zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 英雄達の帰還
アイシャがお色気ムンムンで男衆に迫る……。胸の大きさは
全く変わっていないのだが、……もしかするとベルトの呪いなのか。
「……ちょ、アイシャっ!!」
アイシャに迫られ、慌てるアルベルト……。
「ジャミル見てよ、ほーら、むちむちぷりーん!」
アイシャが体をくねらせ、おしりを振る……。
「……やめろーーっ!こんなのアイシャじゃねえーーっ!!
うわーーっ!!」
「オ、オイラは最高だと思うけど……、あは、あはは……」
「ただいま……」
と、そこへファラが帰宅する。……そして……、現場を目撃し……、
身体が凍り付いた……。
「うふん、あはん……」
「……ちょっと、あんたら……!何してんのさっ!!」
ファラが物凄い剣幕で男衆に掴み掛る……。
「ファラ、何とかしてくれ……、あのベルト着けたら……、
アイシャが発情期になっちまった……」
「はあ……?」
真っ先にジャミルに殴り掛ったファラの手がぴたっと止まり、
アイシャの方を見た……。
「たく、何やってんだか……、ほらアイシャっ、しっかりしなっ!!」
「……あれ?私……、何してたの……?全然覚えがないわ……」
ファラにベルトを外して貰うといつものアイシャに戻った。
「……たくもう!このスケベ連中め!!最低っ!!やっぱ今日は
ステーキ止めっ!!折角肉買って来たけど焼き魚とイモの
煮っ転がしに変更するからっ!!……全くっ!!」
チビとバッグをアイシャに返し、冷めた顔で男衆を睨みながら、
ファラが台所に入って行った。
「あ、ファラ、私もお手伝いするー!」
「きゅぴー!」
アイシャもファラの後を追い、リビングには固まった
男衆だけが残され……、結局、貰った景品は全て旅への
資金にあてる事にしたのだった……。……こうして、今回も
ジャミルはステーキを食べられる機会を逃したのである。
アルベルトさん、体調不良?
4人はファラに見送って貰い、次の朝、二度目の旅立ちを
開始する……。
「しかし、あのメダル親父、趣味わりィよな、何景品に
してんだか、たくよ……」
「でも、取りあえず、不審者……、じゃなかったから
良かったけどね……」
「……けど、惜しいなあ……、双六やりたい放題はよ……、
美味しすぎんだろ……」
「ジャミル、何だい?」
アルベルトがニコニコしながらジャミルの顔を覗く。
「何でもねえよ……」
それでも、ジャミルの腹の中では……、やっぱりゴールドパスを
諦めきれないのだった……。
「なあ、アル……、せめてポルトガまではルーラで行こうや……、
後の事は船貰ってから考えればいいだろ」
「そうね、チビちゃんもいるしね……」
「きゅぴ?」
チビがアイシャと皆の顔を見た。
「分った、それじゃあ、ルーラで……、あれ……?」
「どうしたの……?」
ダウドが素っ頓狂な顔をしてアルベルトを見つめた。
「何か変なんだ、呪文が上手く詠唱出来ない……、
おかしいなあ?」
「……マジ?」
「ど、どんな感じなの……?」
アイシャも心配そうにアルベルトに声を掛けた。
「何とも言えないんだけど……、手に力が入らなくて……、
とにかく変な感じなんだ……」
「よく分かんねえけど……、とにかく一度ルーラ使ってみろよ……、
落ち着けよ……」
「うん、ルーラ……!」
ジャミルに急かされ、アルベルトがルーラを使うと……。
「……ああああああ~っ!!」
4人とも宙に浮きあがるが、その後、全員モロに頭からごつんと
地面に落下した……。
「ごめん、……やっぱりおかしいんだよ……、何でだろう……、
コントロールが……」
「いっつ~、俺、頭にコブ出来たわ……」
「きゅぴ、おだんご!」
「……コラ、チビ!コブに触るな!」
「アルも、色々疲れてるのかもしれないわね……」
「そうだね、あほうの誰かさんがいつも騒動起こすから……、
ぐえっ!!」
「……オメーも人の事……、言えねんだよ……」
ダウドをヘッドロックしながら、そこら辺をぴょんぴょん飛び回るジャミル。
「少し、休憩しよっか?ファラに作って貰ったお弁当食べよう!」
「きゅっぴ!お弁当~!ぴい~!」
アイシャとチビはまるで呑気でピクニック気分である。
「休憩も何も……、まだ、橋ぐらいまでしか距離歩いてないよお……、
橋渡ったら、もうすぐレーベの村だけど……」
「いいじゃん、レーベ近いんだよな……、んじゃあ、飯食ったら
レーベまで歩こうや、今日はそこで寸止めだ……、な?アル」
「うん、ごめんね……」
申し訳なさそうにアルベルトが皆を見た。取りあえず4人は
ファラに作って貰った弁当を出して休憩のランチタイムを始めた。
「きゅぴ、卵焼き、食べたい!」
「はーい、チビちゃん、卵ですよー、めしあがれー!」
「きゅっぴ、おいしいねー!」
「俺もウインナー、食べたい!」
ジャミルが横からウインナーをひょいと摘まむ。
「あ……、それ、ジャミル3つ目じゃないかあ!ずるいよお!
無くなっちゃうよ!」
ダウドがぎゃんぎゃん抗議する。
「……」
「あ、アル……、お昼食べないと無くなっちゃうわよ?
野獣ジャミラがいるんだから……」
「誰が野獣かっ……!!ガルル……」
「うん、あんまり食べたくない、ごめん……、あ、僕の方は
気にしないで、皆はちゃんとお昼を食べて……」
「あのね、私もルーラ使えるんだけど……、この間ね、初めて使ってみたの、
……そしたらね、海におっこっちゃったの……」
アイシャが恥ずかしそうに舌を出した……。
「そうなんだ、でも、その内にアイシャもちゃんと使い熟せる様に
なるよ、心配ないよ……」
「そうかなあ……、だといいんだけど……」
「……うん」
微笑ましい目でアルベルトがアイシャを見た。
「特別に、俺のルーラ使うか?」
最後のウインナーを口に入れながらジャミルがアルベルトに話し掛けた。
「ぎゃーっ!ジャミルがオイラの分のウインナーみんな食べたーーっ!!」
「ダウ、いい子いい子……」
吠えるダウドの頭をチビがナデナデする。
「いや、……僕がもう一度やってみるよ、暫く休んだから……、
もう平気だと思う……」
「本当かよ……」
「無理しちゃ駄目よ……」
「大丈夫……、……ルーラっ!!」
アルベルトがもう一度、ルーラを掛けると……。
「ごめん……、大丈夫じゃなかった……」
やっぱり地面に落下してしまったのだった……。
「今度は頭からじゃなかったから、よかったよお……、
おケツ少し打ったけど……」
「あら?ジャミルは……?」
「きゅぴ~、大変!ジャミルが逆様になって大根さんみたいに
地面に刺さってるよお!」
「……」
「……ってええ~……」
「見事、間抜けな刺さりっぷりだったねえ~、プ……」
「笑うなっ!バカダウドめっ……!」
「……いだだだだだ!」
作品名:zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 英雄達の帰還 作家名:流れ者