」
 
「あ、私……、チビちゃんが心配だからちょっと様子見てくるね……」
 
「アイシャ、あの……、そのう……、オイラ……」
 
「……」
 
何も言わず、顔を曇らせたままアイシャは休憩室を出て行った。
 
「はあ~、俺……、頭痛してきたわ……」
 
「なんだよお……」
 
「みんな、落ち着こう……、冷静になろうよ……、色々あり過ぎて
疲れてるんだよ……」
 
「……ふんだ」
 
「ダウド?どこ行くの……?」
 
「頭、冷やしてくるよお……」
 
「……」
 
ジャミルの顔を横目で見ながら……、不貞腐れてダウドも
休憩室を出て行った……。
 
そんな4人の話を、いつも通り船に潜伏し、こっそりと隠れて
聞いていた者が一人……、いつもの小悪魔だった……。
 
「何やら険悪な雰囲気りゅね……、けけっ、仲間割れかりゅ……?
これはチャンスかも知れないりゅ……、奇跡の扉?……気になる話りゅ、
おっ……」
 
小悪魔の目に……、一人船を離れてダウドが何処かに歩いていく
姿が目に留まった。
 
「ビッグチャンスは逃がさないりゅよ……」
 
小悪魔はそう言って外に飛び出すと、空からこっそりダウドの
後を付けた……。
 
 
……そして、船室に戻ったアイシャは、静かに眠るチビの姿を見、
堪えていた涙を溢した。
 
「何よ、ダウドのバカ……、私だって我慢してるのよう、
バカバカバカ……」
 
「ぴい~……、うきゅ……」
 
「!チビちゃん起きちゃう……、こんな顔見せられないね、
笑顔、笑顔……!」
 
そう言って鏡の前に立ち、無理に笑顔を作ろうとするが……。
 
「……やっぱり、駄目……」
 
 
独り、森の奥へと姿を消したダウド……、その後を再びリィトと
化した小悪魔が後を付いていく……。
 
「……」
 
ダウドは森の奥に在る泉の側で……、泉に映る不貞腐れた不機嫌な
自分の顔を只管眺めていた。
 
「……最初から……チビちゃんと出会わなければ良かったんだ……、
出会わなければ……、こんなに辛い思いもしなくて済んだのに……、
だけど、もしもオイラ達と出会っていなければ……チビちゃんは今頃……」
 
そう考えて、一人俯き、膝を抱え込むと、ダウドは泉に石をほおり投げた。
 
「……いっその事……、竜の女王様のお城が……、……爆弾級の
ジャミルのおならで爆発して消飛んじゃえばいいのに……、