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zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 ガライ、ふたたび。

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見つかったらしくて、もしかしたら其処に、煎じて飲むと、
喉が潤って綺麗な声が出せる様になる、幻の薬草が生えて
いるかも知れないとの噂なんです、ただ、其処には……、凶悪な
モンスターも潜んでいるとか、少しだけ洞窟の中に入った先の
冒険者の方の話ですと……」
 
「ガライさん、今はモンスターも此方が刺激しない限り、
通常は大人しくしているんですから、此方からやたらと
突く様な事をしては……」
 
「……分かってます、モンスターに用はないんですが……、
僕はどうしてもその薬草が煎じて飲みたいんです、
ですから……、その薬草を一緒に探しに行って
頂けないでしょうか……」
 
ガライがじっと真剣な表情でアルベルトに訴える。
 
「あの、ガライさん、そんな物飲まなくたって……、それに……、
幻の薬草なんか、本当にあるか判りませんよ……」
 
「分かってます、けど……、このままじゃ僕は……、
どうしても……」
 
「……自信無くなったら、次は、んなモンに頼んのかよ!」
 
「ジャミルっ……!」
 
倒れていたジャミルが急にむっくり起き上がった。
 
「甘ったれてんじゃねーよっ!バカ野郎!!オメーの根性は所詮
その程度のモンなのかっ!!」
 
「ジャミル、そんな言い方……!」
 
アイシャが慌ててジャミルを制しようとしたが、
ジャミルは聞かず、切れている所為か、きつい口調を
飛ばした。
 
「それでも、僕は、ちゃんと皆に歌を聴いて貰える様に
なりたいんです……」
 
「……ガライさんっ!」
 
「失礼しました……、では……」
 
アルベルトがガライを止めようとするが、ガライは
部屋の外に出て行ってしまった……。
 
「アル……、どうしよう……」
 
「たく、んなモン飲まなくたって、あいつはあれで充分なんだよ、
何でわかんねーんだよ……、ホント、バカ過ぎらあ……」
 
「ジャミル、ガライさんは絶対一人で洞窟に行っちゃうよ、
止めなきゃ……!!」
 
「はあ、仕方ねえ……」
 
急いでロビーに向かうと、おかみさんが慌ててトリオの前に
飛び出して来る。
 
「あの方、急にお外へ出て行かれてしまったんです…、
もう夜も遅いですからとお止めしたんですが、凄く真剣な
お顔をされていましたよ、何があったんでしょうか……」
 
「……はあ~、やっぱりこのパターンか……」
 
「僕達、これからガライさんを迎えに行って来ます……」
 
「おかみさん、あの……、お願いがあるんですけど、
ダウドとチビちゃんを……」
 
「分かりました、大丈夫ですよ、皆さん、夜は冷えますから、
これをどうぞ……、お気をつけて……」
 
おかみさんが温かいコートをトリオに貸してくれた。
防寒用コートを羽織るとダウドとチビをおかみさんに
頼んで部屋に残し、トリオはガライを探しに新規の洞窟へと
向かうのだった。

マンドラドラドラ

「……たく、何で俺らがこんな事しなきゃなんねんだっつーの、
岩山の洞窟の時の悪夢が蘇るわ……」
 
「あ、ガライさんかしら……、倒れてる……」
 
トリオが洞窟に向かうと、……入り口で早速ガライが凍えて
倒れて伸びていた。
 
「ガライさん、大丈夫ですか、しっかりして下さい!!」
 
アルベルトがガライを助け起こす。
 
「ごえ……、ざむくて……ご、えが……、ぢゃんど……でまぜん……」
 
「……んな格好で、ムキになって外飛び出すからさあ、たく……」
 
「ガライさん、これ、宿屋のおかみさんが作ってくれて
持たせてくれたの、温かい野菜入りのスープよ、さあ飲んで……」
 
アイシャが魔法瓶からスープをコップに注ぎ、急いでガライに飲ませた。
 
「……はあ~、生き返りました……、皆さん、有難うございます、
やっぱり来てくれたんですね……」
 
「さあ、もう気が済んだろ?宿屋に戻ろうぜ」
 
「何でですか、ジャミルさん、折角来たのに、何で帰るんですか?」
 
「ハア……!?だって、お前……」
 
「帰る必要ないでしょう、その為にわざわざ来たんですから、
中入りましょう」
 
「おい……」
 
「これは、ガライさんの気の済むまで、戻りそうもないよ、ジャミル……、
僕らがサポートしてあげないと……」
 
「諦めた方がいいわよ……」
 
だから嫌なんだと思いながらジャミルは仕方なしに、ガライの護衛で
洞窟へと入った。
 
「んで、探してる薬草の知識とか見た目とか、お前は分んのか?」
 
「全然……」
 
「あ、あの……、ガライさん……?」
 
不安になって、アルベルトがガライに声を掛ける。
 
「昔、何となく、図鑑で見た事あるような、何せ僕が幼少期の頃
でしたから……、確か名前が……、マ?マンドラ……ごんドラ……???
ドラドラピン……、メンタンピン……」
 
「俺、わりィけど先に宿屋に戻るわ……、お前らだけで好きなだけ
護衛していいからさ……、付き合ってらんねー……」
 
「だ、駄目よーっ!ジャミルが先に帰ったら大変なんだからーーっ!!」
 
「我慢してーーっ!!」
 
必死でジャミルを引っ張るアイシャとアルベルト……。
 
「放せーーっ!!俺は帰るーーっ!!むっきいーーっ!!」
 
「……そ、そうだ……、ちゃんと護衛が済んだら、暫らくぶりに又
外食行こうか、ステーキは無理だけどさ……」
 
いつもの如く、食べ物で釣られそうになり、少しだけジャミルの
気持ちが傾いた……。
 
「仕方ねえな……、ビーフシチューぐらいは頼むからな……、
パン付きのセットで……」
 
「……ほっ」
 
安心するアルベルト。どうにかジャミルを宥め、一行は洞窟の奥へと進むが、
奥へ進めば進むほど、空気はどんどん冷えてくる……。
 
「はあ、寒いね……」
 
アイシャが悴んだ手を擦って温める。
 
「大丈夫かい……?」
 
「うん、平気、でも本当に、あったかいシチュー食べたいね……」
 
段々と、アイシャも疲れてきた様子だった。
 
「おい、ガライ……、本当、お前何処まで行く気だ?もう夜なんだし、
俺らだって体力に限界があるんだぞ……」
 
「?ちょっと、待って下さい……」
 
「何をだよ」
 
「何かの唸り声がします……」
 
「モ、モンスターかしら!?」
 
アイシャとアルベルトが呪文をいつでも詠唱出来る体制で身構える。
 
 
♪ほほほほほおーっ!!おおーーっ!♪
 
 
「何なの……?この変な歌声……」
 
「うるせー声だなあ……、耳障りな……」
 
「うーん、ジャミルの歯ぎしりと鼾と、どっちがマシなんだろう……」
 
眉間に皺を寄せ、真顔でアルベルトが考え始めた。
 
「おい……」
 
「ああ、なんて美しい歌声なんだ……」
 
ガライが耳をすまし、声に聴きほれる……。
 
「あっ!?」
 
一行の目の前に現れたのは、根が足の様な、変な植物のモンスターだった。
モンスターは気色の悪い足根でぴょんぴょんとジャミル達の前を動き回る。
 
「♪ほおおーーっ!」
 
「ガライさん、これは普通のモンスターと違いますよ……、
恐らく、マンドレイク……、ではないですか?あなたが言っていた、
マンドラゴンドラ……、ではなくて、マンドレイクです……」