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zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 ガライ、ふたたび。

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「寝言か……、何だよ、鼻の穴広げやがって、普段はこいつ、
鼻なんかないじゃんか……」
 
「ジャミルも今日は甲板で寝たら?今夜は星が綺麗よ、良かったら
寝袋持ってくるけど」
 
「……う~ん、最近チビの悪戯っつーか、悪知恵が輪を掛けて
パワーアップしてるからなあ……、この間、寝袋で寝たらよ、
油性マジックで顔に鼻毛だの色々描かれたし……、んでもって、
ちょっと怒ったらよ、〔ジャミルの顔にお花を咲かせてあげたんだよお!〕
とか、無茶苦茶言いやがる……、寝袋で寝ると手も足も出ねえから
当分止めとくわ……」
 
「そうね、あれは面白かったわ……、チビちゃんたら、ホント、
悪戯が好きなんだから、……やっぱり、似ちゃうのよね……」
 
「……何がだ?」
 
「ふふっ、何でもないわよーだ!」
 
ジャミルの方を見ながら、アイシャがくすっと笑った。
 
「……さてと、俺らももう寝ようぜ、又、明日から気合い
入れ直さねーとな、絶対に奇跡の扉探すんだ、チビの為にも……」
 
「うん、そうね……」
 
 
そして、翌日……、甲板でチビと小悪魔が大騒動……。
 
「いてて、いててて!コラ!やめろりゅ!!」
 
「いやーーっ!!リトル行っちゃいやーーっ!!」
 
……これから転生するであろう友人を探す為、再び小悪魔も
旅立とうとしたのだが、すっかり小悪魔に馴れたチビが、小悪魔を
行かせまいと……、小悪魔の頭の変な物体を引っ張り、てんやわんやで
朝から大騒ぎであった……。
 
「しっかし、変われば変わる状況だよな……、チビの奴……、
ブレスで吹き飛ばす程、あんなにリトルを嫌ってたのによ……」
 
「はは、……はははは、仲良きことは美しきかな……、
とは言うけど……、どうしようね……」
 
頬をポリポリ掻きながらアルベルトが笑う。
 
「うっ、……リトル……、オイラもさみしいよおーーっ!!
やっとオイラ達、漸くちゃんと友達になれたのにーーっ!!
うわーーんっ!!」
 
「オメーまで何りゅ!!鼻たけんなりゅーーっ!!第一、
オメーらとなんか友達になんかなった覚えはねえりゅよーーっ!!」
 
「……チビちゃん、邪魔しちゃ駄目よ……?リトルはリトルで……、
ちゃんとやるべき事があるんだから、ね?」
 
「いや、いや……、お別れは嫌……、びいい~……」
 
「……チビ……」
 
チビの言葉を聞き……、これからの事に4人の心に
再び戸惑いが走る……。
 
「……フン、リトルはオメーらが大嫌いりゅ、……だから、
これからも又玉には邪魔しに来てやるりゅ、何処にいたって……」
 
「きゅぴ……、ホント?」
 
「おいおい……、勘弁してくれよ……、もう来なくて
いいよ……」
 
ジャミルが肩を落とす。
 
「……オメーらもこれから上の世界に行くんだろりゅ?……まあ精々、
無駄な努力しろやりゅ、又こっちに帰って来たら思いっ切り嫌がらせ
してやるからりゅ、楽しみにまってろやりゅ!」
 
「だから……、いいっつーの……」
 
「りゅ~っ!けーっけっけっけっ!!」
 
小悪魔はいつもの悪態をついて空に飛びあがった。
 
「……バイバイ、リトル……、リィト……、
又会いましょうね……」
 
「とりあえず……、君も元気でね……、大変だけど、大切な友達が
見つかるといいね……」
 
「あうう~、……さよなら……、てんやわんやで色々あったけど、
オイラも結構楽しかったよおお~……」
 
「……たく、早く行けよ……、んじゃな……」
 
「あばよーー!!クソ共ーー!!けーっけっけっけっ!!
糞洩らすんじゃねーりゅよーーっ!!」
 
「きゅぴい~……、また……、会えるよね……?」
 
「チビちゃん……」
 
アイシャに抱かれながら、チビは空の彼方に飛んで行った
小悪魔の姿を寂しそうに見つめていたのだった。


恐怖の再会?

年が明け、数日が過ぎ……、此処アレフガルドでも寒波の波が
押し寄せようとしていた。
 
「さて、今日からそろそろ又情報集めに動かなきゃな……」
 
「……あう~、寒いよお~……、船から動きたくないよお~……」
 
頭から毛布を被ったまま震えるダウド。
 
「♪きゅ~きゅきゅ~、きゅきゅ~♪」
 
チビは楽しそうに紙にご機嫌でお絵かき中。常に紙を与えていないと
最近はそこら中にチビが落書きしまくるので大変である。
 
「チビ、随分絵が上手になったね、それは何だい?怪獣かな?」
 
「ジャミルの顔だよお!」
 
アルベルトが聞くとチビは嬉しそうに返事をした。
 
「また俺かよ……、玉にはこっちも描けよ、怪人シスコン人間をさあ……」
 
「……うるさいよ、バカジャミル!!」
 
「でも、もうチビちゃんも狙われる心配がなくなっただけでも
本当に気が楽よ……、ねっ♪」

「ぴいっ♪」
 
防寒用のチビのフードを繕いながらアイシャが声を洩らした。
 
「さて、冗談はさておき……、此処からだと一番近い
情報収集場所はどこだろな?」
 
「この辺りの距離からだと、ラダトームかな……」
 
「ラダトームも、もう暫く顔出してねーし、行ってみるか?」
 
「だね……」
 
「さあ出来た、チビちゃん、寒いから、お出掛けにはこれ被ってね」
 
「きゅっぴ!」
 
アイシャが漸く繕い終えた防寒用フードをチビに被せる。
 
「いいなあ~、オイラも防寒用コート欲しい……、ミンクの……」
 
「……そのまま毛布被ってていいからな、さあ皆、船降りようぜ」
 
ダウドを置いて、他のメンバーが動き出す……。
 
「ちょっ!待ってええ~!……あいたっ!!」
 
慌てたダウドが毛布の裾につまずいてこけた……。
 
 
ラダトーム
 
 
「此処もあんまり変わってねえな……」
 
「宿屋のおじさんとおかみさんは元気かしら……」
 
「色々と、あったよね、此処でも……」
 
「……へーっくしっ!」
 
それぞれが色んな出来事を思い出す。一人思い出してないのもいるが……。
 
「……?何か寒気するな……」
 
「どうしたの?寒いの?大丈夫……?」
 
急にジャミルが震えだし、アイシャが心配して声を掛けた。
 
「いや、そういう寒さじゃねえんだ、なんつーかこう……、
会いたくねえ奴と会いそうな……、う~ん……」
 
「……?」
 
「とりあえず、まずは宿屋に行こうか……」
 
「はーい!さんせーいっ!」
 
鼻を垂らしながらアルベルトの意見に手を上げダウドが早速同意する。
 
「雪もまた降ってきたしな……、んじゃ、宿屋行くか……、
そういや、あのサバイバル親子はもう戻って来たのかな」
 
「……どうだろうね?」
 
4人は何気ない思い出を語りながら宿屋までの道のりを歩く。
アイシャのバッグの中のチビはスラ太郎とほっこり仲良く
お昼寝中であった。
 
「宿屋のおかみさん達も優しい人達だから、後でチビちゃんの事、
こっそり話しても大丈夫かしらね?」
 
「ああ、平気じゃね?」
 
「……寒いよお、お汁粉の海で……、泳ぎたいよおお……」
 
「寒さでダウドが壊れ始めたな……、まあ、宿屋まで
もうすぐだし心配ねえか」
 
「暑くても寒くても壊れちゃうんだね……」