zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 終わりなき戦い
ばら撒かれたらさ、あの通りさ……、なのね……」
「私の方も大事な報告があるのよ!」
「……メス餓鬼襲来、やるのね!お前ら……!!」
アイシャに気づいた子分Aと子分Bが、アイシャに向けて
粉をばら撒こうとする。
「……あぶねえっ!!」
「きゃあっ!ジャミルっ!!」
ジャミルが慌ててアイシャを突き飛ばし、覆い被さって庇う。
「大丈夫か?、アイシャ……」
「うん、ありがとう……、でも、何なの?一体……」
「まーだオメーは完全に侵食されてねーのか!なのねー!!」
「のねえー!!」
「のねえー!!」
「おい、兄弟!おめーらも早くこっちに来るのねー!
一緒に踊るのねえ~!」
馬鹿トリオが声を揃え、怒りながら再び肩を組み、踊り出した……。
「どうやら、ちょっと危ねえ……、ヤクらしい……」
「もしかして、アルとダウドは……、吸っちゃったの……?」
「俺もだよ……」
「いやっ!しっかりしてよっ、ジャミルっ!!バカバカバカっ!!」
アイシャがジャミルに飛びついてポカポカ拳で胸を殴る。
「時間の問題なんだ……、早くどうにかして…、毒を消さねえと……、
なのね……、俺らもあいつらみたいになっちまう……」
ジャミルはそう言いながら、揃って足を上げて楽しそうに
バカ丸出しでフレンチカンカンダンスを踊る馬鹿トリオの方を見る。
……一刻も早く毒素を消さないと、いずれはジャミル達もこの中に
巻き込まれてしまうであろう……。
「ちょっ、真面目な顔して、文の最後に変な語尾つけないでよっ、
どうリアクションしたらいいのよ……」
「……俺だって好きで、んな喋り方してる訳じゃねえっ!……のね~!
あーーもうー!!」
思う様にちゃんと喋る事が出来ない為、ジャミルのイライラは募る……。
「お前達、優しいこのカシラのぼくが、いい事思いついたのね?
どうせなら皆仲良くお仲間の手で侵食される方がいいのね、やるのね、
新しい兄弟達!」
「……」
「……」
「アル?ダウド……」
粉の袋を子分共から手渡された二人がゆっくりと、無言でジャミルと
アイシャに近寄ってくる。
「冗談でしょ……?嘘よね……?」
「アイシャ、このままじゃお前まで大変な事になる、お前だけでも
逃げろ……、のね……」
「いや、嫌よ……!皆を置いて逃げられないよ……!!」
「バカっ!……此処で皆やられたら……、お終いなんだぞ……!
……なのね……」
「ぷ……、ぷぷ……」
アイシャが必死で笑いを堪える……。ジャミル本人は
真面目に喋っているつもりなのだが……、どうしても
余計な語尾の所為で……、台無しになる……。
「のねーーっ!!」
「のねーーっ!!」
「……アイシャーーっ!!」
「いやあああーーっ!!やだーーっ!!」
遂に二人に向け、近寄って来たアルベルトとダウドにより、
薬粉をばら撒かれる……。
「おーほほほほほ!これで皆仲良くお花畑ー!なのねえー!」
「なのねー!!」
「なのねー!!」
暫くの間……、空家に沈黙が流れた……。
「……あれ?私……、何ともない……、よ?」
アイシャが不思議そうな顔でジャミルを見た。
「ほ、ほんとか……?大丈夫か?……なのね……?
ほんとにホントか?」
ジャミルが焦ってアイシャの肩を掴んだ。本当にアイシャは
いつも通り、正常である。
「う、うん……、本当よ……」
「どーなってんのねー!お前ら、真面目に粉ばら撒いたのか!?
なのねえーー!!」
リーダーがアルベルトとダウドにキーキー怒鳴る。
「知らないよおお、なのね~……」
「僕も……、なのね……」
「あ、アニキ……」
子分AとBが申し訳なさそうに、リーダーに近づいて行った……。
「何なのねえ!?」
「奴らに渡したの、ただの小麦粉だったのね……」
「間違えたのね……」
「この馬鹿共ーーっ!!何でこんな処に紛らわしい小麦粉なんか
持ち込むのねーっ!!」
「戦ってお腹が空いたら、もちもちお焼き作って焼こうと思って
持ち込んだのね」
「のねー、腹が減っては戦ができないのねー」
「バカ過ぎて何も言えないのねーーっ!この馬鹿共ーーっ!!」
「アニキだってバカなのねーっ!!」
「のねーっ!!」
馬鹿トリオは等々殴り合いを始める……。
「お?何か、揉めてるみたいだなあ……、なのね……」
「うん、じゃあ……、この隙に……、……あっち行っちゃい
なさいーーっ!!」
アイシャが怒りのイオナズンを唱え、馬鹿トリオは爆発被害に
巻き込まれる……。
「……ウーン、なのね……」
「また……髪の毛も……、吹き飛んだ……のね」
「また……つるっぱげ……、なのね……」
馬鹿トリオは揃って首を揃えコテンと気絶する。
「……はあ、どうにかウゼー邪魔者は気絶したな……、なのね……、
けど、どうやったら一体こいつら大人しくなるんだか……」
「早く、その口調治して貰わないと……、後は……、この二人も
どうしよう……」
「……」
「……」
ジャミルとアイシャコンビは洗脳され、ラリっているアルベルトと
ダウドを見つめるのだった……。一体どうしたらいいのかと……。
いつか来るその日まで
「ちょっと、アルもダウドも、いい加減、元に戻ってよ!」
「だよお~、なのね~……」
「僕も知らんのねえ~……」
アイシャが必死で呼びかけるが、相変わらず二人はそのままの
状態であった。
「俺だって……、いつまで正気を保ってられんだか……、うっ……」
「……やだやだやだっ!駄目よ、ジャミルっ……、嫌だよ……」
アイシャがぎゅっとジャミルにしがみ付いた……。
「もしも、俺までああなったら……、後はお前しかいねえんだ、
頼むぞ、アイシャ……、なのね……」
「だ、だからっ……、真面目な顔してその語尾止めてよっ……!
泣いていいのか、笑っていいのか……、判らないじゃないっ……、
もう……」
「……俺、この際だから……、自分が自分じゃなくなる前までに……、
やっておきたい事があるんだ……、のね……」
アイシャの目を真剣に見つめ、ジャミルが言う。
「だからっ……!そんな事……、言わないでったら……」
「止めるなよ、アイシャ……」
そう言って、ジャミルはアイシャから離れた。
「ジャミル……、やめてお願い……、何をするの……?」
ジャミルはアルベルトに近づき……、そして……。
「この際だから、お前に言っておきたい事がある……、
……このシスコン……!腹黒野郎!デコ!ウンコ!」
……パンッ!!
「……っつう~……」
「ア、アル……」
アイシャの目が潤んだ。……どうやらアルベルトはジャミルの
毒舌に刺激され、ついかっとなった事で、どうにか自分を
取り戻したらしい……。
「久しぶりに、スリッパ振り回した様な気がするなあ~???」
作品名:zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 終わりなき戦い 作家名:流れ者