zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 懐かしき人々と・2
船じゃなきゃレイアムランドへは行けないんだからさ…」
「ア、アル……、ごめん、オイラ……、その……、そんなつもりで
言ったんじゃないんだけど、ごめんよ……」
「いや、いいんだよ、気にしないで……」
「ま……、今日はしめっぽい顔はナシナシ!んじゃ、アイシャ、
今日の夕飯は任せたぜ」
「う、うんっ!私、美味しい夕ご飯作るね!!」
アイシャの顔が笑顔になる。……と、任せたのが間違いで……。
「はいっ、皆召し上がれ!!サラダに卵焼きに、お肉焼いたのと、
今日は盛りだくさんよ!いっぱい食べてね!!」
「おおお~……」
アイシャ特製のお皿の上のご馳走に男衆は思わずお腹を鳴らした。
「……今日は大丈夫そうだな、匂いも、料理の形もちゃんとしてら……」
「今日はって、何よジャミル!!」
「うわあーい、ケチャップいっぱいたまご焼きもあるねー!」
「そうよ、チビちゃん、私、張り切って作ったから、沢山食べてね!」
「んじゃま、頂くかね……」
「頂きまーす!」
「召し上がれっ!!」
男衆が一斉に揃って卵焼きに口をつけ……。
「……」
「れ……?」
……ああああああああーーーーっ!!
そして、アイシャとチビ以外全員ひっくり返って倒れた……。
「……きゅぴ~?」
「失礼ねっ!!」
「か、辛えええー……」
「ががががが……」
「アイシャ……、卵焼きに……、何か違う調味料を……、
い、入れた……?」
何とか口が聞けるアルベルトが聞いてみる……。
「ちゃんと、お塩と、お砂糖と……、間違いない筈だわ……、
おかしいなあ……」
「きゅぴ?アイシャ……、これ……、お砂糖、お塩、あと、
唐辛子があるよ……」
アイシャが卵焼きに入れた調味料の瓶をチビが全部持ってきて見せた。
「あっ、本当……?しかも、唐辛子の瓶がからっぽ……、あらら、
唐辛子だけ手が滑って全部入れちゃったのかしら……、えへ、えへ、
えへへ……」
誤魔化して、アヘ顔するアイシャ……。
「……おーーーいっ!?」
「チビちゃん、……カ、カップラーメンあるから、お湯沸かして
あげるね……」
「誤魔化すなーーっ!!反省城ーーっ!……デコピンの刑にしてやるーーっ!!」
「きゃーっ!ごめんなさーいっ!!いやーーん!!」
ジャミルがアイシャを追っ掛けて行った……。
「これは他の料理も……、手をつけない方がいいかなあ、ねえ、
ダウド……ねえ、大丈夫?……生きてる……?」
「……が、が、がが、ギ、ギギギ……」
次の日の朝……。
ジャミルとダウドは……、唐辛子の後遺症で口元が腫れて真っ赤に
なってしまった為、みっともないのでマスクを着用する事態となった……。
「たく、マジでみっともねえな、あーあ……、アイシャの奴……、
菓子作りとかになると天才的になる場合があるんだけどなあ……、
何でこう、差が激しいんだか……、ブツブツ……」
手鏡で口元を見ながらジャミルが唸った。
「……オイラ、当分外歩きたくない……、恥ずかしいよ……」
「マスクを着けていれば大丈夫だよ……」
「そうかなあ……、って、アル……、何で君は平気なの……?」
「僕はね、元々そう言うギャグ状態にならないんだよ、免れてる……、
ていうか……」
「ずっけーの……、冗談じゃねえや、たく……」
「えへへー、みんなー、おはよう!」
アイシャがチビを連れ、ジャミル達のいる船室に顔を出した。
「おう、来たな……、指名手配犯が……」
「何よっ、私だって反省してるのよ!ほらほら!」
アイシャが自分の口元のバッテンマスクを指差す。
「きゅぴー」
「おい、何だよ……、チビ、お前までマスクしてんのかよ……」
「チビも皆と一緒がいい!」
そう言いながら、チビはジャミルの手にじゃれ始めた。
「そうかそうか、皆一緒がいいか……、お前は偉いな……、
いい子だな……」
「……そうだねえ……」
「な、何……?何で皆して僕の方見るの……?あーもう、分ったよっ!
僕もするよっ!!」
……と、いう事で、怪しい謎の変態マスク集団が出来上がった……。
「アホだな、俺達……」
「アホだねえ……、風邪もひいてないのに……」
「ホント、アホかしら……」
「はあ……、何やってんだろ、僕……」
「皆一緒!!おそろい、おそろい!!」
……何はともあれ、チビとの楽しい時間を大切にこれからも過ごそうと
思う4人であった……。
少年よ、大志を抱け
ジャミル達はムオルの村へ3度目の訪問へ……。
「……ああ、此処も懐かしい匂いだな、全然変化ねえな……」
「そろそろ、来るんじゃない……?」
ダウドがあっち見、こっち見でキョロキョロしだす。
「あっ……、あ、あなたは……」
「や、やあ……」
村人が早速ジャミル達の姿を見つける。
「ジャミルさん……?ですよね……」
「そ、そうだよ……、あは、あはは……」
「あああ~!皆、皆~っ!!」
一人の村人があっと言う間に他の村人を呼びに行き……。
「ジャミルさんだ、ジャミルさんだ!」
「押すな、押すな!」
「久しぶりだねー、その後、どうしてたの!元気だったかい!?」
「やいのやいの!!」
「海老煎餅くえーーっ!!」
「焼きナスうめえどーーっ!!」
「何で、ナス……?」
ジャミルはあっという間に村人に集られる……。
「この騒がしさも全然変わんねえや、は、ははは……」
「きゅぴ~……?」
騒動にバッグからチビが少し顔を覗かせる。
「チビちゃん、気にしなくて大丈夫よ……」
「……お兄ちゃん……?」
「ポポタ……?ポポタか……?」
「ピキー……?」
「スラリン!!」
スラリンを連れたポポタが4人の前に現れる。……初めてあった時から、
2年が過ぎ、当時5歳だったポポタもすっかり成長していた。
「お兄ちゃん!久しぶりだねえ!!やっと又会えたね!僕、7歳に
なったんだよ!!」
ポポタがジャミルに漸く会えた喜びで興奮する。
「そうか、お前、結構背が伸びたんだなあ…」
「アルベルトお兄ちゃん、アイシャお姉ちゃん、ダウドお兄ちゃん、
お久しぶりです……」
ポポタが他の3人にも丁寧に頭を下げ、挨拶する。
「ポポタ……、随分大人になったんだね、びっくりしたよ……」
「あはは、あんなに小さかったのにねー!」
「本当よ、時間の立つのって早いわね……」
「ピキー!お姉ちゃん、皆も会いたかったよ!!」
スラリンがアイシャに飛びついた。
「スラリンも、元気そうで何よりね、良かったわ!!」
「お前も、一回りでかくなったな、スラリン」
「ピキー!ボクもまた皆に会えて嬉しいー!!」
「うん、本当に皆、何事も変わりなくて、良かった良かった……」
「アル……、あまり良くないかも……」
ダウドがちらっと又、バッグの中のチビの方を見た。
作品名:zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 懐かしき人々と・2 作家名:流れ者