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zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 懐かしき人々と・2

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……そうだよ……、もっと苦しむんだ……、いずれ消えるのは光……、
君の方なんだから……
 
 
「……きゅぴ……、ハア、ハア……、熱い……、熱いよお……」
 
「……どうしよう、何だかチビちゃんの身体がどんどん熱くなって
いってる感じがするの……」
 
……震えながらもしっかりとチビの手を握るアイシャの手に汗がどんどん滲む。
 
「……弱ったな……、俺まで魔法が使えなくなっちまったってのか……」
 
「いや、ジャミルの魔法が使えないのは多分……、一時的な物だと思う、
……心配ないよ……」
 
「……何でそんな事分かるの……?」
 
ダウドがチビを見つめながら涙目になってアルベルトの方を振り返った。
 
「魔法もキメラの翼も使えないとしたら……、原因はやはり船を
囲んでいるこの黒い結界だよ……、それが魔法力を封じてしまって
いるんだと思う……」
 
「だ、誰がこんな酷い事するのさあ……?」
 
「分らない……、僕にも……」
 
「たった一つだけ、可能性があるぞ…」
 
「え……?」
 
「……また見えない何かが陰からチビを狙って動き出したのかもな……」
 
「それじゃ、オイラ達も……、また誰かに付け狙われてるって……、
事……?」
 
「いつ何処で何が起きるか分からねえ、チビを匿ってる限りな、
覚悟しとけ……」
 
押し寄せる不安の中で、4人はチビを守ろうと片時も側を離れず……。
 
「とにかく結界だよ……、この結界がすべて邪魔をしているんだ……、
結界さえ消えてくれれば……、僕以外の皆の魔法力は戻る筈なんだ……」
 
「どうにかなんねーのかよ、クソっ……!!」
 
「……チビちゃん……?」
 
「アイシャ、どうしたんだ……?」
 
「……チビちゃんの身体が今度は冷たいの……、さっきまであんなに
熱かったのに……」
 
「!?チビっ、おい……、チビっ!!」
 
「やだ……!いやだよおおー!!チビちゃんっ!!」
 
……皆が必死で呼び掛けるがチビの身体はどんどん冷たくなっていく……。
 
「心臓の鼓動の音が……、どんどん小さくなっている……、
どうしよう……、このままではチビは本当に……」
 
 
……おいで、此処まで来るんだよ……、さあ…早く……
 
「きゅぴ……?だあれ?誰がチビを呼んでいるの……?」
 
声に導かれてチビは一匹でトコトコと暗闇の中を歩いて行く。
誰もいない暗闇の中を……、独りきり。
 
「……ここ、嫌……、皆いない……、ジャミルも……、アイシャも……、
アルもダウも……、皆いない……、ぐす……、怖いよ……、チビ……、
独りぼっちだよお……」

 
そうだよ、だから此処までおいで……、さあ……

 
「……そっちに行ったら……、また皆に会える……?」

 
……会えるとも……、クク……、そうさ、何も心配する事はないんだよ……

 
「……行く……、チビ……、皆に会いたい……」
 
さあ来るんだ……、何も心配する事のない世界へ……
 
「……きゅぴ……」
 
しかし、チビは声のした方に行かず……、その場で踏みとどまり、
声のした方向とは逆の方向に歩き出した……。
 
「違う、皆のいる所……、そっちじゃない……、こっち……」
 
 
 
「……!?」
 
「アル……?どうしたんだ……」
 
「……微かにだけど心臓に音が戻ってきてるよ……、身体も何だか
ほんのりと……、さっきより体温が回復している……?」
 
「何だって……!?」
 
「チビちゃんっ……!!……皆、チビちゃんに呼びかけるのよっ!!
ダウドも急いでっ!!」
 
 
「……皆のいる所、こっち……、会いたい……、チビ、独りは嫌……、
ジャミル達の声がするよおお……」
 
真っ直ぐに、真っ直ぐに……、チビは皆の元に向かって歩いて行く……。
 
……本当に、頑固な子だねえ、君は……、一体誰に似てしまったんだ……、
教育が悪すぎる……
 
「……きゅぴ……?」
 
お仕置きだ……、悪い子だよ……!!
 
突如、巨大な黒い影がチビの前に立ちはだかり、チビをそのまま
飲み込もうとする。
 
……この場で今すぐ消滅してしまえ……!邪魔な光めが!!
 
「や……、チビ、大好きな皆の所帰るの……邪魔しないでっ……!!」
 
突如、チビの身体を光が覆い、それは更に大きな輝きになる……。
 
……これは……?な……、んだと……?
 
 
一方、チビに必死で呼び掛けるジャミル達の現実世界でも
異変が起こっていた……。
 
「な、なになになにーっ!?チビちゃんが光ってるよおおー!!」
 
「チビちゃんっ……、チビちゃんっ!!」
 
「なんなんだよ、一体何が起きてんだ……!?」
 
「……さっきまでのこの船の嫌な気配が消えている……?もしかして……」
 
 
そうか、それが君の……未来の姿かい……、ク、クク……、なるほどね……
 
「……」
 
君がもしもこのまま……、無事成長し遠い未来までの時間を生き永らえた
場合……、そう……、神の力を得た聖なるドラゴンとなる訳だ……、ククク、
なるほどなるほど、……あーっはっはっ、これは愉快だ……、ク、クククク……
 
「悪しき者よ……、滅びよ……」
 
……だが残念だね……、未来はもう決まっているんだよ、替える事は
出来ないのさ……、今日の処は帰してあげるよ、……くっ、いつまでも
汚らわしいその姿でいるなっ……!さっさとあの馬鹿共の所へ
行ってしまえっ……!!
 
再び光がチビを包む、そして……。
 
 
「……どうなってんだよ、アルの言った通り、本当に結界消えてるぞ……?」
 
アイシャをチビに任せ、確認の為、男衆は甲板へと上がる。……確かに
先程まで船を囲んでいた黒い結界は消え、アルベルトの言った通り、
嫌な気配もしなくなっていた。
 
「うわあ、船もまた動き出したみたいだよおー!良かったー!!」
 
「きっと、ジャミル達の魔法力ももう戻ってる筈だよ、僕はまだ
駄目みたいだけど……」
 
「……ハア、ねえっ、ねえっ、皆ー!!」
 
アイシャが息を切らし、声を張り上げ、チビを抱いて再び甲板に
上がって来る。
 
「あ?……チビっ!!」
 
「チビちゃん……!!」
 
「チビ……!!」
 
「ぴいー!チビ、元気だよ!」
 
男衆は元気を取り戻したチビの姿を見て、揃って声を揃えた。
 
「きゅぴ、ご心配……、お掛けしました……」
 
申し訳なさそうにチビが皆に頭をぺこりと下げた。
 
「んな、かしこまんなくていいよ、たく……」
 
ジャミルがいつも通り軽くチビのおでこを突っつく。
 
「きゅぴっ!みんなー!ごめんねえー!!チビ、夢の中で怖いの
やっつけたよおー!!」
 
チビはころっと調子を変えてジャミルに飛びついた。
 
「たく、この調子の良さは誰に似たの……?」
 
ダウドがそう言うと、揃って皆の視線が一斉にジャミルの方を見た……。
 
「……ん?」
 
「きゅぴ~、きゅぴ~」
 
チビは嬉しそうにいつもの倍、ジャミルに甘え、スリスリする。
 
「そうか、お前、夢の中で戦ったか、……偉いぞ、よくちゃんと
戻って来たな……、……良かった、本当に……、けど、本当にさあ、