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zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 ガライ、ふたたび。

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「……確かに、方々で歌は披露しましたが……、ただ、
誰もまともに聴いてくれないのが現実でした……、ふーん、
あっそ状態でして……」
 
(……まあ、まだ流し歌手みたいなランクなのか……)
 
(アイシャ……)
 
(なあに、チビちゃん、静かにしてないと駄目よ……)
 
流石にいつまでもバッグの中では退屈になってきたのか、
チビがウズウズしだす。
 
(チビもお歌歌いたい!♪ぴぴっぴぴい~、ぴぴぴぴい~
だよお!!)
 
「……うわ、チビの下痢の歌だっ!」
 
「きゃーっ!……♪ぴ、ぴぴぴぴぴい~!」
 
慌ててチビの声をかき消そうと、アイシャが必死で大声を上げる。
 
「何……、してるんですか?アイシャさん……」
 
ガライが不思議そうな顔でアイシャを見る……。
 
「あはは、私……、ちょっと外行ってきまーす!!」
 
顔を真っ赤にしてバッグを抱えながらアイシャが宿屋の
外に飛び出していく……。
 
「……ハア~……、たく、冷や冷やすんなあ……」
 
「とにかく……、僕はやはり両親に言われた通り……、
吟遊詩人としての才能が開花しないのではないかと……」
 
「今頃わかっ……、あいてっ!!」
 
アルベルトに足を踏まれるジャミル……。
 
「……諦めるなんて、ガライさんらしくないですよ、意志の強い
あなたがどうしたんですか……、メルキドで披露した素晴らしい歌声は、
あんなに皆の心を癒したのではないですか……」
 
(まーた、アルの奴めっ、余計な事言いやがって……、
どうしてこう……、余計なお節介な奴らばっかりなんだか、
これで大人しく諦めがつけば実家に帰るだろうに……)
 
ジャミルも充分お節介を焼く事が多いのだが……。
 
「ねえ、雪がやんだみたいよ……」
 
暫く外に逃走していたアイシャが戻って来た。
 
「本当か?……よし、武器屋行くか、ジョニーに会いに
行きたいしな!」
 
と言っているが、ジャミルはガライ逃れしたいだけである……。
 
「ちょっと、ジャミル……、ガライさんが……」
 
「大丈夫ですよ、アルベルトさん……、僕、暫く此処で下向いて
落ち込んでますから……、いいんですよ、お出掛け行って来て下さい、
後で又戻ってきたら構って貰えれば……」
 
「おい……」
 
「……う~ん、動けないよお!お汁粉美味し過ぎて食べ過ぎたー!!」
 
暫く静かにしていたかと思えば……、ダウドが汁粉の食べ過ぎで、
まん丸になった腹を抱えて苦しんでいた。
 
「大丈夫?ダウド……」
 
「調子に乗り過ぎなんだよ!ったくっ!」
 
アイシャが心配する中、ジャミルはいつもの自分を棚に上げ、
腹パンパンのダウドに呆れる。
 
「……はあー、落ち込んだ、落ち込んだ……、どうせ僕なんか……」
 
「ジャミル、今日はやめようよ……、二人をこのままにして
出掛けられないよ……」
 
「仕方ねえなあ……、何でこうなるんだよ……」
 
と、言う訳で、4人は再び宿屋にお世話になる事に。チビに
関してはこっそりと、アイシャが夫婦に事情を話すと最初は
びっくりしていたが、チビ本人を見せると喜んで気に入って
可愛がってくれ、問題なく宿屋に泊まれる運びとなった。
部屋に入った途端、ジャミルはベッドに転がり思いっ切り
羽を伸ばし、寛ぐ。
 
「……はあ~、やっと解放感……、幸せだあ……」
 
「くるしい~、お腹……痛いよお……」
 
ジャミルの隣のベッドでは相変わらず萎まない腹を抱えて
ダウドが倒れていた……。
 
「ダウド、これ胃薬よ、おかみさんがくれたのよ……」
 
「……う、薬……いいよお~……」
 
アイシャが渡そうとした胃薬を、いいよお~……で、
拒否する我儘ダウド。
 
「なーにガキみたい事言ってんだ!いや、ガキなんだけどな……、
……チビの事言えねえじゃねえか、ほら、さっさと飲めよ!!」
 
「う~ん、とほほ~……」
 
仕方なしにダウドが水で胃薬を流し込んだ。
 
「ガライさんの方は大丈夫かしら……」
 
「面白いお兄さんだね、チビ、お話したいなあ!」
 
「うん、もう少し……、状況が落ち着いたらね……」
 
「あいつ、まだロビーで落ち込んでんのかな…」
 
「僕、心配だから見てくるよ……」
 
アルベルトが再びロビーまで足を運ぶと、案の定ガライは
まだ椅子に座ってどんよりと落ち込んだままの状態だった……。
 
「旦那さん、おかみさん……」
 
「あ、アルベルトさん……、あの方、もうずっとあのまま
なんですが……、本当にどうなされたんでしょうか、心配ですね……」
 
「弱ったね、あれじゃ他の客がたまげちまう……」
 
流石に夫婦もガライの様子が気になり始めた様子だった……。
 
「……何とかしてあげないとなあ……」
 
腕を組んで考えながらアルベルトが部屋まで戻る。
部屋に戻って状況を皆に報告すると、ジャミルだけは、
ほっとけほっとけの一点張りだった。
 
「ガライさんて、凄くデリケートなのね……」
 
「……デリケート?あれがか!?冗談言うなよ!!」
 
ベッドの上でジャミルがゲラゲラ笑いだす。
 
「もう……、少しはジャミルも心配してあげてよ……、
真剣に悩んでるみたいだからさ……」
 
「……絶対の自信があり過ぎたんじゃね?」
 
「うん?」
 
「調子に乗り過ぎたんだ、つーこと!僕の歌は凄いんだ、
もう何処へ行っても絶対誰からも聴いて貰える!で、メルキドで
自信過剰になり過ぎて、他でこけて落ち込んだと」
 
「……ガライさんに限って、そんな事ないよ……」
 
アルベルトが複雑そうな顔をジャミルに向ける。
 
「さーて、先風呂行ってくるわ!風呂上りにコーヒー
牛乳でも飲んでと……」

「あのさ、今の時代、コーヒー牛乳って言い方は
無くなったんじゃないの……?」

「いいんだよっ!どうでもいいだろっ!腹黒っ!」
 
アルベルトにそう言って、ジャミルが部屋のドアを開けようとした途端……。
 
 
「……自信過剰、確かにそうだったかもしれませんね……」
 
 
「うぎゃああああーーっ!!」
 
ガライがぬっとドアの隙間から顔を出した……。
 
「ガライさん……」
 
「……おや……?その人形は……?」
 
ガライがチビに気づいたらしい。
 
「きゅっぴ、チビだよおー!お人形じゃないよお!
初めまして、こんにちは!」
 
「もう、話しても大丈夫かしら……?ガライさん、あのね……」
 
アイシャがガライを部屋に招き入れ、チビの事を話した。
 
「そうでしたか、ドラゴンの子供……、これは又、珍しいですね……」
 
「きゅっぴ!」
 
ガライは特に気にせず、部屋をパタパタ飛び回るチビを
じっと見つめていた。
 
「……」
 
ジャミルは突如現れたガライのホラー顔に気絶して腰を抜かし……、
ダウドの横で一緒にベッドに倒れていた……。
 
「……あのう、勝手な事とは思うんですが……、皆さんに
お願いしたい事があるんです……」
 
「はあ……」
 
ベッドで倒れているアホ二人を除き、アイシャとアルベルトが
ガライの話に耳を傾けた。
 
「最近、この付近でも新しい洞窟が此処から西の方に