zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 懐かしき人々と・2
「きゅぴ……」
又、焼きもち焼き炸裂、今度はマスコットの座、争奪戦の始まりに
なりそうであった……。
「処で……、お前のじいさんどうしてんだ?姿が見えねえけど、まさか……」
……弥生の父親の件もあり、ジャミルが状況を心配するが……。
「あ、おじいちゃんは家にいるよ、近頃、足とか痛がってばっかりだし、
最近はあまりお散歩もしなくなっちゃった、でも、お兄ちゃんが達が
来てくれたの知ったら、喜ぶよー!さあ、行こう!!」
何とかご健在の様である。安心したジャミル達はポポタの家へ。
「こんちは……」
「おお、おお、おおお……、ジャミルさん達……、何と……、
お久しぶりです……」
後ろのアルベルト達も揃って頭を下げた。 だが、ポポタの爺さんは2年前より
大分齢を取り、やつれた様でもあった。
「此処に来られたと言う事は……、無事大魔王を成敗なさったんですのう……、
御無事で何よりです……、本当に……」
「ああ、そうか、じいさん達にも確か、ゾーマの事は話してあったんだっけか、
すっかり忘れてたよ……」
書いている奴も忘れていた。
「……アイシャ、チビ、ここにもお顔出しても大丈夫?」
チビがバッグからこっそりアイシャに聞いてみる。
「うん、ポポタ、スラリン、見て見て、ほらっ!」
アイシャがバッグからチビを出した。
「きゅぴー!」
「うわっ!」
「ピキー?」
ポポタとスラリンはチビと初めてご対面を果たす。
「すごいすごーい!ドラゴンの子供だあ!」
「ほほう、これはこれは……、なんとまあ、ドラゴンの子供とは……、
ほほう……」
ポポタの爺さんも珍しげにチビを眺める。
「チビちゃん、大分前に話したと思うんだけど、この子がホラ、
以前私達と一緒に旅をしていた、スライムのスラリンよ」
「きゅぴー……」
「ピキー……」
チビとスラリンは最初、おっかなびっくりでお互いの顔を眺め合っていたが……。
「きゅぴぴぴぴぴ!」
「ピキキキキキ!」
やがて、新旧マスコット同士、意気投合した……。
「あはっ、もう仲良しになったのね!良かったー!スラリン、暫く
チビちゃんをお願いね、遊んであげてね」
「ピキー、お姉ちゃん、わかったよ!」
「さあさあ、皆さん、立ち話もなんですからお座り下され、
紅茶を淹れましょう」
ジャミル達は淹れて貰った紅茶を飲みながら、これまであった
色々な出来事などをじいさん達に話し聞いて貰った。
「……色々と、ご苦労様でございました……、ポカパマズ殿も
さぞかしお喜びの事でしょうのう、息子さんもこんなにご立派に
ご成長なされたのですから……」
「いや、そんな……」
「プッ……、ご立派……」
照れるジャミルを見てアルベルトが吹き、下を向いた。
「そこ、吹くなよ……」
「ご、ごめん……」
「ププ……」
「そちらで吹いた方も、殴りますよ、いいですか!」
「……痛いってば!やめてよおおー!殴りますよの前にもう殴ってる
じゃないかあ!!」
「……」
ポポタはそんなジャミル達の冒険談を目を輝かせ、ワクワクしながら
聞いていた。
(やっぱり凄いなあ、お兄ちゃん達って……)
「♪きゅっぴーぴーぴー!」
「♪ピーキーキーキー!」
チビとスラリンが2匹で揃って歌を歌いだした。
「……騒音音痴コンビ結成か……」
「やめなさいよっ、茶々を入れるんじゃないのよっ!もう~!」
「いっその事ジャミルもメンバーに入りなよお……」
「うるせーな、バカダウドめ!!」
「……?」
「アル、どうかしたの?」
「うん、今回は村の人達がやけに静かだなと思ってさ……」
「そうね、いつもなら傾れ込んでくるわよね……」
「そんな事ないよ、ほら……、皆もう待ってるよ……」
ポポタが外を指差すと……。
「!?うわあああっ!!」
窓の外に、すでに沢山の村人が集まっていた……。
「ジャミルさんや、来てるなら来てるって言ってくれよ、
相変わらず水臭いな!!」
「はいはい、おばちゃんだよー!あんたちっとも変わんないねえ、
元気だったかい!?」
村人はそのままポポタの家にドカドカ入ってくる……。
「きゅぴっ!?」
只ならぬ事態に、チビは慌てて逃げようとするがスラリンが声を掛けた。
「ピキー、大丈夫だよ、面白いからみてて」
「きゅぴ?」
「おばちゃんはね、おばちゃんはあ!うう、寂しかったよーっ!!」
「……ぐええええーっ!!」
相も変わらず、この迷惑おばさんは興奮してジャミルにサバ折りを掛ける。
「ジャミルさん、これアンタの為に新作のお菓子を仕入れたど、
フン馬ちゃん焼だぞーっ!!」
「あ、あたしが持ってきたお菓子の方が美味しいに決まっとるがね!」
「何を言うとるか、わしのが一番だぞ!!」
「よおーし、俺のを食ってみろや、ほれっ!!」
……村人達は自分らが持って来た菓子自慢を始め、ケンカになる……。
「楽しいのう、本当に楽しいのう……」
紅茶を飲みながらポポタのじいさんが心から幸せそうな顔をした。
「本当に、此処の人達も相変わらず変わらないね……」
「そうね、でもそこがいいのよね」
「有名人て、ホント大変だねえ~……」
サバ折りを掛けられたままジャミルは泡を吹き、もう気絶寸前であった。
そして、夜……、久々にポポタ家にお世話になっている4人。就寝前に
ジャミルはポポタの部屋で雑談タイム。
「お兄ちゃん、大丈夫?今回も大変だったねえ……」
「あー、大分慣れたと思ったんだけどな……、この村の皆のパワフルさには
敵わねえよ……」
「うん、村のおじさんもおばさんも皆元気だもん」
「……」
ジャミルがちらっとポポタを見た。
「お兄ちゃん、なあに?」
「いや、お前本当にでかくなったなと思ってさ……、7歳にしては
結構背が高い方になったな……」
「本当?僕、本当にそう見える……?」
「ああ……」
「じゃあ、僕……、お兄ちゃん達と一緒に冒険していい……?」
「そうだな、……冒険か、……ん?冒険っ!?」
ジャミルが慌ててもう一度、ポポタの顔を覗き込んだ。
「うん、僕……、ずっと憧れてたんだ……、お兄ちゃん達と一緒に
冒険出来るのを……、僕、もう大きくなったから大丈夫でしょ?」
「な、何言ってんだよ、駄目に決まって……」
「……ジャミルお兄ちゃん……、ねえ、僕も冒険に連れてって……」
ポポタは目を輝かせ、ジャミルの顔をじーっと眺め……、返事を待っている。
(おいおい、……何なんだよ、まいったな、こりゃ……)
又何だか一騒動に巻き込まれそうになるのを、ジャミルはひしひしと
肌で感じていた……。
小さなポポタの大きな冒険
「じいさん、ちょっと……、まだ起きてるかい?」
ジャミルが慌ててポポタを連れ、じいさんの部屋へ。
「おお、ジャミルさん、寝られませんかな?どれ、
甘酒でもご一緒に……」
作品名:zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 懐かしき人々と・2 作家名:流れ者