zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 懐かしき人々と・2
「お前、何やって……、あ?」
「な、何だい、その顔……」
「……うっかり昼寝してたら……、顔に落書きされて……、
とほほのほ~……」
「きゃはははっ!」
「きゅぴー!」
「ピキー!」
「なるほど、犯人はあいつらか……、けど……、集団チビ共はお前より
先に昼寝した筈だぞ?……間抜けだな、お前……、いや、間抜けなのは
判ってるけどな……」
「……ほっといて下さあ~い、うううー……」
「さて、今夜の飯の準備すっかな、おーい、ポポター、
ちょっときてみー!」
「はあーい、何するのー?」
ポポタがちょこちょこジャミルの側に寄ってくる。
「釣りだよ、お前も自分の分の夕飯の魚を釣るんだ、ほら、やってみな?」
「で、出来るかな……?」
「何事もやってみなきゃ始まらない、レッツチャレンジ!」
「う、うん……」
ドキドキしながらポポタが竿に触れてみる。
「……お?」
「か、かかった……?」
「よしっ、そら、引いてみろ!」
「……それっ!あ、あーあ……」
ポポタ、お約束で見事に缶を釣り上げる……。
「諦めない、そら、次のを待つべし!」
「よーし、もう一回チャレンジっ!!」
結局、ポポタが数回チャレンジしたが、釣れたのはたった
一匹だけだったがそれでも初めての釣りにポポタは大満足であった。
「あー、釣りって楽しいねえー!」
「だろ?コツを掴めばもっと上手く釣れる様になるぞ!」
「うん!僕、もっと釣りが上手くなりたいっ!!」
釣りの後、甲板には……、大量の空き缶の山で一杯になっていた……。
「どうするのさ、これ……」
大量の空き缶の山を見てダウドが呆れ返る。
「後で片付けるんだよ、いいだろ、環境運動になって……」
「ジャミルも凄かったもんね、空き缶釣り上げた数……」
「……プッ」
「……腹黒もヘタレもうるさいっ!お黙りっ!」
そして、夜になり、一行は近場の島に船を留めて打ち上げ
バーベキューの準備を始めた。
「お肉焼けるわよー、どんどん食べてね!」
「おー!ジャンジャン頂きますっ!」
「……ジャミルったらっ!今日はおチビさん達に少しは遠慮しなさいよっ!」
「きゅぴー!今日はお肉がいっぱーい!」
「ピキー!おいしいねー!」
「チビちゃんも、お肉ばっかりじゃ駄目よっ!」
「……ぴきゅ~……」
「ポポタ、どうだい?自分で釣った魚の味は?」
「うん、凄くおいしいっ!自分で頑張って釣ったからかなあ?」
「良かった……」
「うんっ!」
アルベルトが微笑んで、ポポタも笑顔になった。
「ちょ、ジャミルっ!肉ばっかり食べちゃ駄目だって言われたじゃん!
これでも食べてなよお、はいっ!」
ダウドが、焼いたタマネギを10枚、串に刺したのをジャミルに差し出す。
「……幾らなんでもんなに玉葱食えるかっ!この野郎、
お前が食えーーっ!!」
仕返しで、今度はピーマンの大量串刺しをダウドに押し付けた
「ポポタ、あの二人はほっといていいから……、さあ次の肉が
焼けるよ……」
「でも、僕もお野菜食べるよ、おねぎの貰うね!」
「うん、偉いなあ……、ポポタは……」
「ねえ、アル……、ジャミルとダウドが大変なんだけど……、
取っ組み合いになっちゃって……」
「……はあ、何やってんだか……、たく……、じゃあ行きますか……、
久々だなあ……」
……パンッ!パンッ!!パンッ!!!
「おおお~……」
「……きく~っ……」
「うん、やっぱりこれじゃないとしっくりこないなあ……」
「凄いー!アルベルトお兄ちゃん……」
ポポタが感心してアルベルトを見上げた。
「これはね、秘儀・スリッパ乱舞だよ、ポポタにも教えようか?」
「……教えんでいいわいっ!!!」
そして、夜も更けて、楽しいバーベキューもお開きになった。
ジャミルは満腹になった自分のお腹をナデナデする。
「はあー、腹いっぱいだあー、世は満足じゃ……」
「……きゅぴー……」
「ピーキー……」
「チビちゃん達も寝ちゃったわ、ふふ……、私も久しぶりに
スラリンに会えて、本当に嬉しかったわ……」
アイシャが膝の上で眠ってしまった2匹をそっと撫でた。
「ああ、明日はムオルに帰らなきゃ……、何だかさびしいなあ……、
でも、約束だもんね……」
「ポポタ……、そうか、明日は戻るんだな……」
「僕にとっては凄く長い冒険の時間だったよ、とっても楽しかった、
ありがとうね、お兄ちゃん達!!」
「……大した事してやれなかったけど、……楽しかったかい?」
「うんっ、すっごく!!ムオルに帰ったら、おじいちゃん、
パパ、ママ、村の皆に大冒険の事、話すんだ!!」
「ああ、俺達もお前と冒険出来て楽しかったぜ、な、皆?」
アルベルトとアイシャも笑って頷いた。
「お兄ちゃん……」
「……うふふ、お肉ー……もう、入りませーん、むにゃ……」
ダウドも満腹で腹を出してすっかり眠りこけてしまっていた。
「ポポタ、これからもスラリンの事、宜しく頼むわね……」
「うん、アイシャお姉ちゃん、僕とスラリンはこれからも仲良しで
いるよっ、ずっと!」
……そして、夜が明けて、4人はポポタとスラリンを無事に
ムオルまで送り届ける。又いつか、ジャミル達と一緒に冒険する
日を夢見て、ポポタの大冒険はこれにて幕を閉じたのであった……。
ラーミア乱心
ムオルを離れ、それから約一ヶ月ほど掛かり、レイアムランドへと
漸く辿り着く。
「これで、この船ともさよならだな、しかし……」
「……」
4人は遂に見事に揃ってしまった2体の船を暫く無言で眺めていた……。
「……か、返せばいいんだよな、今度はちゃんと、うん……」
「あはは、あははは……、さ、さあ、ラーミアに会いに行こう……」
「……オイラ知らな~いっ!」
「……こ、こうしてみると、何だか芸術的な感じするわね!」
無理矢理誤魔化しながらそそくさと神殿へと逃げるのであった。
「こんちはー!」
ジャミルが挨拶すると、奥から二人の巫女さんが出て来た。
「ああ、あなた達は……、勇者様達……ですか?」
「ああ、あなた達は……、勇者様達……ですか?」
「いや、時間ねえから……、ハモんないでくれ……、それより、
またラーミアの力を借りたくて来たんだけど、戻って来てるかい?」
「戻ってきておりますが……」
「戻ってきておりますが……」
……やはり、ハモリを止めるのは嫌らしい……。
「……様子が……おかしいのです……」
急に二人の巫女さんの言葉が一つに重なった。
「……何だって……?」
巫女さんに案内され、急いでラーミアのところまで行くと、
ラーミアは祭壇の中央にある台座の上で静かに横たわり、眠っていた。
「おい、ラーミア……」
「きゅぴ~?大きな鳥さんだねえ……」
作品名:zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 懐かしき人々と・2 作家名:流れ者