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zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 ガライ、ふたたび。

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4人はようやく宿屋に辿り着き、ロビーで夫婦に暫らくぶりで
顔を見せるとおかみさんも店主の主人も喜んで出迎えてくれ、
皆に温かいお汁粉を振舞ってくれた。
 
「……ああああ~!ホントにお汁粉だああ~!!いただきまーーす!!」
 
出現した本物の汁粉にダウドが喜んで涙を流す。
 
「……もう、何年も食ってないみたいな感じだな……」
 
「ふふ、熱いから、気を付けてお召し上がり下さいね」
 
相変わらずの優しいおかみさんが笑顔を見せた。
 
「はい、チビちゃんもどうぞ……、お餅よ」
 
「ぴい~、チビ、お餅って初めて……」
 
バッグの中のチビにこっそり餅を食べさせるアイシャ。
食べやすい様にアイシャが小さく千切ってくれたお餅を
チビは美味しそうに頬張った。
 
「今日は、ラダトームに歌を歌う詩人さんが来るらしいんですよ」
 
「……詩人……?」
 
おかみさんの言葉にジャミルの耳が動いた。
 
「会いませんでした?まだ到着してないんでしょうか?
雪で遅れてるんですかね……、何でもあちこちの街や村を
訪れている方らしいんですよ」
 
「……寒いなあ、何か俺、ますます寒気してきたわ……」
 
再びジャミルがガクガク震えだした……。
 
「えー?こんなにあったかいのにー?」
 
汁粉を啜りながらダウドがジャミルの顔を覗いた。
 
「本当に大丈夫かい……?熱はないみたいだけどね……」
 
アルベルトもジャミルのおでこに触れる。
 
「お風邪をひかれたのでは……、いいお薬有りますが、
持ってきましょうか?」
 
おかみさんもジャミルを心配しだした。と、その時……。
 
「うわあ~、寒い寒い……、こんなに寒ければ歌も歌えませんね、折角
ラダトームまで着きましたが今日はやめましょう、うん、やめた」
 
「……ひっ!?」
 
独り言を言いながら宿屋に入って来たのは……。
 
「ガライさん……?」
 
「皆さん……」
 
「……う、うわああああ~~っ!!」
 
ロビーに出現したガライの姿を見てジャミルが大声を出した。
 
「ジャミル、何そんなに絶叫してるの……、他のお客さんが
こっち見てるよ!」
 
「だ、だってよ……、アル……、あ、あああああ……」
 
「ガライさん!お久しぶりー!元気だったー?」
 
「あは、全然変わってないねえ!」
 
アイシャとダウドもガライに声を掛ける。
 
「ガライさん、こんにちは……、お元気でしたか?」
 
アルベルトもガライに挨拶する。
 
「きゅぴー?」
 
チビは初めて見るガライに気になって仕方がない様だったが、
町中では常にぬいぐるみのフリなので我慢してバッグの隙間から
只管ガライをじっと眺めていた。
 
「元気ですが……、ジャミルさんは……?」
 
「其処に、いますけど……」
 
アルベルトが、壁に寄りかかってシェーのポーズを取ったまま、
固まって動かなくなったジャミルを指差す。
 
「いたんですか……、ジャミルさん……」
 
ガライがのそのそジャミルに近づいていく。
 
「は、は、ははは……、よう……、元気……、そうだな……」
 
 
「……ジャミルさーーんっ!!」
 
 
「……ひええええーーっ!?」
 
ガライがジャミルを追い詰め、壁ドンする……。
 
「あなた一体、何やってたんですかーーっ!あなたがさっさと
伝説にならないから!僕は伝説の勇者の詩の続きが作れない
じゃないですかーーっ!!オラ、とっとと伝説になりやがれ
ですーーっ!!」
 
「……ガ、ガライさん、落ち着いて下さい、他のお客さんが
皆見てますよ……、プ……」
 
アルベルトがガライを落ち着かせようとするが、もう吹き出す
寸前であった……。
 
「知らねーっつんだよ!滅茶苦茶言うな!!……あああ、だから
こいつ苦手なんだよぉ~」
 
壁際に追い詰められたままジャミルが涙目になる……。
 
(きゅぴー……、また面白いお兄さんだあ、……チビもお友達に
なれるかなあ……?)
 
バッグの中で、チビがパタパタ尻尾を振った。
 
「皆さん、お知り合いだったんですね、取りあえず、
宜しかったらあなたもお茶をどうぞ……、外は寒かった
でしょう…」
 
おかみさんがガライにお茶を出した。
 
「ああ、これはどうも、すみません……」
 
ガライは温かいお茶を見ると、ジャミルをほっぽりだし、
マイペース状態で席に着くとお茶をズズズと啜り始めた。
 
「……皆さんも、積る話もあるでしょう、一緒に
お話ししましょう……」
 
ガライがアルベルト達に自分のテーブルに来い来いと手招きする。
 
「はあ、折角だから……、ね……、行こうか?」
 
「うん……」
 
「ジャミルも……、席変えましょ?……ほらっ、
ちゃんと立ってよ!」
 
「……ふにゃ~……、俺……、もういやだ……」
 
アイシャがジャミルを助け起こし、4人はガライの方の
テーブルへとお引越しする。ダウドはお代わり分の汁粉の
入った茶碗を抱えたまま。
 
「で、……ゾーマがいなくなってからのこの一年……、漸く吟遊詩人の
駆け出しとなり、歩き出した僕は……、本当に大変な日々でした……、
それはもう、聞くも涙、語るも……」
 
お茶を啜りながらガライが涙をこぼし始め……。
 
 
ぷう~っぴ……ぷう……ぷっぷ……ぷっぷ~
 
 
「……」
 
(チビだな……、たく……)
 
「……ジャミルさん!あなた、僕が真面目に話をしてるのに!
……ふ、ふざけてるんですか!?……しかもすごく臭うんですけど!?」
 
「ちがっ、今のは俺じゃねえったら!!」
 
「何が違うんですか!?あなた以外いないでしょう……!?」
 
拳を震わせながらわなわなと……、ガライがジャミルに掴みかかる。
 
「……あ~もう……、勘弁してくれよ……、だからこいつ……」
 
ジャミルがテーブルに顎を付けて不貞腐れる。
 
「何だか、ガライさん、相当苛苛してるみたいだわ……、
本当に大変だったのかしら……」
 
「色々あったんだろうけど……」
 
「オイラ、知らないーっと!、うん、お汁粉が美味しければ
何でもいいや!」
 
やり取りに構わずダウドは呑気に残りのお汁粉を食べ始める。
 
「きゅぴ~……、ふああ……」
 
……オナラの犯人はバッグの中で呑気に欠伸をした……。

悩めるガライ

「……とにかく、僕も大変だった訳ですよ……、メルキドも大分
雰囲気が変わって、居心地が良くなりましたし、……しかし、
いつまでも一つ所にいてお世話になるばかりではどうもいけないと
思いまして、メルキドを出て、彼方此方、方々を点々としていたんです……」
 
※ゲーム中の下世界では……町や村が極端に少ないですが、この話では
他にも町や村が多数存在している物と勝手に想定して話を書いております
 
「でも、やはり現実は厳しいものでして……、余所ではあまり、
僕の歌など聴いて貰えないのが現状なんですね……」
 
「だけど、あちこちで歌歌いまくってたんだろ?だから
それなりに知名度は上がったんだろが、此処の宿屋の
おかみさんだってお前の事知ってたし」
 
ジャミルがそう言うが、何か不満なのか、ガライは只管
首を曲げて唸っている。