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zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 懐かしき人々と・1

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……真の黒幕が、ジャミル達へ向けて、本当に動き出した事を呑気な船旅を
楽しんでいる今の皆は知る由もなかったのだった……。


懐かしき国に

暫くの日数を経て、漸くジパングへ到着。
 
「懐かしいなあ……、村の中も全然変わってないな……」
 
「……オイラ達の事、みんな覚えててくれるかなあ……、
ドキドキ……」
 
懐かしさにダウドが感激する。
 
「くんくん、草と……、お日様のニオイがする……」
 
チビがバッグから少し顔を出して鼻をクンクンする。
 
「今は、皆家の中なのかな?誰も外に出ていない
みたいだけど……」
 
「てっ、て、ててて……」
 
と、其処へ……、まだ歩き始めたばかりの様な小さな赤子が
こちらによちよちと歩いてきた。
 
「……て、て?」
 
「あ、あぶないわ……!」
 
「て!」
 
転びそうになり、よろけた赤子をアイシャが慌てて支えた。
 
「大丈夫かしら?気を付けてね……」
 
「あ、あ、あ……、まん、ま……」
 
赤子はたどたどしい言葉を発しながらアイシャに触る。
 
「きゅぴ?皆よりも小っちゃいねえ……」
 
チビがバッグから顔を出し、不思議そうに赤子を見つめた。
 
「そりゃそうだよ、赤ん坊だもんな……、お前だって数か月前は
そうだったんだぞ」
 
「ぴ……、赤ちゃん……?」
 
「そうだよ、チビが成長したのは早かったけど、人間の
赤ちゃんはちゃんと大きくなるまで数年掛るんだよ……」
 
「ぴい……?」
 
アルベルトがチビに説明するが、チビは不思議がって首を傾げる
ばかりであった。
 
「トウマ、トウマったら……!また一人でお外に出てしまって……!」
 
「あの声は……、もしかして……」
 
ジャミルが声のした方に耳を傾けた。
 
「……かーた、かーた」
 
赤子も声のした方に反応する。
 
「ああ、トウマ!駄目じゃないの、もう!」
 
黒髪の女性が赤子を見つけ、慌ててこちらに走ってきた。
 
「かーた!……たあー!」
 
「あっ……」
 
赤子はアイシャの手を離れ、よちよち、女性の処まで歩いていく
 
「弥生さん……かい?」
 
「ジャミルさん……?」
 
ジャミルの声に、弥生が我に返り……、はっとする……。
 
「へへ、久しぶりだね……」
 
「どうも、御無沙汰してます……」
 
「えへへ~、オイラの事覚えてますかあ~、ダウド
ですよお~!」
 
「こんにちは、弥生さん、何だかまた大人っぽくなった
みたいね……」
 
「皆さんも……、ああ、お元気そうで何よりです……、
又、お、お会い出来るなんて……」
 
皆の顔を見て、弥生が嬉しさのあまり、感激の涙を流した……。
 
「ねえ、この子、弥生さんの赤ちゃん?……という事は……、
もう結婚したの!?」
 
アイシャが弥生と赤子を交互に見ながら目を輝かせる。
 
「はい……、お蔭さまで……、主人とは2年前に縁が
出来まして……、この子、トウマを授かりました」
 
「かーた!」
 
「可愛い~、ねえ、お名前はトウマ君だから、男の子よね?」
 
「はい、1歳になったばかりです」
 
「ちょっと抱かせて貰っていい?」
 
「ええ、どうぞ、ちょっと重いかも知れませんけど……」
 
「……よいしょ、うわあ、改めて抱っこすると、赤ちゃんて
ほんとに重いのねー!」
 
おっかなびっくり、アイシャがトウマを抱っこする。
 
「おいおい、危ねえな……、抱いたまま倒れんなよ……、
落とすなよ……?」
 
「大丈夫よっ!」
 
「それにしても……、久々に会う人会う人、何だかお目出度
ラッシュだね……」
 
「はう、ほんとだねえ~……、ん?」
 
「……ぶうび~」
 
ダウドがバッグの中から、ちらっと垣間見える不機嫌そうな
チビの様子に気づく。
 
「ねえ、ジャミル、チビちゃんがさ……」
 
「あ?」
 
「きゅぴ、ぶう~……」
 
「……ぷーっ、一人前に赤ん坊に焼きもち焼いてやがる、
あいつ……」
 
「笑っちゃ駄目だよ、ジャミル……」
 
アルベルトが慌ててジャミルを突く。
 
「チビちゃんもしっかりと成長してるんだねえ、色んな感情が
出てきたよお……、うんうん……」
 
「おい、あまり感情に浸ってる場合じゃねえぞ、ダウド、チビが
スネたらスネたで後始末が大変なんだからな、誰かに似てよ……」
 
「何よ、ジャミル!」
 
「何でもないです……」
 
……それぞれの親の、良いところ、悪いところもすべて
引き継いで、チビは確実に、精神面もどんどん成長して
いっているのであった……。
 
「……ぷちょっ!」
 
トウマが小さなくしゃみをした。
 
「あ、風が大分強くなってきましたね……、さあどうぞ、
みなさん、私の家に……」
 
ジャミル達は弥生に案内され、久しぶりに懐かしい弥生の家に
訪れる。
 
「ただいま、お母さん」
 
「弥生、トウマは大丈夫だったかい?ごめんよ、あたしが大分
足腰が悪くなったモンだから……」
 
家の奥からふくよかな女性が姿を現す……。これまた懐かしい
弥生の母親だった。
 
「ばあー!」
 
お婆ちゃんの姿を見るなり、トウマが弥生の母親に抱き着いた。
 
「平気よ、まだそんなに遠くへはいけないもの、……それより見て、
お母さん」
 
「あはは、こんちは……、おばさんも、久しぶり……」
 
ジャミルが照れ隠しに頭を掻いた。
 
「……あれあれあれ、まあまあまあまあ……!ジャミルさん
達じゃないの!!懐かしいねえ~、みんな元気だったかい!?」
 
「まあね、それなりに、色々あるけど、俺らは元気だよ……、
な?」
 
ジャミルの言葉にアルベルト達も笑って頷いた。
 
「……夢じゃないんだね……、又こうして会えるなんて……、
うう、父さんが生きてたら……、ああ、どんなに喜んだ事か……」
 
「あの……、おじさんは……?」
 
ジャミルが訪ねると、弥生は少し顔を曇らせたが
すぐに言葉を返した。
 
「はい、父は……、トウマが産まれてすぐに亡くなりました……、
心臓も大分弱っていたんです……」
 
「そうか、おじさんはもう……」
 
「……」
 
4人は悲しい訃報に揃って口を噤んだ……。
 
「馬鹿な父さんだよ、酒ばっか飲んでるから……、
こんな事になるんだよ……、幾ら止めたって聞きゃしない……、
本当に馬鹿だよ、ううう……」
 
「あの、あまりしんみりなさらないで下さい……、父も……、自分が
あまり長くない事は承知していた様なので……、でもまた、皆さんが
此処を訪れる時があったなら……、その時はどうか宜しく伝えてくれと……」
 
「……まあ、最後に孫の顔を一目見れてから死んだだけでも
幸せだったのかも知れないねえ……」
 
そう言いながら弥生の母親は泣きながら鼻をかむ。
 
「きゅぴ~、……チビ、もう限界……、つまんない、
バッグから出る……」
 
「チビちゃん!」
 
退屈に耐えかねたチビがアイシャのバッグからひょっこり
顔を出した。
 
「あれ、まあ……!これはまた……、可愛い動物だねえ……」
 
「本当、可愛いわ……」
 
弥生と母親は珍しそうにチビに触る。
 
「チビだよ、初めまして!」