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zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 ガライ、ふたたび。

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引っ張り部屋に入れる。
 
「あっ、辛いのお兄さんだあ!」
 
「……チビさん……?でしたっけ……?僕は辛いではなくて……、
ガライです……」
 
「お歌うたってー!チビ、カレーお兄さんのお歌ききたいー!!」
 
「ですから……、何でそうなるんです……、僕はカレーでもないし、
辛くもな……うわ!」
 
チビがガライの顔をペロペロ舐めはじめた。
 
「信頼してる人には顔をペロペロするんだよおー、チビちゃんは!
ガライさん、すっかり気に入られたねー!」
 
「あうわ、あわわわわ!」
 
「ガライさん、ちょっとお願いがあるの、いいかしら?」
 
アイシャが手を後ろに組んでにこっと笑い、ガライの顔を覗き込む。
 
「はい……?」
 
「そろそろ、チビちゃんもおねむの時間なんだけど、……ガライさんの
子守唄……、聴かせてあげてくれないかしら?」
 
「僕がですか?チビさんに……?」
 
「きゅぴいー!」
 
チビが尻尾ふりふり、ガライにちょこんと抱き着く。
 
「分りました……、僕の歌で良かったら……」
 
ガライが椅子に座ってチビを抱き、子守唄を歌い始めた。
……透き通った美しい歌声が部屋中にこだまする……。
 
「これだよ、これ……、これでいいのさ……」
 
ジャミルも両腕を頭の後ろで組み、ベッドに仰向けで寝転がる。
 
「ホント、いい声よね~……」
 
「うん、本当に何ともいえないね……、この歌声……」
 
「zzzz……だよお~」
 
 
「ぴきゅ……」
 
「おや?チビさん、眠ってしまいましたね……」
 
ガライが眠っているチビをそっとアイシャに手渡す。
 
「ガライさん、本当にありがとう……、すっかりチビちゃんも
ガライさんの子守唄で今夜は幸せいっぱいでお眠りタイムよ……、
うふふ、いい夢みてね、チビちゃん……」
 
「いえ、そんな……、僕の歌がお役に立ったなら、嬉しいです……」
 
アイシャに喜んで貰い、ガライが顔を赤らめた。
 
「じゃあ、皆、私、自分の部屋に行くね、ガライさんも
今日はありがとね!」
 
チビを抱いてアイシャが皆に手を振り、自分の部屋に戻って行った。
 
「ダウドも……、ほら、ちゃんとベッドで寝るんだよ、
又お腹冷やすよ……」
 
「う~ん……、気持ち良すぎて……、つい……」
 
アルベルトがダウドを突っついて注意する。
 
「ガライ、俺らももう休むけど……、お前は今日の分、
宿とってあんのか?」
 
「いえ……、此処に長居する予定ではなかったので……」
 
「やっぱりな……、俺らの部屋で良かったら寝れば?そこら辺でゴロ寝に
なっちまうけどよ……」
 
「あ、一緒にいいのでしたら……、このまま僕は椅子で休ませて頂きます、
後で僕の分の宿代はきちんとお支払致しますので……」
 
「そうかい?んじゃ……、ランプ消すけど……」
 
部屋の明かりを消して、皆が横になる中、ガライは椅子に座り、
ある決意を考えていた……。そして翌朝、アイシャがチビを連れ、
皆の部屋にやって来る。
 
「お前、最近腹も立派になったなあ……、食い過ぎだろう……」
 
ジャミルがチビのお腹をポンポン叩くといい音がした。
 
「きゃぴーっ!」
 
お腹を叩かれ燥ぐチビ。
 
「もう、ジャミルったら!チビちゃんのお腹は太鼓じゃないのよ!!」
 
「ジャミルさん、あなた音感がないのでは?」
 
ガライがぬっと横からしゃしゃり出てくる。
 
「何だよ!」
 
「こうですよ、……ポポンポポン、ポポポポン……と、」
 
ガライまで調子に乗ってチビのお腹を叩き出した。
 
「……もうっ!しょうがないんだから!!」
 
と、言いつつも……、実は自分もちょっと叩いてみたいアイシャだった……。
 
「ふざけてないで、僕らも今日からは本当に真面目に
情報収集始めないとね……」
 
「情報収集ですか……?また、何かあったのですか……?」
 
ガライがアルベルトを見て、不思議そうに首を傾げる。
 
「うん、……ダウド……」
 
「はーい、アル、わかったよお、アイシャ、バッグ貸してくれる?」
 
「はい、気を付けてね」
 
ダウドがチビをバッグの中に入れる。
 
「さあ、チビちゃん、オイラと朝のお散歩に行こう!」
 
「うわーい!ダウとお散歩ー!!チビ、お花さんに、
こんにちはしたーい!」
 
「そんなに時間掛らねえと思うけど……、頼むな」
 
「うん、ちょっと一回りしてくるよ、行ってきまーす!」
 
「きゅっぴー!」
 
ダウドとチビのコンビは元気に外に出ていく。
 
「チビさんがいると、何かまずいので……?」
 
「それなんだけどな……」
 
ジャミル達はこれまでの経緯をガライにも全て話し、
聞いて貰う。
 
「そうでしたか、あのチビさんが……、確かに見ていると物凄く
知力の高いドラゴンだと言うのは判るような気がしますね……」
 
「まだ、はっきりと確定した訳じゃねえけど、恐らくな……」
 
「それで、上の世界へ又戻られると……」
 
「ああ……」
 
「普段、エヘラエヘラのお気楽顔のあなたがやけに
真剣なお顔をされているから、何事かと思いましたが……、
そう言う事情がおありだったのですね……」
 
「……悪かったな、どうせ、おりゃあ普段はこういう
ふざけた顔だよっ!!」
 
「ですが、そうなると……、今後はチビさんにお会いになるのも
難しくなるのでは……」
 
「……お別れは辛いけど……、でも、もう皆で決めたの……、
チビちゃんの未来の幸せの為に……」
 
「皆さんも……、色々とご決断されているのですね……」
 
ガライが静かに椅子から立ち上がる。……そして、じっと
窓の外を眺めた。
 
「ガライさん……?」
 
「……アルベルトさん、皆さん……、僕も、もっと頑張らねば……、
まだまだ修行が足らないですね……」
 
「あの、オイラだけど……」
 
ダウドが部屋のドアをノックする。もう散歩から戻って来た様である。
 
「ダウドか……?」
 
「うん、話終わったかな?」
 
「大体な、ガライにも聞いて貰ったよ」
 
「えへへ、それじゃ大丈夫だね……」
 
チビを抱いたダウドが部屋に入って来る。
 
「チビちゃん、お散歩楽しかった?」
 
アイシャが聞くとチビが嬉しそうに答えた。
 
「うん、ダウが雪で滑ってずるって転がったのー!」
 
「……ちょ、チビちゃんてば、もう……」
 
「チビさん、今度は是非僕と一緒にお散歩のお相手を……」
 
「うん、行こうー!辛いのお兄さんとー!お散歩しようねー!」
 
「そういう事で、では……」
 
ガライがチビを連れて外に出て行こうとする。
 
「……コラ待て……!」
 
「冗談ですよ……、さて、僕も皆さんにご報告しようと思った事が
ありまして……」
 
チビをジャミルに返してガライが真面目な顔をする。
 
「きゅぴー?」
 
「僕、一度……、これから実家に帰ろうと思います……」
 
「ガライ……」
 
「まだちゃんと両親と向き合って話し合っていませんし、
全てはそれからです……、きちんと両親と話をしてから、又、
一から出直そうと思います……」