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zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 懐かしき人々と・1

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「アル、……どうしたのかしら?」
 
「ん?」
 
「殿下殿下……、殿下……、ああ……、でんかでんか……、
殿下殿下……、電化……、でんかでんか……うふふふふ……」
 
「遂に壊れたかな……」
 
……と、ジャミルが呟いた途端、前を歩いていたアルベルトが立ち止まり、
ジャミルとアイシャを振り返る。
 
「ねえ……」
 
「どうしたんだよ!本当に!」
 
「うん、あのさ……、殿下には……、闇の大魔王の事もちゃんと
話した方がいいと思うんだ、バラモスを倒した後の僕らの足取りの事も……」
 
何故か顔が赤く、モジモジするアルベルト。
 
「……まあ、お前が話したいって言うんなら……、別にいいんじゃね?」
 
「うん、ナイトハルト殿下なら……、きっと理解してくれる!」
 
急にアルベルトが目をキラキラさせ始めた。
 
「…なんなんだ、こいつ…」
 
「アルが輝いてるわ…」
 
「さあ、二人とも行こうっ!殿下がお待ちしているよ!
この長い廊下の先に!!」
 
「はあ~……」
 
普段からは考えられないアルベルトの変りっぷりに
しどろもどろになるジャミルとアイシャであった……。
 
そして、ナイトハルトが居る玉座の間へとトリオは通される。
 
「……勇者達か……、アルベルトも……、バラモス撃破後、
……行方を眩ましたと言う噂が立っておったが、無事で
何よりであった……」
 
「ナイトハルト殿下……、お久しゅうございます……、私はバラモス
討伐前に、もう一度、殿下にお顔を見せに立ち寄り、その後……、
音信不通でしたので……、長い事ご連絡も出来ず、ご心配を
お掛け致しました……」
 
ジャミルは……、自分とは正反対のイケメン面のスカした男が
嫌いなので早く船を手配して貰って用が済むのを願わんばかりで
あった……。分からない様にナイトハルトに向けて舌をチラチラと
出してみたり、引っ込めたり。
 
「実は……、バラモス打倒後の……、その後の私達の足取りなのですが……」
 
「ふむ……?」
 
アルベルトは下の世界の事、闇の大魔王ゾーマの事など丁寧に説明し、
話していく。つまらなさと早く話を終わりにしろとで、ジャミルも
居心地の悪さに限界が来ていた。
 
「よくもまあ……、ベラベラと……、口が達者でございますわ……」
 
「ジャミルったら、駄目でしょっ!」
 
アイシャが注意するが、ジャミルはもう本当に限界の様であった……。
 
「そうであったか……、そなた達の陰の貢献、本当に見事であったぞ、
お前達は二度も世界の危機を救ってくれたのだな……、心から感謝するぞ……」
 
「はっ……、勿体無いお言葉でございます、殿下……」
 
「船はまだかにゃ……」
 
「もう~っ!!」
 
「それで、本当に……、大変申し訳ないお願いなのですが……、
実は……」
 
アルベルトが漸く本題の話に入り始めた……。
 
「そうか……、船の一体やニ体、大した事はない……、アルベルト、
あまり気を遣わなくてよいぞ……、お前達はこの世界の英雄で
あるのだからな……、船など幾らでも手配してやるぞ……」
 
「……殿下……、あああ……、重ね重ね、勿体無い
お言葉……、有難うございます!!」
 
アルベルトがナイトハルトに向かって何度も何度も頭を下げた。
 
「おい、何か俺ら、もう無視されてね?」
 
「仕方ないでしょ、今はアルがすべてなのよ、任せましょ、ね?」
 
「……折角なので、お前達に又頼みたい事があるのだが……」
 
急にナイトハルトの目線がジャミルとアイシャにも向けられる……。
 
(アウチ……!お使いキタ……!)
 
「はい、殿下!私達に出来る事でしたら喜んでお引き受け致します!」
 
(そしてこいつは……、いい加減にしろ……)
 
「ふむ、実はな、遠い異国の地、ジパングで最近、ヨウカンと言う
珍しい菓子が作られているそうなのだ……、私も興味があってな……、
是非一度味わってみたいのだが……、また手配を頼めるかな?」
 
「ジパング?……ああ、ジパングか!」
 
ジャミルがポンと手を打った。
 
「じゃあ……、又、弥生さんや皆にも会えるじゃない!行こうよ、
ジャミル、アル!」
 
「……けどよ、ジパングに行くのは構わねえけど……、又此処に寄らな……
いってー!」
 
アルベルトが笑顔でジャミルの頭に肘でエルボーし、おまけにキックで
横に蹴飛ばした。んで、更についでに足で股間をグリグリ踏んでおく。
 
「その役目……、是非!心から喜んでお引受け致します、殿下!」
 
「うむ、頼んだぞ、勇者達よ……、ハハハ、そなた達は本当に仲が良いのだな……」

「……良くねえってのっ!!」
 
事は上手く運び、無事新しい船は借りる事は出来たのだが、
アルベルトに頭を肘テツされた挙句、キックも噛まされちんこを
踏まれたジャミルはあまり面白くない様子であった……。
 
そして……、新しい船に乗り込んだ4人とチビは再びこの世界の
大海原へと繰り出す。
 
「うわー、相変わらず楽でいいな、この船、どういう仕組みなんだか、
また操縦自動オートだぜ……、すげえ……」
 
「きゅぴー!また海ー!海だあー!」
 
下の世界で船に乗っていた以前の時と同じように、甲板に座り
チビが燥いだ。
 
「今度、泳ぎ教えてやるからな、チビ」
 
ジャミルが軽くポンと、チビの頭を叩く。
 
「きゅぴ?泳ぎ?」
 
「……自分が遊びたいだけだろ……、全くもう……」
 
と、アルベルトが半眼になる。
 
「あの……、なるべく、ゆっくり行こうね、神殿まで……」
 
ダウドが恐る恐る皆に訪ねる。
 
「まあな、観光がてら色々回りたいからな……、ポポタとじいさん、
それにスラリンも待ってるだろうし……」
 
「ほっ……」
 
「何だか新しい旅も楽しみになってきちゃったー!うふっ、今日は
カレー作ろっと!」
 
アイシャがとてとて、下に降りていく。
 
「……おい、また山葵入れんなよー、聞いてんのかー、
……おーい!!」
 
心配性のジャミルもアイシャを追って下へ走って行った。
 
「操縦の心配もしなくていいし、やっぱり殿下の船って凄いよ、
ゆっくり本が読める、幸せだなあ……」
 
アルベルトもチビの隣に座り、腰を落ち着けて本を読み始めた。
 
「モンスターの心配もしなくていいしね!」
 
「きゅぴ~、ダウ、チビにもご本読んで?これがいい、
せんたくとうちゃん!」
 
「うん、いいよお!」
 
最近、チビが寝る前にアイシャが絵本を読んで聴かせるので、
チビも本に興味が出てきた様であった。
 
「知識は沢山高めておかないとね、本は沢山読もうね、チビ、
……でないと、何処かの誰かさんみたいになるからね……」
 
「ぴきゅ?」
 
「……ぶ、ぼふぇっくしんっ……!!」
 
「うわあ……」
 
下の階から甲板まで巨大なくしゃみが聴こえてきた……。
 
 
「……ほら、見てごらんよ、光はまだあんなに元気だ……、
許せないだろう……?」
 
「……」
 
「本来なら君の方が……、ね、……でももう少しだからね……、
必ず光は消滅させる、それが運命なんだよ、闇は目障りな光を
打ち消すのだから……」