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zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 小悪魔の秘密

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「でもいいんだよ、此処に来たらリトルに出会えたから!
もう淋しくないよー!」
 
「……だから、やめろりゅ!はなれろりゅ!しつけーんだりゅ!
ヌッ殺すって言ってりゅ!」
 
小悪魔はそう言って少年を突き飛ばし、何処かに飛んで逃げた。
 
「あっ、……リトル……」
 
そして……、一人になった少年が延々と小悪魔を待ち続ける光景が
ダウドの目の前に映し出される……。
 
(……あの子、可哀想だな……、何であんな変なの信じてずっと
待ってるんだろう……、もうすぐ夜になっちゃうよ、寒いだろうに……)
 
そして、風景はまた変わり、夜を映し出す。
 
「リトル……?」
 
「……お前?バカかりゅ……?」
 
「戻って来てくれたんだ!リトルーーっ!」
 
「……別にお前が心配だから戻って来たんじゃねーりゅ!
ちょっとこっちに忘れモンが……、あーー!」
 
「リトルーっ!リトルーっ!」
 
少年は喜んで小悪魔に抱き着く。
 
「だから、はなれ……?……お前……、手も身体も冷たいりゅ……、
仕方ないりゅ……、メラ……!」
 
小悪魔は魔法で小さな火を起して冷えた少年の身体を
温めてやるのであった。
 
「あったかいよ、ありがとね、リトル……」
 
「……フン、知ったこっちゃねえりゅ……、に、しても、
汚ねーツラりゅねえ、鼻水まで垂らして……」
 
「えへへー!」
 
(あの小悪魔にあんな一面があったなんて……、びっくりだよお……、
……それにしても……、あの男の子は本当にリィトなのかな……?
小悪魔と知り合いだったのかあ……、しかし、随分性格も
違う感じするけど……)
 
「ねえ、リトルは……、ドラゴンの伝説って知ってる?」
 
「ドラゴン?んなモン、どうでもいいりゅ……、興味ねえりゅ……」
 
小悪魔はそう言って鼻をほじほじしようとする。
 
「あはっ、何処に鼻があるんだよ!」
 
「……うるせーりゅ、ほっとけりゅ!バカチンがあ!!」
 
小悪魔に何を言われても嬉しいのか少年は平気で笑う。小悪魔は
顔を赤くして悪態をついた。
 
「この世界の何処かに、どんな願いも叶えてくれる、伝説の
ドラゴンがいるんだって……、……凄いなあ……、会ってみたいなあ……」
 
「フン、そんなもん、いる訳ねーのりゅ、おとぎ話りゅ……」
 
「そんな事ないよ!僕、信じてるんだ!きっと伝説のドラゴンは、
いるよ……」
 
(そう言えば、大分前に、伝説の神竜の話を聞いたっけ……、結局……、
いつの間にかその話も何処かに流れてて忘れてたけど……)
 
「お前は何か願い事があるのかりゅ?金でも欲しいのかりゅ?」
 
小悪魔が少年の方を見た。
 
「うん、あるよ、沢山……、でもこれは……、伝説のドラゴンに
頼む願い事じゃなく……、すぐに叶えたい願いなんだよ……」
 
「はありゅ?」
 
「……ドラゴンに生まれ変わって、又君と巡り会いたい……」
 
「お前……」
 
「駄目かな……?、そうしたらずっと……、リトルと一緒に
いられるよ……、ドラゴンに生まれ変わって……、そうしたら、
うん!リトルの遣い魔になるよ!!」
 
「本物のバカかりゅ?普通なら、もっと別の……、てか、
何でドラゴンりゅ?本当訳判らん奴りゅ……、第一、んな簡単に
都合よく生まれ変われる訳ねーだろりゅ」
 
「バカでもいいんだ、だって、僕はもう……、いつ死ぬか
判らないんだもの……、病気持ってるこんな身体だからさ、
……願い事ぐらい叫んだっていいじゃない、それに僕、ドラゴンが
小さい頃から大好きなんだ、強くてかっこよくて、憧れなんだよ!」
 
身体は小さいが少年は心に大きな夢を持っている様で、
小悪魔に自分の夢を喋り終えた後、顔を赤らめる。
 
「……最初から死ぬ死ぬ考えてないで、生き残る様に方法
考えりゃいいりゅ、それぐらい考えろりゅ、テメーの人生は
テメーで切り開けりゅ!お前の事なんかリトルは知ったこっちゃ
ねーのりゅ、生まれ変わったお前なんか何でわざわざリトルが
さがさにゃいけんのりゅ!御免こうむりゅ!!甘ったれた事言ってねーで、
さっさと長生きしろりゅ!」
 
「リトル……、うん、僕……、病気治す、リトルと一緒に生きたい……、
何処までも……」
 
「うるせー糞め、勝手にしろりゅ……、うるせーから最初はヌッ殺して
やろうかと思ったけど、アホ過ぎてそんな気も失せたりゅ……」
 
「うん、勝手にする、でもね……、もしも僕が死んだら……、
……僕を探し出して見つけてね、僕、必ずドラゴンに
生まれ変わるからね……、でも、生まれ変わったら……、
僕は多分君の事忘れてると思うから……、もしも僕の事、
見つけてくれたら……、記憶を思い出させてね……」
 
「……アホかりゅ……、ドリーム野郎め……、だから
無理言うんじゃねーりゅ……」
 
(……本当に信じらんない……、あの小悪魔があれでもあの子を
励ましてる……、嘘みたいだ……)
 
精神体だけのダウドが只管ぼーっと状況を見つめる中……。
 
(あれ……?又違う場所だ……、ん?又小悪魔……、あれはお墓……?)
 
薄暗い……、誰も近寄らないような荒れ果てた畑の傍に……。
木の枝が刺さった小さなお墓がぽつんと立っていた。
 
「やっぱりお前はバカりゅ……、出会ってから数日であっさりと……、
又突然発作起こして急に死にやがって……、根性なしめ……」
 
(……そうか、あの子……、やっぱり死んじゃったんだ……、
でも、だとしたら……、いつもオイラ達の前に現れるリィトは……)
 
「もうお前の事なんか誰も知らないし、覚えてないりゅよ……、
ルンペンの野垂れ死にりゅ、けど、リトル様だけは覚えていてやるりゅ、
お前のその哀れな姿と存在、……惨めな一生を……、この身体の中に
取り込んでおいてやるりゅ……、お前を人間でリトル様の一の
子分に認定してやるりゅ……、有難く思えりゅよ、人間なんぞ
反吐が出るほど嫌いだけど……、お前だけは特別りゅ……」
 
(……あっ!?)
 
小悪魔はそう言うと……、自身の姿を少年そっくりに変えた……。
 
(リィトだ……、リィトは……小悪魔が化けてたんだ……)
 
「せめて……、名前ぐらい教えてから死んでくれよ……」
 
少年の姿の小悪魔はそう言って墓に背を向け何処かに
歩き出す……。
 
「……このクールな悪魔族の王子が……、変なのと出会ったばかりに
心揺すられて……、フン、全く迷惑な話だよ……」
 
(……涙……?)
 
そして……、更に又景色が移り変わり……。
 
(!?こ、今度は何処……、酒場……?)
 
「何にしますか?」
 
「ミルクを……」
 
一人で孤独に酒場の中、飲み物をオーダーする少年の姿の小悪魔と、
周囲には荒くれ者の男達が数人いて酒を飲んでいた。
 
「どうだい?景気はよ」
 
「駄目だ、さっぱりだ……、クソ勇者共がゾーマを成敗してから
最近モンスター共もすっかり大人しくなっちまったし、もうドラゴン
なんざドの字も見かけねえさ……」
 
「だろうな、ゾーマが居た頃にはドラゴンも腐るほど徘徊
してたからな、俺ら密猟で稼いでる奴らにゃ全く景気のねえ
世の中になっちまった!」